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カブトムシに泣いた話

カブトムシをご存知だろうか?aikoの歌うアレじゃない、マジモンの甲虫のムシキングの方だ。

知っていても、本物を見かける事は東京ではそうそうない。セミやトンボと違ってレア度は高めで、東京でも西寄りの山側へ行けばいたりするが、コンクリートジャングルで見かける事はあまりない。

そんなレア昆虫カブトムシ、どうも今年の夏はうちの娘の幼稚園ではカブトムシブームがきていたようで、みんながこぞってカブトムシを飼い始めた。

え?どうやって飼ってるの?お金の力で召喚してるの?地元のヨーカドーでは1匹2000円で売ってたけどアレですか?そう思ってちょっと聞いてみたら、なんと東京砂漠でもカブトムシの出現ポイントがあるらしい!

なんでも、地元に実はカブトムシの木と呼ばれる伝説のパワースポット的なところがあるらしく、そこに行けばザックザクとれるとのこと。たまにクワガタもいるらしい。

そして娘の仲良しの男の子はレアな方のクワガタが欲しいらしく、今度行くから一緒に行こうよと妻が誘ってもらって採取へ...結果、今年の夏はわがやにオスメスつがいのカブトムシカップルが同居することになった。


思えば自分もそうだった

僕も昆虫大好き少年で、小学校の夏休みには街中のセミというセミを捕獲していたし、トンボも捕まえまくっていた。今思えば、虫から見たら進撃の巨人の人食い巨人のような怪物に見えていたことだろう。。。

そんな小学生だったので、カブトムシも飼ったことはある。都会のど真ん中では捕まえられないので、親戚の伊豆の別荘に遊びに行ったときに朝4時に起こして車を出してもらって捕まえに行った。

早朝のクヌギの木にワラワラと集まるカブトムシやクワガタムシ、カミキリムシに謎の蛾まで、最高にワクワクしたのを覚えている。今見たら正直キモいなって思ってしまいそうだ。あの時の少年魂はだいぶ漂白されてしまった。。。


夜中の羽音がやばい

さて、わがやにやってきたカブトムシカップル。100均でなぜか300円するでかい飼育箱に、購入した土やら木やらをつめこんでカブトムシカップルの同棲生活がスタートした。

大人になってからみるカブトムシはうっすらとウブ毛のようなものが生えていて、全体的なつくりも繊細で、自然の造形の無駄のない美しさ。しかも、動いている。これは子供達がハマるのもわかる。

しばらくカブトムシ夫婦を僕ら夫婦がじっくり見るなどした後、その後の数週間で娘には分厚いカブトムシばかり載っている昆虫図鑑を買わされたり、強いカブトムシになるというちょっと良い昆虫ゼリーを買わされたり、とにかく色々と買わされた。

そして飼ってみて思ったのだけれど、カブトムシって夜行性だ。昼間はぜんぜん出て来ない。木陰に隠れるとかのレベルじゃない、土の中に潜っていて出て来ない。

で、夜中に出てきて真っ暗な中で昆虫ゼリーをモグモグし、箱の中を飛び回る。ジジジジジッツ!!!...という甲虫の羽音が真夜中の洗面所に響き渡る。結構、怖い。

あえて言うと、某アルファベットのGのアイツの羽音に近い。ビビる。

真夏のアイツらは田舎のヤンキーカップル化のごとく、真夜中に飛び回っていた。元気なのは良いことなんだけど、ヤン車を夜中に乗り回すがごとく飛び回るのはやめて欲しい。


そして迎える命の最後

真夜中に飛び回る羽音がだんだん少なくなってきた9月のある日、ついにカブトムシのオスが力尽きた。最後の方はだんだん元気がなく、動きも遅く、体も小さくなってきた気がした。

最後に事切れたカブトムシは、外骨格こそ残っているもののセミの抜け殻のようにそこにあるべき何かがない雰囲気だった。

カブトムシさん死んじゃったー!!!とショックを受ける娘たち。これどう供養すれば良いんだ?と悩む両親。

そんな時、なんとメスのカブトムシが...オスのカブトムシの亡骸に寄り添うようにくっついてきた。そうして、まるで別れを悲しむように身を寄せていた。

これには...正直くるモノがあった。朝からちょっと泣いた。

昆虫に感情があるのかはわからないけれど、この夫婦の子供たちはちゃんと育ててあげなきゃなと熱い気持ちがじんわりと広がってきた。


その後、夫の後を追うように1週間ほどでメスも力尽きた。

先に娘とオスのカブトムシを森の中に埋めていたのだけれど、特に目印も立てていないのに娘は一発でオスの埋葬した箇所を見つけ出して、夫婦揃って同じところに埋葬した。

そうか、夫婦で一緒の穴に眠れたのか。

よかったなぁ...そう思うとまたちょっと泣けた。


今、わがやには彼らから預かった卵が孵化して、カブトムシの幼虫がいる。これから越冬させてサナギになれば、来年にはこの子たちがまた夜中に飛び回るのだろうか。

夜中の羽音、あの時は正直うるさいしビビるし勘弁してくれと思ったけれど、今度は違う気持ちで聞けそうな気がする。

今年の夏、ちょっとだけ同居したご夫婦から預かった子供たち。病気をさせずにちゃんと育てて、今度は森に帰してあげたいなぁ。

しかし、36歳にもなってこんな風に泣くとは思わなかった。最近どうにも涙もろい。幼児のおつかい番組から、昆虫の子育て奮闘記まで全て泣ける。これが加齢ってヤツなのかもしれない。

カブトムシの名前はカブちゃんでした。
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