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補助金申請のキモ

はじめに

 皆さんは、補助金というものをご存知ですか。
 最近では新型コロナウイルス感染症の流行に伴って事業者の方に持続化給付金とか家賃補助とか従業員に対するものとして雇用調整助成金とかいろいろなメニューがありましたね。

 さて、「補助金」と「給付金」、「助成金」ってどう違うのでしょうか?

 「補助金」は、国や自治体が特定の目的やプロジェクトに対して予算から支給するお金です。これは特定の事業や研究、活動のために利用されることがあります。例えば、新しい技術の開発や地域振興、環境保護などの目的に使われます。補助金は通常、一定の条件を満たすことが求められます。

 「給付金」は、国や自治体、会社、団体から個人や家族に対して支給されるお金です。例えば、生活保護、子育て支援、災害支援などが該当します。これは特定の状況や条件を満たした人々に支給されることが一般的です。

 「助成金」は、国や団体、財団などが特定のプロジェクトや活動をサポートするために提供する資金であって、芸術活動、文化振興、教育支援、社会貢献活動など、特定の分野や目的における活動を助けるために使われます。一般的に、プロジェクトや活動の実施に必要な経費や支援を提供するために使われます。

 「補助金」、「給付金」、「助成金」は名前は異なっていますが、共通しているのは、「ある目的のために支給される支援金である。」ということです。
 それぞれの目的や条件に基づいて支給され、受給するためには対応する要件を満たす必要があります。政府や様々な団体から提供され、社会的な支援や特定の活動の推進に役立っています。


補助金制度の変遷

 「補助金」という場合、「小規模事業者持続化補助金」という補助金制度ができるまでは最低でも数百万程度の補助金の額で、小規模事業者にとってはハードルも高く、簡単に申請できるものでも、なかなか採択を受けられるものでもなかったのですが、平成26年に「小規模事業者持続化補助金」という制度が予算措置されてから補助対象となる経費の3分の2で、50万円を上限とする補助金が登場したわけです。(条件によっては上限を100万円、200万円とするものもあり。)

 ということで、使いやすい補助金制度として注目を浴びると共に、行政の立場からは事務処理コストがかかりすぎて効率的ではないと思われていた「小規模事業者持続化補助金」が「小規模企業振興基本法」制定後の小規模事業施策の目玉政策に躍り出たわけです。

 その後、先に述べた新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに活用されたり、地震や豪雨災害といったような天災による被害を受けた小規模事業者の救済のために活用されたりとオールマイティに使える。いわゆる使い勝手の良い補助金として運用されています。

 また、最近では新型コロナウイルス感染症対策の影響からオンライン申請が中心となり、G-bizを活用したものとなっておりますのでG-biz IDを取得しておく必要が出てきております。

補助金申請と自社の事業計画との関係

 この「小規模事業者持続化補助金」の登場以降、補助金申請に際して申請する事業者の事業計画が必須となってきたように思われます。
 通常、補助金は先に述べた通り、補助金の目的といったものがあります。その補助金の目的を達成できると思われる補助事業に対してその事業に要する費用の一部を補助するというものです。
 その補助事業が妥当なものであるのか、補助金の効果がちゃんと見込めるものであるのか。そうした視点から補助金申請に際して補助事業計画、申請する事業者の事業計画というものが求められるようになっております。

補助金申請のキモ

 ここまで、書いてくるともう、お分かりですよね。

  1.  補助金申請は、事業を実施するにあたっての資金調達の手段として補助金を活用するために行うものですが、その補助対象事業が本当にこの補助金制度の目的に合致しているのか?

  2.  補助事業計画の根拠となっている申請者の事業計画の妥当性はどうなのか?

  3.  補助金を申請する事業者の事業ドメインはどこなのか?

  4.  補助金を申請する事業者の事業ドメインの環境分析は正しいか?

  5.  補助金を申請する事業者の市場分析は正しいか?

  6.  補助金を申請する事業者のポジショニングは正しいか?

  7.  補助事業計画の実現可能性はあるのか?

  8.  補助事業計画の実効性はどうなのか?

 といったようなことが、補助金採択の審査項目となってきます。
 ですから、これらの項目を抑えていくことが補助金申請のキモってことになります。

補助事業実施の留意点

 補助事業として採択された場合に気を付けなければいけない点をいくつかお示しします。

  1.  補助事業採択前に事業を開始しない。補助事業に関しての契約行為も補助事業採択前では原則認められません。

  2.  一定額以上(小規模事業者持続化補助金の場合は1回あたりの支出が100万円以上)の支出の場合は合い見積もりを取る。

  3.  見積書、契約書、発注書、納品書、領収書(振込を証明する書類)など補助事業のために行う支出の内容を証明する書類(証憑)を保管し、補助事業実績報告の際には整理して提出する。

  4.  補助事業期間内に補助事業に関する支出は必ず終えること。

  5.  補助事業実績報告書提出期間内に必ず実績報告を提出すること。

  6.  補助事業に関する証憑類等は一定期間保存しておく。(小規模事業者持続化補助金の場合は5年間)

  7.  補助金で取得した財産は財産目録を作り、シールを貼るなどして適切に管理し、補助金制度が定める期間内は勝手に処分しない。(処分する際は担当部局に確認すること。法定償却期間内に処分すると取得に要した補助金の一部返還が生じることもあります。)

 など、補助事業の採択を受けたからといって安心していないできっちりと補助事業を実施し、事業の進捗状況、支出、管理などを適正に行う必要があります。

まとめ

 タイトルにしております補助金申請のキモについては先の段落に記載した通りですが、まとめとして補助金を申請し、補助事業を実施する事業者の方々に注意していただきたいことをお伝えします。

 わたくし、ココナラで

 というサービスを展開しておりますが、時折、勘違いをしていらっしゃるのではないかというご相談をお受けします。

 それは、「補助事業計画も自社の事業計画も丸投げで作ってください。」というご要望です。
 そもそも補助事業計画というものは、自社の事業計画において実施展開する事業が補助金制度に合致しており、補助金申請をすることが可能だから事業を実施するための資金調達手段として補助金を活用する。という基本が抜けていると、補助事業の効果が上がるはずもなく、またぞろご自身で計画したものでなければその計画を遂行していくという責任感が乏しく、細かいアクションプランにまでつながらず補助事業の完遂すら危うくなってきます。

 補助金制度の変遷で触れていないことが一つあります。
 それは、最近の補助金は申請をして、補助事業として採択されてから、補助事業が終わってから実績報告をして、実績報告の内容を精査されて、認められた補助事業に対して要件に従った補助金が交付されるという形をとるケースが多いです。なかには概算払いで補助事業を実施している間に採択を受けた補助金額の一部(2分の1とか、3分の1とか)を概算払いで交付を受ける例もございますが、最終的には補助事業実績報告によって確定する交付決定額との差額が生じ、交付決定額の方が概算払いで受け入れた補助金額より小さければ補助金を返還しなければいけません。

 あとで、話が違うといっても始まりませんので、きっちりとした対応が求められます。
 また、補助金が支出されているということは国の補助金であれば会計検査院、地方公共団体であればその団体の経理担当部局もしくは監査室、財団や各種組織であればその組織の監査権限を持つセクションから補助事業の内容について監査を受けることもありますので補助事業実施の留意点で述べたとおり、一定期間(小規模事業者持続化補助金の場合は5年間)証憑類を保存しておく必要があります。

 補助金を申請するにあたって、補助事業計画の策定、その基本となる自社の事業計画の策定、見直しなどは主体性を持って、自ら行い、自ら計画を実施するという姿勢と補助金、給付金、助成金などは民間の場合の一部を除いて国民の大切な血税が投入されていることを忘れてはなりませんし、国民の大切な血税を使用させてもらっている以上は事業の完遂はモチロン、補助金等を投資した効果を上げる覚悟で事業を実施しなければなりません。

 お堅いことを書き並べましたが、その覚悟が見えなければ補助事業としての採択もおぼつかないということになります。

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