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もしもネット選挙が解禁されたら?

参議院選挙が終わった。政治の話は思想が現れてしまうし、誰に入れたかでハッキリと敵対してしまったりするからおおっぴらに話すのは気がひける。

でもね、今回の1票は全力で応援して賛同したいと思って入れたわけじゃない。

正直言って、入れたい人がいなかった。

かなり後ろ向きな消去法で、当選して欲しくない人を除外していき、最後に残った人に入れた。結果、その人は当選していたから、僕みたいにそう思った人が多かったのかもしれない。

国政は立法府で、法律を作ったり運用方法を変更したりするのがお仕事だ。今の法律は硬直的で時代の流れにあっていないものも多いし、税金の使われ方もイビツな部分が多くてガタが出てきている。

だから、当選したこれから、どんな仕事をするのかをしっかり見ていきたい。


もしもネット選挙が解禁になったら?

ところで、これを読んでいる人は投票には行っただろうか?今回の参議院選挙の投票率は48.8%。これは史上二番目の低さだそうだ。

要するに、みんなが払った税金の使い道を決めたり、みんなの暮らしていくルールを決める立法府のメンバーを選ぶ選挙に2人に1人が来なかったということだ。

これが民主主義なのか?という疑問を持つのは当然だろう。

もちろん、投票に行きたくても投票できない人だっている。

もっと気軽に投票できればいいのに!!!という気持ちも理解できる。

スマホでどこでも投票できれば、民意がもっと反映できるのに!と思っちゃう気持ちもわかる。


でも、その考えは浅い。

気軽に投票できるメリットばかりを見ていて、リスクを見れていないんじゃないかと思う。

ネット選挙が解禁されれば若者が投票に行く数が増えて、民意にもっと若者の声が反映されるという希望も聞く。本当にそうなるのだろうか?


民主主義は完璧ではない

とても有名な民主主義の暴走の話がある。

世界的な大虐殺へと突き進んだ、あのナチスドイツは民主主義から生まれた。結果は歴史の教科書に載っているあの惨劇と世界大戦だ。

つまり、数こそ正義として多数決で民意を反映するシステムは、必ずしも良い結果を出す方法ではない。

いちばんまともそうだから使われている手法なだけで、世代間の1票の格差から組織票の問題まで山積みだ。

今だって20代〜30代の全員が投票しても、40代以上の半数が投票したら負ける。数が正義とはそういうことだ。

これでもしもネット選挙が解禁されたら、どうなるだろうか?

僕は腹黒で悪いことを考えちゃうので、こんな風に使われないかを心配してしまう。


①老人ホームで組織票を固める

ネット投票ができるのを利用して、本人の意思がなくても票をまとめられるようになる。

本人確認+マイナンバー入力etcを済ませた状態でスマホ+本人を臨時の投票部屋に集めて、その場で投票画面を確認しながら投票させる。

今までなら投票所では誰に投票したかは隠せたけれど、ネット選挙では隠せない可能性が高い。

これは結構恐ろしくて、ネット投票と地方の閉鎖的な文化はめちゃくちゃ相性が悪い。狂信的な政党支持者が浮動票を刈り取りに行くのが目に見えている。


②投票割引の悪用

今回の選挙では投票済証明書を見せると割引になるサービスを色々なお店が打ち出していた。

これが、その場で投票割引みたいなことが出てくる可能性がある。

もっと言えば、その場で〇〇さんに投票すれば割引=結果的に1票を金で買う裏道ルートがめちゃくちゃ簡単に作れるようになる。一緒に画面を見ながら確認できちゃうからだ。

政治なんて興味のない若者はもちろん、1円でも安い野菜を探す主婦なんかはアッサリと釣れるだろう。アイドルの握手会とかとも相性が良い。


③指定した政党に入れないとパワハラ

今だって色々な業界団体や労働組合では、〇〇党に入れてくだい!という“おねがい”が回ってくるのは普通にある。

たとえば郵便局の労働組合では〇〇党を応援していて、適法な資金提供をしていたりもするし、ほかの団体だって政治家への資金提供はしている。もちろん合法なので問題はない。

それでも、現状では最終の投票では誰に票を入れたかはプライバシーが守られている。口では入れると言っておいても、他の候補者に入れることも可能だ。

ネット選挙が解禁されると、これができなくなる。

それこそ指定された政党や候補者に入れなかった場合に仕事の査定に響いたり、取引を中止させられたり、パワハラされたり.....



パッと思いつくだけでもこれだけリスクがある。

投票しやすい事と、組織票を集めやすい事は相関関係があることがわかるだろう。


投票率の高い未来は幸せとは限らない

今回、投票率が低い事は問題だ。

でも、投票しやすくすることで、候補者の名前もよく知らないけど割引券に吊られて票を入れます〜とか、労働組合に半分脅されて票を入れます〜とか、村の集会所に集められて指定した人に投票します〜とかで投票率が増える事は問題じゃないのか?

投票率100%で、浮動票の残り50%が必ずしもまともな政治家を選ぶ保証はない。

ナチスドイツの話は他人事ではなく、実際に日本でもかつて凄惨なテロ事件を引き起こした宗教団体が衆議院選挙に出馬したことがある。

あの時は全員落選したけれど、もしもネット選挙が解禁されていたらどうだったろうか?

従わない者を拉致・監禁して薬漬けにするレベルのカルト宗教が、ガチで組織票を固めに行っていたら...


不在者投票を取りまとめた強力な組織票が政治を動かす世の中は、数の力が暴走する嫌な予感しかしない。

今のシステムがベストじゃないのは間違いないけれど、ネット選挙の解禁は慎重にやったほうがいいと僕は思う。

それならば、子育て世帯ではこどもの分の選挙権を親に与えて票数を増やす=民意を反映しやすくするなどの方が即効性はありそうだ。(これだって色々と問題はある方法だけど)


政治の話、難しいけれど、まずは興味を持つ人が増えることが良い国になる第一歩なんだろうなぁ。

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