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海外旅行2023その12 旅行者殺しのパキスタン<前編 ラホール殺人未遂事件>

自分で航空券やホテルを準備し、
現地でも1人で動き英語もそこそこ話す
自称中級旅行者だ。たいていなんとかなる。
なんとかしてきたという自負がある。

なんとかならない場合など滅多にないのだが
2023年9月に訪れたパキスタンには精神的にボコボコにされた。
旅行者的に「これ詰んだな」と思う場が何度もあった。
そんなダイハードな状況と顛末を記しておく。


1.ビザのトラブル

パキスタンに入国するに際し、ビザは必要だ。
私は本来5月にパキスタンに入国予定だったので
4月下旬にはビザを申請した。通常は1週間以内で承認される。

しかし待てど暮らせど承認されず、航空券の日程変更は不可能。
そのため見切り発車でインドまでは行ったのだが
結局インドでパキスタンビザの待ちぼうけをくらい、
それでもビザが承認されないので、不本意ながら日本に
帰国することになった。ビザ代泥棒め。

と思いきや、その後まさかの6月中旬にビザが出た。
申請が4月下旬で承認が6月中旬。遅すぎだろ。
このビザでは8月下旬まで入国可能なのだが
7-8月はパキスタンの雨季なので旅行を避けたいし、
私のスケジュール的にも厳しいものがあった。

ということで再度ビザ代を払い新しいビザを申請し
(今回は申請後2日で承認された←やればできるじゃん)
9月に渡航することになったパキスタン。
しかし、これしきのビザのトラブルなど
所詮は地獄の蓋が開いたにすぎなかった。

2.SIMのトラブルその1

もはや海外旅行はスマホなしでは不可能だ。
地図で位置を確認するのはmaps.meなどを使って
オフラインでも可能なのだが、Uberといった
配車アプリはオンライン環境が必要だ。
さもないと悪質ぼったくりドライバーたちの
格好のカモとなり、経済的損失が待ち構えている。

新たな国に到着したとき、その国の通貨を手に入れる次に
優先すべきことは、その国のSIMを手に入れることだ。
個人旅行者にとって、それぐらいネット環境は大事。
オフラインのスマホが棍棒の攻撃力なら
現地SIMを挿したスマホは破壊の鉄球にバイキルトをかけた
ぐらいの攻撃力なのだ。ガンガンいこうぜ。

しかも令和の世の中、なんと日本でahamoや
楽天モバイルのSIMを契約してスマホに挿していると
特定の国に到着したときから追加料金なしで
ネットにつながるという無双状態。
世の中便利になったものなのだが、パキスタンはどうも
特定の国には含まれない模様。ですよねー。

私は現在iPhoneXRというスマホを使っていて
これはなんとeSIMも使える仕様なのだ。
パキスタン入国前日、esimdbというサイトから
パキスタンで使えるeSIMを事前に選び購入した。
1週間有効1GBで4USD。これで十分だ。

購入したeSIMをダウンロードをする際には、
購入後にメールで送られてきたQRコードを
自分のiPhoneで読み取るという作業が待っている。

端末が複数ある人はどうにかなると思うが、
一人旅かつ荷物を7kgに収めている私はiPhoneのみ。
メールにあるQRコードをiPhoneで表示してしまうと、
iPhoneのカメラでQRコードが読み込めないという事件発生。

仕方がないので、泊まっていたホテルの
メールアドレスにQRコードを転送し
それをホテルの受付のPCでメールを開いてもらって
その画面にあるQRコードを私のiPhoneで読み込み完了。
いちいち説明したりお願いしたり大変だったが
これでパキスタン入国と同時にオンライン確定。

甘かった。なんかつながらないんだよ。
パキスタンに入国してアンテナは立っているのに
ネットにつながらない。全然ダメ。
しばしスマホと格闘するも、どうにもこうにもオフライン。
国境のぼったくりドライバーたちががどこまで行くんだと
私を罠にはめようとしているのにiPhoneは役立たず。

とりあえずその場はぼったくりドライバーから逃げ
乗り合いリクシャー(ラホールではチンチーと言う)
にて国境を去り、メトロ駅まで行くことができた。

しかし、ホテルに行くためにはメトロの後に
再度リクシャーなりタクシーなりに乗る必要がある。
もしネットにつながっていればUberなど配車アプリで
楽に安く移動ができるのに。。

しょうがないのでSaddarと呼ばれる交通の要衝にチンチーで行き、
そこで新たにホテルに行くためのリクシャーを探すことにした
のだが、私の行きたい方向はなぜか道路封鎖されていた。
そっちにホテルあるんだけど。困るんだけど。
お巡りどもは旅行者であろうが容赦なく道路封鎖。
Why Pakistani people…

結局かなり余計な金をリクシャーに払って回り道をして
どうにかこうにかホテルにたどり着くことができたのだが
そこで追い討ちに遭うとは誰が予想できたであろう。。

3.ホテルのトラブルその1

インドから国境を越えパキスタンのラホールに到着した。
ラホールでは事前に泊まるホテルを予約していた。
場所はイマイチなのだが、料金の割に設備がよさそうな
アパートメントホテルである。エクスペディアで予約。
エクスペディアがけっこう安いセール料金だったため。

ホテルに到着した後にすることはチェックインだ。
ホテルなら玄関を入るとレセプションがあるのだが
ここはアパート一室一室をホテルとして提供している。
レセプションはどこだろう。全くもって見当たらない。

本気で見当たらない。ただのアパートだ。
どうする?誰に連絡する?ってオフライン。
電話もできなきゃメールも送れない。
SIMの不具合が痛い。痛すぎる。

体感1時間は途方に暮れた。実際は10分ほどかと。
その時、アパートのとある1部屋のクーラーの
室外機が動いていることに気づき、迷った末に
私はその部屋をノックすることにした。

中からドアを開けたのは白人男性。
ついでに部屋の中が見えたけど、大きなベッドが1つで
そこに現地パキスタン人っぽい男性が座っていた。
そういう関係か。って余計な詮索をしている場合ではない。

私は白人男性に英語で言った。
「ここはレセプションですか?チェックインしたいのですが」
「ちがうYO」
「すみませんが、助けてくれませんか?
インターネットにつながらなくて、ホテルと連絡がとれないんです」
「俺のスマホ使いなYO。オーナーに電話してあげるYO」

白人男性超親切。たぶんその英語のアクセントはオーストラリア人。
オース叔父のスマホでアパートのオーナーと話し、
オーナーがすぐに来てくれることになった。
オース叔父ありがとう。余計な詮索をしてすまん。
これからはオーストラリアに足を向けて寝られない。

15分ほどでオーナーが到着し、無事チェックイン。
と思ったら甘かった。オーナーから衝撃の宣告。

「お前の予約、エクスペディアからだろ?それが問題だYO。
エクスペディアは俺に一向に金を払わないんだYO。
だから、俺はエクスペディアにこのホテルを掲載しないよう
お願いしているんだYO。でもやつは掲載し続けているし
こうして予約を受け続けているんだYO。booking.comやagodaは
ちゃんと金を払ってくれるんだけど、やつだけは問題なんだYO」

でも私もう前払いでエクスペディアに支払い済みだけど。
ということをオーナーに言うと
「俺からお前の予約をキャンセルして返金するYO」
それはありがたい。
けど私は今夜どこに泊まればいいんでしょうか?

夕方5時のラホールで私に与えられた選択肢は
1.このアパートに現金払いで泊まる
(エクスペディアより1泊につき500円ぐらい割高)
2.このアパートにagoda等で即予約して泊まる
(エクスペディアより1泊につき1000円ぐらい割高)
3.違うホテルを今から探して移動する

このときはオーナーの厚意でWi-Fiを使わせてもらっていたが
一歩外に出ればまたネットが使えないのでいろいろ不便そう。
暑い中、新たな宿を求めて荷物を持ってうろつく気力体力ゼロ。
暗くなってからの移動も避けたい。
初めてのラホールで土地勘もない。
そしてオーナーが目の前で私の結論を今か今かと待っている。
ということで、1の現金払いで。ファイナルアンサー。

しかし、とりあえずの今夜の宿は確保できたものの
1泊分のパキスタンルピーすら所持していなかった
(エクスペディアで宿泊代を全額前払いしていたから
初日からそんなに現金は必要ないと思っていたので)。

払うの明日でいい?とオーナーに聞いてみるものの
全額今払えとのことで撃沈。
クレジットカードで払える?と尋ねると
現金で全額今払えとのことで撃沈。
どうする、アイフル。

4.ATMのトラブル

世界共通の認識です、金に困ったら消費者金融。
正確に言うと、旅先におけるATMでのキャッシングですよ。

だいたいクレジットカードの裏にはPLUSとかcirrusとかって
マークがあって、そのマークがあるATMなら
世界各地で現地通貨を引き出すことが可能
(クレカのキャッシング枠内の金額なら)。

オーナーにATMで金を下ろしてくるから、
近くのATMを教えてくれと聞くものの
「一番近くて1kmぐらい先だYO」と言われ
「そこまで車で送っていくYO」とも。

ありがたい。オーナーは忙しそうだったが
彼からすると、ここでアパートの空室が埋まるチャンスだ。
これぐらいはサービスしてくれるのだろう。
オーナーのプリウスでATMへ向かう。
日本車の輸入は関税300%もかかるらしい。
プリウスに乗るオーナー、金持ち確定。

ATMにはPLUSもcirrusも書かれていなかった。
嫌な予感。
クレジットカードをATMに突っ込むものの
速攻で拒絶されて戻ってきた。

「違うATMに連れていってほしいんだけど」
オーナーにお願いすると、ちょっと顔が曇った。
面倒くせぇなぁと声には出していなかったが。

第2のATMに到着。
VISAとかMasterとかステッカーが貼ってある。
でもPLUS等のロゴは見られない。
とりあえずクレジットカードを突っ込む。
脊髄反射のようにカードが戻ってきた。

「もっと大きな銀行のATMに連れて行ってくれ」
オーナーにお願いすると、明らかに顔が曇った。
なんとなく次がラストチャンスだと悟った。
オーナーはこれ以上私に時間を割かないであろう。
これでだめなら他のホテル探しになるだろう。

オーナーは、多分ホテルから3kmは離れているであろう
standard chartered bank(通称スタチャー)のATMに
私を案内した。スタチャーのATMを見た瞬間
雲の隙間から蜘蛛の糸がするすると下りてきた気分に。
スタチャーならいける。いけるはず。

いけるいける。5万ルピー(2.5万円)の金額を指定し
決定ボタンを押すと、スタチャーATMに拒否られた。
「上限は2万ルピー(1万円)だお」と表示された。
仕切り直して2万ルピーを何回かに分けて引き出し。
ATMから出てきた現金のありがたさよ。
速攻でオーナーにお支払い。あぶねー、間に合った。
もういろいろ気疲れしてぐったり。

パキスタンの都市部にはそこそこATMはあるものの
日本発行のクレジットカードで国際キャッシングができる
ATMはどうやら数多くないらしいし、
1回の引き出し上限額が低めなので要注意。

いや、そもそも安い料金のアイキャッチで予約を取り
実はホテルに金を渡さないエクスペディアが
パキスタンでは最も気を付けるべき罠かもしれない。
今回の旅行はエクスペディアに煮え湯を飲まされてばかり↓


インドからパキスタンに入国したこの日

・eSIMが使えずにオンライン環境ではない
・だからUberやGoogle mapが使えない
・道路封鎖していてホテル方面に行けない
・ホテルに誰もいなくてチェックインできない
・電話もWhatsAppも使えない
・事前払いしていたホテル予約が無効にされた
・新しいホテルを探すかATMを探すかの選択
・国際キャッシング対応ATMがなかなか見つからない

等のトラブルが次々に押し寄せ
私は幾度となく「詰んだ」と弱音を吐いた。
せめて1日1トラブルにしてほしいのに、
そうしてくれない旅行者殺しのパキスタン。



ま、ラホールで精神的に殺されかけたという話です。
このように半日で次から次へとトラブルが続発すると
キャパオーバーとなって平常心を失い
最適な判断ができずに思考停止で絶体絶命。

立ちはだかるパキスタンという巨人(奇行種)の前では
今までの旅(訓練兵)での経験など無力に等しく。。
せめてSIM(立体機動装置)があればと悔やまれる。


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