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自分の価値を試算してみる「あなたの値段はいくらですか?」

「あなたの値段はいくらですか?」

重い質問で申し訳ない。でも、もしもあなたがなんらかの仕事でフリーランスや独立起業を目指すなら、これは避けては通れない命題だ。

雇われの人も、この視点で自分の価値を再考してみて、期待されている時給以上の働きをすればそれは自分の価値向上につながるだろう。

フリーランスになって仕事を始めて、最初にぶつかったのはこの問題だった。意外なことに仕事が来ないとかの悩みよりも前に、突然ポンときてしまった仕事をいくらで請けるのか?という方が先に来た。


さて、ここで問題です。あなたの時給はいくらでしょうか?

東京都最低賃金は2017年の10月1日から958円に改定された。近所のスーパーの昼間のレジ打ちは時給1250円とかだ。夜勤なら手当もついてもっと高くなるはずだ。(僕が高校生の頃、初めてやったコンビニのバイトの時給は800円とかだった。)

一般的な総合職で20代ならどうだろうか?

20代前半、新入社員、本当ならお金を払うんじゃなく授業料もらって仕事を教えたい位だったりするところだが、月給20万円なら1日8時間×月間23日勤務なら1ヶ月184時間、だいたい時給にすると1100円くらいかな?(ただし手取りの場合は社会保障諸々を会社が負担清算してくれているので、実際の市場価値はもっと高いはず)

今なら派遣社員だと時給1500円とかが普通っぽいけど、派遣社員は社会保障費が自腹なので、結局は新卒と同じくらいの1100円前後に落ち着くんだろう。


フリーランスの人件費≠フリーランスの時給

それでは、あなたがコンビニの経営者だとして、時給1000円のバイトを雇った場合、そのバイトさんは1時間にいくら売上や利益を出してくれれば良いだろうか?

そろそろわかってきたと思うけれど、フリーランスになったら時給は自分の人件費だけじゃダメだ。(人件費+諸経費)×自分のスキルの稀少価値や魅力度、といった感じになる。

時給1000円で雇うなら、最低でも1時間3000円は売り上げて欲しい。それでようやく人件費+仕入値+諸経費をクリアできる。だいたい給料の3倍稼いでトントンだと思っておけばいいだろう。

まぁ、フリーランスの仕事は時給で発注される事はまずない。

「こんな案件なんだけどいくらでやれそう?」と見積りを求められるか、「こんな案件でこれくらいの予算ってやれる?」と先に予算を出されるかだ。

たまに見積りも求められず、予算も出てこない、闇雲に手だけ先に動かすタイプの案件もあるけれど、危険なので早めに納期と予算だけは確認しておいた方がいい。そもそも依頼主にもゴールの見えていない案件は請けないほうが身の為だ。


自分の値段は自分で決められる

参考までにうちの場合の設計料だと、規模や設計期間にもよるけどだいたい50万円〜100万円/1件くらい。物件にもよるけれど1件あたり最低でも実働70〜80時間はかかるので、ならすとだいたい時給5000円前後だ。

え?すごい高いって?

そんな事はまったくない。暴利でもなんでもなく、交通費とか事務所家賃とか諸経費を引いて、東京の都市部できちんと生活できる程度に稼ぐなら時給3000円は必要だ。フリーでやるならリスクをとることも多いし、時給4500〜5000円くらいはキープしておきたい。キャリアによってはこの2倍〜3倍は当たり前だし、士業の方々だと10倍超えもゴロゴロいる。

ちなみに設計用の専用ソフトは1ライセンスで40万円くらいする。パソコンが壊れたらヤバいので常に2台以上稼動しているし、資料のカラーコピーだって地味にお金がかかる。

3DCGパースや専門的な設備設計、構造計算、照明設計は外注するから外注費も発生するし、仕事用の車の維持費に、工具や機材もプロ用はそれなりのお値段だ。

それ以外に営業的な付き合いや、得意先やクライアントの接待なんかもある。アルバイトさんのバイト代もそこから出すし、先々への設備投資もあるから、時給=全額自分の小遣いという訳にはいかない。

う〜ん・・・書いていて結構うんざりしてきたぞ。。。

うちの業界の巨匠クラスだと1件で200万円〜300万円くらいは普通にとっているし、僕もたまに3桁の仕事が指名でくる位には専門性を磨いてある。

それでも、僕は巨匠クラスの価格がすごい高価だとは思えない。トッププレイヤーは数億とか稼いでいて欲しいと思ったりするけれど、これはインテリアデザイン業界の構造的な問題もあったりする。。。

そして、それを払ってでもうちに指名で仕事がくるからには、当然それ以上に魅力的で売れる店を作ってみせるし、その為のノウハウをひたすら磨いてある。

要はクライアントが支払ってくれるお金以上に価値を提供できれば自分の値段は自分で決められる。



自分の値段を試算してチャンスに備えておこう

さて、ここまで読んでどうだろうか?

別に稼げるから偉いってワケじゃない。でも、僕が見てきた潰れていったフリーランスの仲間たちや後輩たちはみんな値段設定が下手くそだった。みんな口を揃えてわからない、決められない、と言う。最初から主導権を放棄している。

そして、ちょっとでも予算を抑えたい、それほどクリエイティブへの興味はなく、その場しのぎの適当に使えそうな若いヤツをさがしているクライアントに引っかかって、安くて便利な代替可能な労働力として搾取されていたりする。

僕はもうそういう不幸な出会いに巻き込まれて潰れていく同期や後輩たちを見たくはない。

だから、自分の値段は自分で決められるということに気づいて欲しい。

そして、自分の値段を試算して常にチャンスに備えておいて欲しい。

楽しそうな仕事や、お世話になった人からの頼みだったり、心意気でディスカウントするのは全然アリだ。アリだけど、値引きってのは元の値段が試算できてこそ値引きできるんだよ。


もう一度、最初の問いを置いておこう。

「あなたの値段はいくらですか?」


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