30代にもなると自分の偏屈な性格はいまさら直せない気がしているが、もしも直せるならあんな性格になりたいなと思う。それは、僕と妻の共通の友人であり出会いのきっかけにもなったある女性の性格だ。

その性格を一言で例えるなら「ソフト頑固」って感じだ。

某県庁にお勤めのお父様に育てられた品の良さと育ちの良さを感じるお嬢様系の風貌は、一見すると気弱な女性にありがちな押しへの弱さを感じさせる。

基本的には素直で従順、そして謙虚。自分の得意分野でもけっして驕ることがない。おまけに美人だ。

僕が講師としてフリーランスを目指すクリエーター向けの授業をしていた時に生徒としてきた彼女は、正直はじめて見たときはおしとやかすぎて弱肉強食の世界には不向きな気がした。

が、僕と妻の出会いのきっかけを作ってくれたこともあり、家族ぐるみの付き合いになり何年もたって、彼女の性格は得が多いんじゃないかと感じる。願わくば自分の娘たちにもこう育って欲しいと思う。

どう育てればあんな性格になるかは正直まったくわかんないが、特徴的なところをいくつかまとめておく。

基本的には謙虚で素直でよく学ぶ

常に謙虚。教えを乞う姿勢というか、わからないことが多いことを自覚していて学ぶ姿勢を常に持っている。そして、わからないことを知ったかぶりせずに「それってどういう事なんですか〜？？？」と聞いてくる。

この姿勢、きっと年長者や経験者には可愛がられやすいと思う。

常にゴキゲン

究極的に外面がいいだけの可能性は否定しないが、ほぼ100%の確率で機嫌がいい。怒っている時ですら雰囲気が柔らかく、それ怒ってるの？と思うほどに。

怒りの感情はシェアしやすい＝仮想敵がいると団結しやすいので、人は集まるとそこにいない人の悪口を言ったりしてしまう。これはもう、人間に基本的にインストールされている機能だと感じる。

この悪口を言ってしまう機能に意識して抗える人も多いが、神様の設定ミスか何かか彼女にはもともとインストールされていないらしい。おそらく怒っているらしい時ですら人格否定はせずに、嫌だった行為やモラルを批判していた。人間ができている。

たまに出てくる毒舌が良いスパイス

時たま、いきなり口が悪くなり本音が飛び出す。（悪口とかではなく、切り口のいい批評的な内容が多い）狙ってこのギャップを出しているならかなりの演技派だが、こういう見た目と真逆の要素を混ぜられると魅力的に見える。

人間はだいたい今までの経験から相手のことを勝手に推測して、◯◯さんはこういうイメージの人！とキャラを設定している。そこから外れた意外な一面は、強く記憶に残るし、いいスパイスになる。

ソフトなのに頑固で自分の芯は曲げない

これが一番すごいと思っている。叶うならば今日、今すぐにでも取り入れたい。柔軟で謙虚なのに、自分がやりたいと思っている事では妥協せずに意思を曲げない。

これは、クリエーターとしては非常に重要な部分だ。

社会生活は多くの人たちで作っているので、やはり周りの意見を聞くのは大事。それでも、本当に大切なクリエーションのコアな部分では譲ってはいけない。周りの客観的な意見を取り入れ続けると、誰も欲しくない非常につまらない物になる。

彼女は天然でそれを理解している。良いアドバイスはすぐに取り入れるが、自分の求める世界観とズレがあるものは完全に無視する。

ある種のブランディングであり、自身の求める世界観をわかっていて、一貫している。妥協しがちでビビリーな自分としては、頑固の真逆である柔軟さを持ちながらも芯の硬さのあるアルデンテな性格がうらやましくて仕方ない。

ちなみに彼女は見た目も美しい。

ややウィスパーでそよ風のような声なので、耳の遠い自分には何言ってるかよくわかんない時もあるけれど、ふわふわした声なので孫の話をニコニコ聞いているおじいちゃんのような気持ちになる。

おまけに妻のフードコーディネーター養成校時代の友人なので、料理も上手。現在はプロのフードクリエーターとして独立し活躍しており、特に製菓技術はピカイチである。

こう書くと男性読者諸君の花嫁候補としてかなり上位に食い込んできそうな感じだが、残念ながら彼女はつい最近結婚しました。

婚活中なんです〜♪と嬉しそうに話していたと思ったら、あっという間に東大卒で大手広告代理店勤務のイケメンをつかまえていた。ゆるふわに見えてヤリ手だった。

ソフト頑固な新妻が家庭内ではどんな感じかはわからないが、きっと楽しい家庭になるんだろうな。

願わくば、あのハードな芯の周りのソフトさの何割かを分けて欲しい。ゼロから始める為に、まずは彼女の「いつでもゴキゲン」から真似てみようと思う。

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