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バズ情報は裏を取れ!これからの情報リテラシーの重要性

先日、東洋経済オンラインに衝撃的な記事が載っていたとtwitterで少し話題になりました。僕のフォロワーさんはたぶん20代前後のノンデザイナーだけどデザイナー目指したい層とか多そうなので、ちょっとシェアしておきます。

デザイナーの有効求人倍率は55位で0.48倍!?


衝撃的な内容は3ページ目のリストの下の方にあります。

まぁ、1位が建設現場の型枠工ってのはすごくわかりやすいですよね。東京オリンピック効果もろもろが加算された建設特需。

で、2位が保安というか警備員。

建設現場はもちろん、普通の工事でも道路仕様許可を取った場合は保安員を配置しなきゃですし、実は何かと必要な職種です。まぁ、職能給の最たるものなので薄給アルバイトばかりですけどね。

で、肝心なのはこの表の55位です。

美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者 0.48倍

求人数 8.8万人に対して応募数が18.4万人。有効求人倍率は0.48倍で、要するになりたい人の割に募集が少ない職業として掲載されていました。


ここで、あ〜・・・デザイナーって確かになりたい人多そうだし、なるの難しいんだなぁ。。。とか思った人!ちょっと待ってください。

WEBに限らず何かしらの情報を得たら、まずはその情報の出所をちゃんと確認しましょう。一次情報の確認は21世紀の社会で働くなら基本作法です。


見るべきところは出典元

まず、この手の情報の場合はだいたい最後の方に出典元=情報のネタ元があります。わかりやすいように赤枠つけましたが、ここですね。

今回の記事は東洋経済オンラインという経済系ウェブメディアの大手さんなので、当然記者さんはプロです。情報のネタ元は厚生労働省の一般職業紹介状況と書いてあります。

次にこの一般職業紹介状況というのが何なのかを調べますと、厚生労働省管轄のハローワークの資料だということがわかります。

ここまでの情報を整理すると、この求人倍率の資料は2017年度のハローワークでの募集数と応募数だということが把握できます。


情報のバイアスを疑え

では、ここでいくつかこの情報への疑問を考えてみます。

まず、55位という順位ながら美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者という職種が混在しているという点。

次に、デザイナーが欲しい企業でハローワークに求人を出すというのがどういう企業なのか?という点。

最後に、ハローワークのデザイン職の求人に応募する人ってどんな人だろう?という点。


まず最初の職種が混在している点は、おそらく役所仕事で専門技能のサービス業をまとめたのでしょう。データを作るには条件の設定が必要なので、ハローワークもその上部組織である厚生労働省の職業分類表に従っていると思われます。

で、これが古い。もう時代にマッチしてなくて、でも改変のスピードが遅すぎて、だから新しい職業はわかんないのでまとめてポイっとされているのでしょう。


次に、ハローワークにデザイナーの求人を出す企業。まともに考えれば、優秀なデザイナーが欲しければヘッドハンティングか、クリエイティブ系転職サイトに求人を出すはず。

それでもハローワークに出すのは何故か?これはおそらく補助金目当ての募集だと思われます。

中小企業を中心に新しく人を雇うと国から補助金が出たりするんですね。で、その雇用関係の助成金って条件も色々あるのですが、国の管轄する就職斡旋所であるハローワークを使いなさいというパターンもある。ハロワでの募集はそれ狙いなんじゃないかと。


最後に、ハローワークでデザイナー募集に応募する人ってどんな人かと言いますと、これは前の会社を辞めて失業給付金をもらうために転職活動をしている人でしょう。

日本の社会保障には雇用保険というのがありまして、まぁ働いている間に少しづつ雇用保険料という税金を払ってみんなで貯めていて、失業した人が求職活動中にその保険金で助けてもらえるシステムです。

でもこれを受給するには条件がありまして、きちんと転職活動をしなきゃダメなんですね。で、その中でハローワークで求人に応募するっていうのが条件で入ってきたりします。

つまり、この応募数は本当は前の会社を辞めて雇用保険をもらいつつモラトリアム期間を過ごしたい人がある程度混ざっていると見るべきです。転職活動はしつつも、失業給付金の給付期間ギリギリまではわざと落ちてる人がいるって事です。



バズ情報は裏をとれ!

ネット上では日々色々な情報が流れてきます。Facebookもtwitterもタイムライン上におもしろそうな情報が流れてきて、一瞬それをみて驚いたりすると反射的にいいね!を押しちゃってませんか?

でも、こうしてよくよく見てみると色々な裏がありそうという事がわかります。

一次情報を当たってみるという事や、調査条件や執筆者の立場やバイアスを疑う事、そして自分の頭で考えることは情報リテラシーの基本です。

いいですか?大事なことなのでもう一回言いますよ。

自分の頭で考えることは情報リテラシーの基本ですよ。


SNSが普及して以降、ネット上にはバイアスのかかった情報があふれています。

そうした情報の表面だけをみて一喜一憂することなく、きちんと情報元を確認して自分の頭で考える癖をつける事は、ひいては自分の身を守る事につながるはず。

情報を見ていきなり自分の頭で考えるんじゃなく、ちゃんと情報の信ぴょう性を確認しつつ条件を整理してからね。情報みる→考えてSNSで発信!は短絡思考で危ない。

全ての道具は使い手次第。情報に踊らされることなく、インターネットっていうこの超越便利な道具をちゃんと使えれば、もっとみんなが幸せになれるはずです。


追記:しかしさ、記事カテゴリーは就活生向けの就職四季報とかつけているのに参考資料がハローワークってのは少々お粗末じゃないかと思っちゃうよね。就活生の皆さんはこんな情報のバイアスに騙されないようにね。


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