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テクノロジーとビジネスとデザインの越境者でありたい

あなたは半年後、3年後、5年後、どんなデザイナーになっていたいですか?

この質問は現在開催中の「#こんなデザイナーになりたい 投稿コンテスト」のお題。

そして、これは割と短中期的なヴィジョンを語りなさいというお題設定。スタート地点前後の人は即答できるかもしれないが、もうちょい先まで登った身としてはなかなか難しい質問でもある。

スタート直後の時であれば、あんな仕事をしてこんな仕事をして、こんなことができるようになって、欲を言えばあの賞とこの賞を受賞して・・・なんていう皮算用もあけっぴろげに書けたかもしれない。

ところが、だ。

いざ実際にこの業界で10年以上生き残った身としては、そんなお手軽インスタントな成功物語はだいたいの場合はメディアから刷り込まれた借り物であり、自分自身の根っこにあるヴィジョンとは違うという事くらいはわかる。


仕事量に対してデザイナー多すぎる問題

憧れの階段をまっすぐに登り続ける道もあれば、途中で止まって休憩所を作って登ってくる人を応援する方法もある。もちろん、自分にあった道があれば別のルートを行ってみるのもいいだろう。

全部が良いだなんていう綺麗事をいうつもりはない。世の中の報酬の発生するデザイン業務に対して、デザイナーの人数は多すぎる。

だから食えないデザイナーや、ろくな経験を積めずに未熟なままのデザイナーがたくさんいるし、途中で無理ゲーと悟って諦める人も大勢出るし、安く使っても補充が効くからいつまだたっても薄給のままだ。

現実問題として、憧れベースで授業料を搾取するタイプの学校もいまだにあるし、オペレーターとして効果の薄いゴミづくりに従事させられる人も大勢いる。資格不要だから誰でもいきなり名乗れるし、参入障壁の低さゆえに有象無象に紛れがちでもある。

そもそも、デザイナーという肩書きの響きの良さに対して、実績や思想や哲学までちゃんと釣り合う人がどれほどいるのだろうか?

さらにビジネス的な結果まで出せる人となれば、それは一握りの人材だろう。でも最近では技術の掛け算でここを克服する流れもできつつあるから、もう少し良くなる予感はある。


デザインはいつまで道具に甘んじているのか?

テクノロジー、ビジネス、デザインの3つの領域。これらは上下関係ではなく、対等でありバランスするものだと思っている。

しかし、現実ではデザインはいまだに費用対効果を説明できず、データでの説得を不得手とし、テクノロジーとビジネスにとっての一種の道具としてのポジションに甘んじていることが多い。

ここはクリエイティブ界隈ではもう10年以上ず〜っとグダグダやっている部分だ。最近でこそ、ようやく、ようやくクリエイティブの職域から経営者が出始めてきたけれど、まだ全然一握りだ。

別にデザインが偉いから、デザインをトップにしてテクノロジーとビジネスを従えようと言うつもりはない。

デザインに投資を振り切ってポシャるプロジェクトや潰れるお店も全然ある。デザイン的には実現する意義があったかもしれないが、ビジネス的にはダメだろう。

大切なのはバランス。3つの領域を繋いで、循環できる人が必要だ。

それはつまり、価値ある仕事を作り出す職能でもあり、それを加速させる人材である。

僕は、そういうデザイナーでありたい。一歩ずつでもいいから、3年後〜5年後にその位置へ行けるように、虎視眈々と腕を磨いている。


置き去りの文化に光を当てたい

でも、世の中には報酬は出ないけどデザインの必要な対象だって無限にあると思っている。そういう意味では、デザインばかりが前に出る事なく、アートとクラフトの領域への敬意と興味は常に持っていたい。

これから、資本も人手も減っていくこの国で、それでも増え続ける地球人口に対してどんな価値を残せるのか?また、実はすでにすごい価値があるのに、見落としてしまって置き去りにされてしまった文化や知恵があるんじゃないのか?

ビジネスの視点とは別軸で、ものづくりマニアとして凄い作り手を褒め称えて広める活動はして行きたいと思っている。SNSで発信力をつけたいのは、そこの動機がとても強い。

そして、事業の多角化と法人化を控えている。いずれは誰かを雇用し、ともに働きながら後進の教育にも携わりたい。磨けば光る原石を見つけるのは大好きなので、これはもっと深掘りして行きたい。


もはやデザイナーではなくなるかもしれない

総じて、自分のやりたい事と得意な事を突き詰めていくと、もはやデザイナーではなく実業家みたいなポジションになっていくかもしれない。

実際にロゴデザインや細部のデザインはすでに少しずつ手放して誰かに任せることも増えてきたし、ゴールヴィジョンを設定してそこにきちんと届くなら、自分がデザインする事だけにこだわる必要はない。最適なのが何か?が大事だ。

領域の越境者を目指すことでデザインを手放すというのはどこかアイロニカルだけれど、いろいろな事に楽しんで挑戦しながら、その経験を恩返ししていければと思っている。


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