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21世紀の物々交換と関係人口の作り方

物々交換って、したことありますか?概念としては知っていたとしても、実際にその場でこれとこれを交換しましょう。みたいな経験は、あんまりないんじゃないだろうか?

でも僕は最近、物々交換ならぬ技々交換=ワザワザ交換はたまにやっている。

なにそれ?と言う話だけれど、要するに僕の技術や知識である店舗づくりを手伝う代わりに、食材だったり食べ物だったりをもらう事だ。

例えば千葉のNOLANDと言うトマト農園さんでは、直売所づくりや小屋の改装を手伝いつつ、作業終わりにトマトを何箱も頂くことが多い。これを僕はトマト払いと呼んでいて、21世紀の物々交換だと思っている。

そういえば、ちょっと前にジャーナリストの佐々木さんがこんなことをつぶやいていた。

くらしの豊かさや満足度とは何か

多拠点生活、パラレルワーカー、ノマド、田舎暮らし、こんな言葉がだいぶ出てきて浸透した感じがある。が、実際に田舎暮らしで根をおろしている人ってそんなに増えていない。

メディア的には話題性あるし取り上げたいから出てくるし、田舎のメディアはそもそもネタが少ないのでちょっとおもしろい事をやればすぐに取材に来てくれる。

だけど、そんなメディア露出の割には、僕の友人知人で完全に移住した人って両手で足りちゃうくらいな人数だ。

もちろん、その移住した人たちはみんなそれぞれ楽しそうで充実した日々を送っているようなので、都会の喧騒から離れる事で見える豊かさはきっとたくさんあるのだろう。

僕も仕事柄、やろうと思えば今すぐでもパラレルワークは可能だ。

ただ、どうしてもここに育児の問題が出てくる。

自分だけならいいのだけれど、子供にとって幼少期をどこで過ごしてアイデンティティを育むのかは重要な問題であり、幼い社会を必死に作っているそばから親の事情で移動しまくるのは少々気がひける。

そういう状況なので、関係人口=観光以上・定住未満という関わり方は、これなら自分たちでもできると思える緩い繋がりに見えてくる。


関係人口の差異が可視化する社会

残念ながら僕らの住んでいるこの国は、2年後の東京オリンピック以降に加速度的な人口減少のサイクルに突入する。

正確にはすでにジェットコースターの頂点を過ぎて少しづつ下り始めていて、スピードが乗ってくれば少子高齢化がガッツリと目に見えて具現化してくるだろう。

その時に、人口の少ない地方の中小地域では、この関係人口を作れているかどうかの差がはっきりと目に見えて可視化していくはずだ。

例えば、僕が今仕事で関係を持っているのは熊本の合志市と千葉の栄市なのだけれど、栄市に車で向かうと川を渡る橋に「◯◯t以上の車両は通行禁止」と書かれている。

これは、重量のある工事車両が通ると道路が痛むからであり、それが橋の場合は老朽化を促進→橋の架け替えになってしまい、多額のインフラコストが発生するからだと思われる。

実際、市内の道路は陥没やらデコボコがやばい。雨が降れば大きな水たまりができるし、道路という公共インフラが維持できなくなって来ている。

今後は、これが道路だけでなく地域医療や行政サービスにも波及するだろう。

世知辛い話ではあるが、もうすでに日本は貧乏な社会に突入しつつあって、一部のリッチな行政都市部以外は街も高齢化してゴーストタウンになっていく運命にあるのかもしれない。


関係人口になってみよう

悲観的な話題が続いたが、僕はそれほど悲観はしていない。

確かにインフラは老朽化するし、色々な諦めが必要にはなってくる。でも、そうした苦境こそ新しいシステムを構築するチャンスでもある。

世界の人口自体はここ数十年で未曾有の勢いで増え続けていて、資源の枯渇は待った無しな状況だ。

これからは増やし方ではなく、減らし方が重要になってくるはずだ。

その時、いわゆる強制的な減反政策ではなく、豊かな減らし方という先端事例を作れれば、それはきっと100年先の子孫にとって貴重な情報になると思う。

遠い目線の話をしたけれど、もっと自分寄りに戻してみれば、地方との関係人口的なつながりをいくつか持ってみて、暮らしは確実に豊かになった。


熊本に遊びに行けば阿蘇の山奥で陶芸の窯でピザを焼いて庭でBBQをし、自分の設計施工したジェラート屋さんで熊本の地場のもので作られたジェラートを食べる。

千葉に遊びに行けば農園でトマトをもらい、ブルーベリー狩りをし、どら豆=枝豆をとる。古いうどん店を改装したカフェで一服して、大量の野菜をもらって都内へ戻る。

こうした緩い繋がりのある地域を複数持つと、暮らしも体験も一気に厚みと幅が出る。何よりも、美味しい思い=食の経験が広がる。


これだけ良い体験ができるのだから、きっと需要はあるはずだ。これを読んでみて関係人口を持ってみたいと思う人、出てきたりしないだろうか??

ただし、いわゆる観光としての入り口ではなく、何かしらの「ご縁」があって成り立つ関係だからこそ、誰もがここから入りましょうという導線がないのだけがネックではある。

僕の千葉での仕事はまだまだ広がりそうなので、関係人口に興味のある東京近郊の方にはぜひ手伝って欲しい。興味のある方はtwitter(@OFFRECO1)をフォローしておいてくれれば、何かのタイミングでお手伝いの募集を告知すると思う。

一緒に楽しめる人が増えてくれれば僕も嬉しいし、何よりもそのつながりは地方にとっての一筋の救いの糸になるだろう。いつかその糸が束ねられれば、比喩ではなく橋が架かる日が来るのかもしれない。


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