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ちいさなゲストハウスの経営戦略を考える

先日、とある兵庫県のゲストハウスさんが収益公開しているnoteを見かけた。部屋数や客単価や売上なんかがざっくばらんに書かれていて、どうすれば改善できるのか...と試行錯誤されているのがよくわかった。

僕は宿泊業のコンサルではないので専門知識には欠けているけれど、それを読みながらちょっとした思考のトレーニングをしたので、そのメモを残しておこうと思う。

まずはコレ。石丸さんのnoteを読んで欲しい。売り上げや数字がざっくり出てくる。経費や利益率までは出ていないけれど、推察するに粗利の幅は200〜天井で550か600万円くらいだろう。

ゲストハウスもある種の在庫商売なので、客単価×客室数(宿泊客数)×満室率である程度の天井は見えてしまう。

それ以上の売上を上げるには、バースペースなどの+αのサービスでとるか、マッサージなどの追加サービスを売るしかない。もしくは物販スペースで細かく稼ぐか...いずれにしてもリソース(人、物、金)が必要なので初動でイニシャルコストがかかる。

夫婦で回すゲストハウスで何か新しい施策を打つには、人的リソースという面で打てる手は限られるだろう。おまけに子供が生まれて間もないなら、妻はほぼ戦力外に近いと思っておいた方が良さそうだ。

さて、たった1人でどうこの経営を盛り返すべきか...

あなたなら、どうする?


閑散期ほど安売りはしてはいけない

まず、大事なことを一つ。

ほぼ全てのビジネスに通じる鉄則なのだけれど、閑散期ほど安売りしてはいけない。これは本当にそうなので肝に命じてほしい。

お客さんが来なくて仕事がないと、つい値段を下げたり、手数料の載っかる宿泊予約モールに出店してみたりという価格競争に頭をつっこみがちだ。

安売りは資本が潤沢な場合は有効な戦略だが、小資本で提供できるサービスや商品の天井が低い場合は自殺行為になる。

そもそも人気が出ても売れる商品や提供できるサービスの数には限度がある。しかも1人で回していれば対応にも限界があるだろう。片っ端から宿泊予約サイトに登録して回ったりすれば、繁忙期に地獄をみる。絶対にNGだ。


では、閑散期にするべきことは何か?


正解は、サービスの質を上げる事だろう。

閑散期こそゲスト1人にかけられる時間が増えるわけで、閑散期に訪れることのできるゲストの満足度を高めてリピーターにできれば安定した経営に一歩近づく。

送迎時に通常通らないルートを立ち寄って紹介したり、ゲストの情報から推察できる喜ばれるサービスを提供すれば顧客満足度は上げられるだろう。

例えば食に興味の強そうなゲストなら早朝に朝市に案内したり、土産物を探しているなら好みに合わせてその地域でしか売っていない逸品をオススメしたり...これこそがホテルにおけるコンシェルジュの腕の見せ所である。


打てる手を考える

そうは言っても質を上げてそれが満足度につながりお金になって戻ってくるには時間がかかる。時間はとても大切な資源だ。満足してもらっても、次の予約が数年先ではそこまで宿が持たない可能性もある。

では他に何ができるのか?

石丸さんの考えはこうだ。

【石丸さんの考え】
・客室数を増やす
・客単価を上げる
・稼働率を上げる
・連泊を増やす
・物販を始める
・副業をする
・コストを下げる
・カフェで売上を上げる。

現実的な半径10mの施策って感じではあるけれど、すぐにできそうなものも多い。

ちょっと検討してみよう。

【石丸さんの考えを考えてみる】
・客室数を増やす
これはやれればやるべき。ただしイニシャルコストがかかる。

・客単価を上げる
単価を上げるに足る理由=ゲストへのメリットがあれば可。

・稼働率を上げる
これは必須。問題はどうやって上げるのか?だ。

・連泊を増やす
これもやりたい。連泊でないと楽しめないor連泊だとより楽しめるものを訴求できるかが鍵。ちなみに連泊推奨の宿としては軽井沢の星のやさんが有名だが、連泊はゲストの満足度を飛躍的に高めるのを実践されている。

・物販を始める
リソースが足りるならば...。しかし、仕入れや商品管理を考えると、よっぽど特徴的な商品で利益率がいいか、この宿で販売する理由がはっきりある場合をのぞいて優先順位は低い。

・副業をする
考えようによってはアリ。ただし時間を切り売りする場合はNG。いかに本業にシナジー(親和性)があるかが鍵。

・コストを下げる
ゲストへ提供するメリットが減るコストダウンはNG。そうでない工夫で下げられるものは切り詰めたい。

・カフェで売上を上げる。
これは反対。人的リソースの割に取れる売り上げが少ない。BARの方が良い。でも飲食サービスはスタッフが付きっきりになるので、1人で回す場合は手を出すべきではない。

こんな感じだろうか。

実際問題、これらの検討した改善施策を実行した場合、売上はどれくらい上げられるのか?

客室数が増えれば総売上は上がるが、閑散期の空室コストも増える。ゲストハウスで客単価をあげれば、競争相手が安めのホテルや民宿にかぶってくる可能性もある。

そんなわけで、全体的に痛し痒しな施策が多い。おまけに実行できる人的リソースは1名。しかもゲストハウスを運営しつつ改善もしなきゃいけない。


前提条件を疑おう

ピーター・ドラッカーという経営学の神様と呼ばれる人物がいる。いわく、ビジネスにおいて重要なのは「顧客の創造」であると著作には記されている。

つまり、顧客=お金を支払う相手は本当に宿泊客だけなのか?がポイントになるだろう。半径10mを出て、鳥の目で全体を俯瞰し、虫の目でディティールを検証して、想像のタイムマシーンで未来を見に行こう。

ここから先、ちょっと変化球の僕ならこうする作戦を書いておく。

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