スーパークロスの残したもの
みんな忘れてるだろうけど、前に
を書いた。
その時に日本経済がバブルだったね、MXもバブルだったね、って話をした。
今となっては悪し様に言われるバブルだが、円が強くて好景気だったからこそ可能だったこともあったんだ。
80年代から90年代にかけて、ジャパンスーパークロス(JSX)というイベントがあった。
(なんならつい数年前も開催するとかしないとか発表があって、でも結局立ち消えたりして・・・・今となってはJSXと聞くとなんだか胡散臭いモノの代表になっちまったが、当初はそんなことなかったんだよ。)
JSXには、当時のスーパースターが何人も来日した。会場を準備して、ライダーを招聘して、さらに賞金も出せる。当時のオフロードバイク業界界隈には、そういう体力があったんだ。
(そういえばコンサートも有名どころが多かったな。マイケル・ジャクソンもレディ・ガガもポ-ル・マッカートニーも出稼ぎにきたよ。荒稼ぎできる市場だったんだよ、あのころの日本は。)
寒い時期にやるんで、アウトドアな広い球場は芯から冷える。だからポケットウイスキーをお湯で割りながら、仲間とわいわい観戦する。それがスーパークロスだった。
余談だが、ウェーブも名物だった。
ウェーブってのはこれ。会場の一体感がハンパなかった。
スーパークロス(長いからSXにする)が冬の風物詩になったころ、日本のMXシーンに変化が生まれた。
ジャンプ重視のコースレイアウトになってきたんだ。それまでは、丘陵だったり緩やかな台形だったのが、大きく飛べる尖ったジャンプ形状になってきた。
ジャンルこそ違うが、こういうことが起きてたんだと思う。たぶん。
そう、俺の友人が次々とMXをやめていったのもその頃だった。
むろん、バイクに怪我は付き物なんで、これまでだって怪我はした。だから「コースが尖がってきて怪我が増えた」というより、「怪我がでかくなったからこれ以上ムリ」、という言い方をしてたっけ。
イッパツやると仕事も生活も終了するような大怪我になる傾向、それがSX流行後のMXレースになった。(これは俺個人の見聞に過ぎないので、異論は認めます。)
キッズから始めてプロでやれるほど乗り込んでる人なら、それでもついて行けただろう。だが、サンデーライダー(という表現が当時あった)では、時代の変化についていけなかった。
実際、昔の全日本MXと今のそれを動画で見比べてみると、コースの有り様の変化に驚く。
こうして眺めると、昔のMXは今のEDほどにもジャンプ台がないように見える。
それでも初期の初期よりグッとアップダウンが増えてんだけどな。
で、アメリカでSXが盛り上がり、日本でもそれを見られるようになり、その影響でMXのジャンプもやたらでかくなっていった。
しまいには(FMXみたいに)ジャンプだけでイベントが行われるくらい、オフロードバイクとジャンプは切り離せなくなった。(そして友人らはMXから離れてった・・・・てのが、俺の見てきた景色。)
最近はそのへん、どうなんだろう?と思ったら、迷走してるみたいだな?
(下記サイトから引用)
阿蘇の火山灰に由来する黒土を特徴とするコースは、全日本屈指のハイスピードレイアウトを特徴としてきたが、今大会に向けてコース後半を中心にレイアウトが変更され、低速化や難易度が高いジャンプの削減も施された。パッシングポイントはやや減ったが、安全性は増したコースレイアウトという印象だ。
見応えがあるレース。世界に出ていけるライダーを育てるコース。
それを目指すなら断然スピード重視。
「日本のコースはスピードが乗らないから世界で勝てないんだ」
と山本氏も仰ってる。(前に紹介した動画でご確認ください)
とはいえ、週末だけ乗るアマチュアにそれを求められても、な。
EDは上級クラスと初級クラスの混走問題があるが、MXは同じコースをシェアする問題がありそうやな。
可能なら、昔みたいな緩やかなジャンプが続く(いわゆるヨーロッパスタイルの)コースでアマチュアクラスを走らせ、アメリカンスタイルなジャンプ勝負のMXは、プロクラスだけに開放すればいいのかもしれない。俺はMX経験がないのでシランケド。
俺だって昔は手伝いにMX会場に行ったりしたが、最近は観戦すらしてない。仲間が次々とMXを辞めた結果、俺にとってMXは遠い存在になっちまった。そしてSXも、日本経済が傾くにつれ、開催されなくなっていった。残ったのは尖ったコースとそれにしがみつける僅かな上級者。
競技を盛んにしたいなら、やっぱり新参のライダーが気軽に入れる場所が必要だ。
だからイベント主催者はごきげんモトクロスやゆとりカップを始めてる。通常の大会にゆるふわクラスを設定したイベントもある。
ごきげんモトクロス
ゆとりカップ
チャレンジオープン
モトクロスしませんか?
ハッピーモトクロス
こうして歴史は繰り返すんや。
SXが遺したものの上に、もう一度初心者が走れる場所を再構築していこう。
コツコツやってくその先に、きっとまたMX隆盛の花が咲くはずだ。時間はかかるけどな。
おっといけない。老舗を紹介してなかった。
ヒーローズアダルト
モトクロスごっこ
たぶんモトクロスごっこが元祖ゆるふわ系モトクロスだと思う。これはレースではないけども。
(下記サイトから引用)
「汚れてもいい上着」だけを持参すれば参加可能なのがこの「モトクロスごっこ」というプログラム。
参加料は男性13,500円。女性や子供は10,500円だ。約40年の歴史を持ち、通算89,000人ほどが参加したというのだから驚く。
大型2輪ライダーや子供や若い娘だけでなく、バイクに乗る役柄が決まった俳優やお笑い芸人、横綱関取、バイクが趣味の女子アナまで多種多彩な参加者たち。つまり自転車に乗れれば、2輪の免許を持ってなくても参加OK! なレベルから始まるレッスンなのだ。
(引用おわり)
そして最後にこれを紹介しておこう。SXの話から始まった記事だから、SXで締めておきたい。
(記事から引用)
元々泥臭いスポーツです。泥臭いやり方で地道に開催に向けて歩んで行くスタイルも面白いかなと思います。始めるなら私1人で動いたところで何も変わらないので、まずはライダーやレース関係者の方々と案を出し合うところからやっていければと思います。
この記事についての質問や意見がありましたら私のTwitter,Facebook,instagrams等のDMにお願いします。
(引用おわり)
オフロードバイクはいろんなジャンルに細分化されてしまったが、それぞれのジャンルでいろんな方々が盛り上げようと尽力されている。
今はもう、告知さえすれば人が集まった娯楽の少ない時代ではない。
それぞれのジャンルを超え、知恵を出し合い、協力し合って、みんなで盛り上がっていけるといいね。
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