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2019/09/10 電車内備忘録

今日は「青春18きっぷ」で丸一日かけて移動するので、電車内で思ったあれやこれやを逐一書き記していこうと思います。

また、移動中ずっと携帯をいじるのも馬鹿らしいので、以下の2冊を荷物に忍ばせた。

『きいろいゾウ』 西加奈子

図書館で借りておいた本。以前1/3ほど読んでいて続きが気になっていた。と言ってもまだまだ300ページほどある。文庫本の方なら軽くて嵩張らなかったのだが、市内の蔵書は全て貸出中だったので。


『止まりだしたら走らない』 品田遊

ダ・ヴィンチ・恐山、もとい、有実泊氏の短編集。こちらは予めAmazonで購入済み。昨秋から恐山さんへの関心が高まり、このタイミングで読むことに。私は毎朝、恐山さんのマガジンを読んでから昨晩したためた文章の公開設定をしている(逆の日もあるが)。

ずっしり重い本(全然“忍んで”ない)。まあ仕方なし。それでは、以下長文。

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『次は、大磯。』...さっきから、隣の乗客がこちらに傾いできている。女性のようだが、ピンヒールを履いた足を組んでいるので何も思うところはない。困るなー、ぐらいだ。折角読んでいる本にも集中できない。頭をもたげるな。

『次は、二宮。』さすがに限界だ。知りもしない乗客のために未だ先の熱海まで立つことになるのは些か癪だが、安寧のためには仕方がない。ということで、人の乗り降りが一段落したのを確認してドア横のスペースにリュックと体を沈めた。『次は、鴨宮。』

...あ、降りた。おまけに空いてきたので、もう一度座った。さっきとは反対側に。

根府川。ふと後ろの窓を見やると太平洋が見えた。チラッと。先日は日本海を見た。明日からは瀬戸内海だ。

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川崎駅の写真を貼ろうとしたら、丁度トンネルに入ってしまった。長い。電波も届かない。このトンネルは何km、いや、何十kmだろうか。

そういえば、熱海で乗り換えたら既に座席は埋まっていた。函南でもそれなりに人が乗ってくる。東海道線の客層はよく分からない。

函南、三島、沼津。あっという間だ。もう終点。1章しか読み進めらていないが、それはそれで。

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『掛川駅において人と列車の触車が発生しました。現在全ての駅に車両が停まっているため、発車することができません』わーお。今日中に高松に着かなかったらウケるな。いや、困るな。Twitterを確認するも、全く話題になっていない。そうか、もう静岡だ。

『次は、富士。身延線は乗り換えです。』ここから身延線に乗れば甲府まで行けるな。甲府駅0番ホーム。

口寂しいので家からくすねてきた塩タブレット(塩分チャージ的なやつ)をかじる。大垣駅の乗り換えが25分ほどあるからそこで昼食を買おうと思っていたが、ダイヤの乱れがどこまで影響するか。

『次は、興津。』何かの句に「沖つ白波」という七文字があったが、あれは「興津」や「起きつ」の掛詞だろうか。

『次は、静岡。』『現在この列車は11分遅れで運行しております。(中略)皆様には大変ご迷惑をお掛けしております。』沼津を出た段階では10分の遅延だった。全駅に停まっていた列車が順次動き出したというのに、そこから1分+で収めているのだ、すごいなぁ。私の通学路線では「ご迷惑を〜」のあとに「申し訳ございません」をつけるので、それを聞く度に(謝らなくていいんだよ...)と思う。

またアナウンス。どうやら私が乗っている青い座席の車両は浜松駅で切り離されてしまうらしい。豊橋まで行きたいので、どこかのタイミングで移動しなければ。しかしここは何両目なんだ。

西焼津。まだ浜松までは距離があるので、移動した先が満席であるリスクを考慮するならこの場に留まっておくのが最適解だろう、ということにしておく。半分投げやりだ。

『次は、島田。』やっぱり移動。理由は、だいぶ空いた車両内なのに隣の人がくっついているから。尻を浮かすついでに前方の赤いシートを目指すことにした。ただ、やはりと言うか満席だったため、ギリギリ切り離される位置に陣取り虎視眈々と連結部を見据えている。

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...浜松切り離しの攻防を書きすぎな気がしている。

『次は、掛川。』車内にトンボが入ってきた。窓は嵌め殺しになっていて、開かない。こっちに飛んできたら捕獲を試みようとも思ったが、ずっと反対側の窓にダイブしている。しばらく見ていると、向かいのカップル?夫婦?(どっちの方が不躾でないのだろうか)の女性が止まっているトンボの羽根をつまむ。丁度掛川駅に着いたので、そっとホームに出てリリース。お見事。

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原付ではとても近づけなかった浜松の中心。あっさり心臓部に到達できたが、だから何をするでもない。今回は、ただの中継地点。

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浜名湖の海の方。

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現在11時44分。45分。腹減った。大垣駅到着予想時刻は13時17分。くはぁ。

熱海の辺りから、相変わらず18きっぷユーザーっぽい人が多い。有効期限は今日までなのだが、彼らはどうやって帰るのだろうか(私は夜行バス)。

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ボケているが、ウィダーイン味噌の広告。名古屋圏のスーパーには複数種類置いてあるのは確認済みだ。パソコンに陳列棚の写真が残っているはず。

川崎市立図書館で借りた本を、青地に銀色の広葉樹がプリントされた書店の袋から取り出して、地元にいくらか似た車窓を横目に読んでいる。...日常か?『次は、名古屋です。』Googleマップを見ると、青い丸は名古屋のド真ん中にいる。...非日常だった。

名古屋。乗客がぞろぞろ降りていく。大垣はまだ先だ。腹減った、トイレも行きたい。

木曽川を渡った。...。残る二川は見逃したらしい。小説に夢中だったばかりに。

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逆光。私にとって、コンビニのサンドイッチはハレの日の食事だ。おにぎりや菓子パンのほうが安くて腹も膨れるから。伯爵になったら常食しよう。

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米原駅の看板を撮り損ねた。間もなく出発、というタイミングで気が付き、慌てて撮りましたるは向かいのホームの小っちゃな「まいばら」。

薄ら寒いなー、と思っていたら、雨が降り出したらしい。パラパラとではあるが窓に当たって音を立てている。これだけのスピードで移動しながら、雨が降っても体が濡れることがないなんて。やっぱり、筺ってすごい。

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野洲。さっきまで乗っていたのは網干駅止まりで、2つ先の相生駅まで行くにはどこかで乗り換えが必要らしい。乗換案内に任せっきりにしたところ、ここで途中下車。

そして、雷鳴が轟いている。雨はほとんど落ちてこない、落雷するでもない、あっちの空は晴れている。ただ、ひっきりなしに薄く光って、それから呻きを上げている。おかしな天気、夏の天気だ。

...来た。なるほど始発列車だ。乗換案内様の言う通り。

京都。中学校の修学旅行以来だ。原付ならまず避けていた大市街地を、最短経路を往く鉄道は正面突破していくんだな。でも、この車両の座席は進行方向を向いた2列シートが通路を挟んで並んでいる。朝とか、居心地が悪そう。

新大阪。大阪〜京都間の距離感がよく分からない。一度、首都圏の鉄道網に置き換えてみなければ。そしてまた晴れた。雲を置いてきたらしい、西の空は快晴だ。

甲子園口駅を通過。『きいろいゾウ』読了。以前読んだ『陽だまりの彼女』然り、私は危うさの見え隠れする女性(妻)の夫婦の物語が好きだ。図書館で読み終えたあと、書店で買って帰った。四ツ谷のあおい書店だったか。そういう類の小説をご存知でしたら是非お教えください。

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芦屋。山の中腹に見えたあれが六麓荘だろうか。全然取れていないな。

姫路。『止まりだしたら走らない』読了。素敵なフレーズがあったので、プロフィールに書き加えておくことにする。64ページです。

読破した2冊の本は、これから2泊4日の間、リュックの奥底にしまい込む荷物になる(読み返しても良いのだけれど)。いや、それだと重心が低くなっていけない、とも思ったが、底にしまうのが一番本を傷つけない方法かも。私は図書館(図書室)で借りた本にどうしてもシワだの折れ目だのを付けてしまう。皆どうやって運搬してるんだ。

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相生。「あいおい」って凄いですよね。「Aioi」。相生蒼以さんという方がいましたらご一報ください。いよいよ山陽本線。

座れなかったので久々に車窓に忍者を走らせてみたが、どうも感覚を掴めない。昔の自分は二段ジャンプを容認していたっけ。

高校生が多くなってくる。帰宅の時間だ。横にいる男子グループはオープンキャンパスやビジャの話をしている。

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最後の中継地点、岡山。ここまで12時間。エスカレーターの左右が気になったので観察したところ、どっちもアリらしい。パッと見では左に乗る人が多い印象だけど、きっちり右側に乗る人もいた。通勤時なんかは「今日は右の日か〜」ってなるんだろうか。

快速マリンライナーがホームに滑り込んでくる。自由席なら18きっぷで乗れるのだよ、ワトソンくん。いざ座ろうと思ったら、先発組がおもむろに背もたれの上部を掴み「バターン」という音とともに前後をひっくり返した。シートはそのままで、背部だけ、進行方向に合わせて、こう...。

【 l_ l_ l_  _l 】→【 l_  _l _l _l 】

折り返し運転だったからね、こう...。

にしても、人が多い。完全に家路を急ぐ皆様。これは「瀬戸大橋ー!」といって連写する雰囲気ではないか。いや、そもそも既に暗夜だ。

リード文を書き終えた。外を見ると、既に坂出市に入っている。橋ー!

『次は、終点高松。』夕食と朝食のプランを練る。サンドイッチだけで動けるほど私の燃費は良くない。まぁ、動こうと思えば動けてしまうのだが。

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高松到着。ようやく今日のノルマ達成。

高松の街は自転車が多い。学生もサラリーマンもやたらとチャリに乗っていて、歩道の自転車通行スペースもたっぷり確保されている。あと、バイクも多いように思う。ここは二輪を甘やかす街だ。明日の徒歩移動にかかる時間を計りながらバーミヤンへ歩を進める。


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...誰がなんと言おうと、バーミヤンの五目焼きそば。うどんより半身揚げより、今は五目焼きそばの口だったので仕方ない(うどんは明日の朝)。

さっき、横にいた客が「このご時世やけぇのぉ」と言っていた(前後の文脈は各自ご想像ください)。そうだった、「〜じゃけん(ぇ)」は岡山・広島に限らず瀬戸内全般で使われているんだった。

どうやら、私はいま、瀬戸内にいるらしい。

1日目(了)

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