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「 #動きをうごかす展 」で1歳の娘の心が動かされた話

先日、平日の仕事と育児の合間をぬって「動きをうごかす展」へ行ってきた。twitterでフォローしている人たちが絶賛していて気になっていたのだ。

本当は今日は「即レスが身を助ける、という話。」をしようと思っていたけれど、この展示が日曜で終わってしまうので先にシェアしておくことにする。

一言で言えば、行ってよかった。

6月17日の日曜日、つまり今日と明日で終わりだ。

しかも入場無料だ、いいから行け、以上。



それで終わらせたいところだけど、気づいたことや思ったことをちゃんと書いておこうと思う。ネタバレを多分に含んでいるので、行くつもりの人は行ってから見ること。

行けない人の為にちょっと見に行った人の動画系のツイートを貼っておくので、行けないけど感想をシェアしたい人は以下の動画を全て3回ずつ視聴の上でこの先に進んで欲しい。

(※追記:土日は正門しか空いていないそうなので、代々木上原側から正門を通って会場へ向かってください。)



どうだろうか?この滑らか、かつ生きているかのような動きの数々は。

これらは技術だけでクリアできる問題ではなく、人間の認知能力と感情的なバイアスについて考察しなければ生み出すことはできないだろう。

なんてハイレベルな事を行なっているのだろうか。


簡単そうなものほど実は難しい

これ、学生さんの作品だという。

そりゃあ東京大学の山中研だ。日本どころか世界でもトップ5に入るであろうデザインエンジニアの山中俊治さんが指導している選りすぐりの院生たち。実力の高さはある程度イメージしていたが、想像以上だった。

確かにテオ・ヤンセンっぽい作品や、動きよりも外形のデザインに気を取られてしまった部分の目立つ物もあった。(それはそれで造形的には大好物なのだが、展示の主題からは少々ズレる)

それでも、全ての作品が一定以上の水準をクリアしつつ、中には最小限の操作で美しさを生み出しているデザインの真髄のような作品まである。

ちなみに僕が学生さんの作品の中で最も高い評価をつけるなら、螺旋の作品だ。これは技術的には大したことはしていないが、簡易な操作で美しさを再現してみせたスマートな発想の軽やかさが素晴らしい。

簡単にできそうな事を、簡単にやってみせる事が、実はとっても難しいということは、デザイナーに限らず真剣に仕事をしてれば誰もが身をもって体験しているはずだ。



1歳の娘とSEERの邂逅

しかし、やはり招待作家である藤堂高行さんのSEERは圧巻だった。これだけはもう、次元が違う。

もちろん動画で見たってすごいのだが、実物の微細な表現に触れて見て欲しい。いまの時代にこのプロトタイプに触れることは、歴史の1ページの体験者になるという事そのものだ。

何よりも驚いたのが、一緒に行ったまだ1歳4ヶ月の娘がSEERを見て拍手をしていたのだ。しかも、SEERに向かって乳幼児特有の喃語で話しかけていた。

もちろん、それが人ではないということは娘も理解はしているはず。それでも何か心を感じたのだろう。

この瞬間には、ある種のSFにも似た雰囲気を味わった。かつての「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で語られていた世界観である。

自分が攻殻機動隊のアニメの中の人物になったような気分になった。気分は娘を抱くトグサだ。


こどもの感動こそ美の根源

こども達は素直だ。良いものは良いと言い、心動かないものには素直に「つまらない」と言う。

これがどれだけ難しいことか、僕ら大人はそれほど気づいていない。

凝り固まった既成概念、周りの誰かが評価をする事によりそれに吊られて良いものだと思ってしまう協調性のバイアス、いわゆる偏見や体験からくる思い込み。

それらが見る目を曇らせる。

僕がまだ学生時代の頃、母校の先輩でもある吉岡徳仁さんが講義にきてくださってこう話していた。

「良いデザインのディスプレイを作ると、こども達の手の跡がショーウィンドウのガラスにたくさん残るんです。」

動きをうごかす展は、動きだけではなく心をうごかす展だった。

とてつもない物を見せられてしまい、年甲斐もなくデザインへのモチベーションを分けてもらった気がする。


久しぶりに高度な現代アートを見せてもらった。この展示、もう一回言うけど今日と明日で終わってしまう。

無料で歴史の1ページの証人になれるんだ。行かない理由はないだろう。

まだの人は時間を作ってぜひ行って見て欲しい。そして、行った人の感想がもっと色々聞いてみたい。


※本日は投げ銭オマケ記事はお休みです。土日は読む人も減るので、おまけ記事はナシで思いついたネタを即興で書いたり、ゆるい家族ネタや趣味ネタでとりとめもなくだらけるパジャマスタイルいきます。

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余談だが、行くなら地図をちゃんと調べたほうがいい。池ノ上の駅から行ったら入り口がわからずに迷った。

写真は迷った時に東大の裏にあった公園でブランコをする父と娘。いつの間にか次女も大きくなり、ブランコに興味を持つようになっていた。こどもの成長は早い。

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