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j-hope「Jack in the Box」超個人的レビュー

中学生の時にブラスバンドに所属していた。顧問の音楽教師(男)は洋楽ロックが好きな人でXを聴いてみたいと言うから私はアルバムを貸した。週明けに会った先生に感想を聞くと「いいんだけどちょっと色んなテイストが混ざりすぎててごちゃごちゃしてんな」という答えが返ってきた。私はXファンなのでこの感想にはガッカリし「そこがいいところです!」と言うと「そういう考え方もあるけど先生は小さくまとまってても良いから一貫した方がいい。これはちょっと疲れた」と言った。確かにそのアルバム(Jealousy)は10曲編成で作曲がYoshiki4曲、Hide3曲、Taiji2曲、Pata1曲と音楽的嗜好が異なる4人の色がハッキリ出た楽曲が詰め込まれており、私は先生の言い分も理解できて新たな気づきも得たのだった。

(また初っ端から全然関係ない話してごめん)

ではBTSのアルバムはどうだろう。BTSは7人グループでPdogg氏が総合的にまとめているとは言え、RM、SUGA、j-hopeのラップライン3名のテイストは異なるし、時に曲を提供するジョングクもまたその嗜好は特徴的だし、ここにさらに外の作曲者も交わってきてソロ曲なんかも入ったりする。つまり色々な味が集められたBTSの世界観とはまるでフルーツパフェのように目にも耳にも美味しく、甘く、人を楽しませるように綺麗に盛り付けられている、そんな良さがある。

さて去る金曜、我が推しj-hopeがソロとして初めてのフルアルバム「Jack in the Box」を世に出した。BTSにいる時とは異なり、他の人とのバランスを考える必要もなく、ただ純度100%のチョンホソクの世界。そしてそれは、素晴らしかった。j-hopeを推す身として、彼だけの世界を聴くことができるのが本当に幸せだった。まさにチョンホソクという箱の中身を見せてもらったような、しかもそこにはBTSでは得られない「一貫性」という名の至福の世界があった。

BTSとソロの違いを漫画「美味しんぼ」で喩えるならば(なぜ突然)、【デザート対決】で最高の食材を集めたフルーツパフェを出した究極チーム(BTS)に対して、厳選の北海道産小豆だけを丁寧に練り上げた羊羹を出した至高チーム(j-hope)、みたいな、そんな違いというか(伝われ)。とにかく、私は昨日彼のアルバムを何度も何度もリピートしながら顧問の先生の「小さくまとまっててもいいから一貫した方がいい」という言葉を思い出したりしていた。

(参考画像)パフェがバンタン、羊羹がソロね。いや、こんな画像いらないってか笑

たった22分のアルバム。BTSのデビューアルバム2 COOL 4 SCHOOLが21分だから時間的には近いけどあちらはSkitが長くて実質的には3曲しか入っていない。ホビのアルバムは10曲でIntroやInterrude的なものを除くと実質8曲だ。そしてこの8曲にしっかりと彼の世界が、彼の考え方が、彼のセンスが、そして未来図みたいなものまで、詰め込まれている。

各楽曲の解説みたいなものは割愛しようと思うのだけど、ホビがアルバムを最初から最後まで順序通りに聴いてほしいと言っていた通り彼は10曲(主に8曲)でしっかりとストーリーを描いていた。アーティストj-hopeという人が誕生して色々な経験を経てこの世界へ思うことを伝え、今度は自分の内面を探り今後について決断する…そんなストーリーとでも言おうか。聴く側にいる私は与えられたものを鑑賞するより他はなく、歌詞や曲の配置などから自分なりに彼のメッセージを感じようとしてみる訳だが、他の芸術作品と同様、その答えは聴く人それぞれの中に生まれるものなので正解はないのだろう。ただし一つ言えると思うのは、彼が確かにこのソロアルバムの中に順序までこだわり抜いたメッセージを込めたというその事実だ。彼は今回、耳馴染みの良い音楽、ダンスに合うノれる音楽を作ろうとしたのではなく、彼の内面にある沢山の想いを外へ取り出し、それを言葉と音に変えて綺麗に整理整頓して私たちに聴かせてくれた。このアルバムはそんなプライベートな贈り物とでも言おうか、Jack in the Boxというハコの中に詰め込んだ彼の精神のかけらたちを特別に見せてもらったような気分になれて、随分長々と書いているけど、まるで大好きなj-hopeもといチョンホソクの分身みたいなものをプレゼントされたようでファンとしては感動と共にじんわりと幸せになれる素晴らしいアルバムだった。

Twitterでも書いて沢山のホビペンさんたちから同意も得たのだけど、今回のソロについて「j-hopeの新たな一面」とか「意外な姿に驚くファンもいるかもしれない」とかそういった表現を多々見かけたのだが、実際のところ私はそんなに意外とも思わなくて驚きもしなかった。夫は「j-hopeっていつも笑顔でファンサービスして明るい(なんとなくまるで「やわな男」とでも言いたげな雰囲気を夫から感じた)人だと思ってたから音楽が全然違ってびっくりした」と言った。そして「女性ファンはこういうの聴いて驚いたりしないかな?大丈夫なのかな?」という疑問を口にした。私はホソクの女を勝手に代表してこう答えた。「いや、ホビペン以外のアミの中にはそういう人もいるかもしれないけど、ホビペンは多分みんなそんなに驚いてないと思う。ホビペンはいつも笑顔のj-hopeからこういう一面を感じて好きだったと思う」と。「そうなの?」と納得できない顔の夫に私はこう追加した。「ホビペンは彼の仕事人なところが好きなんだよ。まぁ、これじゃ伝わらないと思うけど」(ちなみに至って平和的な会話なので心配しないでねw)

確かにMOREもアルバム全体の雰囲気も(あくまでもBTSと比べれば)暗く尖って攻撃的な印象があるかもしれない。だがしかし、その歌詞は挑戦的ではあるけれど内容は希望に溢れている。決して「え…ホビ、こんなこと考えてたの?こんな風に感じているの?」とショックを受けるような部分はなく、あくまでも私たちの希望であり続けてくれた。この世の汚い部分や人と人の対立を見ても「この世に悪い人間はいない」と希望を歌うのが私の推しなのだ。

それにさ、あのリリース当日のブイライブ。見ました?あの日あんなカッコいいイケてるアルバムを出した男とは思えないほどに、ため息が出るほどに可愛かったよね…。それこそ逆にその可愛さに私は驚きましたよ。

「自分とは何者か」
「自分ってどんなタイプの人間か」

その問いに実際答えはないんじゃないかと私は思っている。というのも、人間って場や雰囲気に合わせて色々な顔を持てる生き物だと思うから。それこそ例えばアミ友に見せる顔とただのママ友に見せる顔は会話のネタが違うから相手に与える印象も全然違ってくるだろう。職場で見せる顔、取引先に見せる顔、友達に見せる顔、家族に見せる顔、全部少しずつ違うはず。でもその中にも共通する性質みたいなものはあって、ホソクの場合、それがブイラやvlogで見せる顔なのかなーと私の場合思うのだ。明るくて、優しくて、気配りができて…みたいなところ。でもきっと、みんながホソクの印象をそのように語るとホソクの内面では「そうやって良く見てもらえて嬉しいけど本当のところは…」という葛藤があったりして。だから今回彼が「j-hopeの新たな一面」と呼んだのはそういうポジティブに見てくれる人へ「ごめん、実際はそればっかりじゃないんだ」な面だと思う。そして、その見せてくれたものに対して「意外!」と思わなかったホビペンが沢山いたことは、私たちホビペンは喜ぶべきことだと思うし、何よりもホソク自身が嬉しいことなんじゃないかなと思う。自分に置き換えて考えてみても、多くの人によく言われる「あなたってこういう人よね」とは違う「多分誰にも見えてないだろうなぁ」っていう面を自分を好いてくれる人に理解してもらえると嬉しいじゃないですか。だからこのアルバムはある意味で、ホビとホビペンが両思いであることの確認ができる記念碑みたいな存在になるのではないかな。

ホビはどこかのインタビュー(確かRollingstoneだったと思う)で、まだ学びを得られるステージにはいないと語っていた。作品は出来上がったけど、それを出してみんなからの反応や評価を得て、なんならロラパルーザで実際にステージを見せて、それで初めてこの作品を通しての学びが得られるのではないかと。アルバムリリースはあくまでもスタート地点に立ったに過ぎないと。ああ、なんて素晴らしいんだ、我が推しは。私はこうしてブレることのない推しのプロフェッショナリズムを心から愛している。確実にコツコツ努力家タイプの我が推しは、弛まぬ努力によりきっとこれからもずっとずっと高いところまで上っていくだろう。夢も成果も役割もDoneだけど、大きく燃え上がった炎をもっと燃やし続けてくれるのだろう。

【追記】
Safety Zoneという曲を聴いた時の私の第一印象というか、すぐに想起した情景がソウルのホビ自宅前の漢江沿いの遊歩道だった。その後歌詞を見てみて、私はなんというか「やっぱり!」な気分になり、勝手にホビもあの遊歩道を歩きながらあのメロディを生み出したのではと思い込み、勝手に幸せになりました、とさ。

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