見出し画像

ものは考えよう-趣味人の発想だけど、サービス開発も「電車でGO!!」

NTT研究所には本物の電車と同じ大きさの模型があった。車内広告を紙からディスプレイにして広告やニュースを表示する。駅に配置したWiFiからコンテンツ映像を電車に送る・・・なんてサービスを開発してデモするために、電車の模型を作ったのが2001年。2015年に登場したE235系と同じコンセプト(もちろんE235系の方がずっとカッコいいけど)。

「JRでもないのに、こんな電車なんか作っちゃって」

という声も聞こえてきたけど、気にしない。FTTH金沢トライアルのマンションデモでうまくいったので、サービスを売り込むんだったら、サービスを使う環境をちゃんと整えないと・・・と思ったのだ。

JR東をはじめ京急や東急などの鉄道会社の方々に、この電車のデジタルサイネージを見学してもらった。見学してくれた人たちは「え~!電車も作っちゃうの!」と、そのやる気に感心してくれた。そのおかげか2001年には東急電鉄と共同実験「渋どこ」を東横線で行った(写真左)。山手線のトレインチャンネルの前年だ。さらに、2004年には京浜急行2100形(全車両クロスシート)で試行サービス「トレビジョン (train vision)」を行うことになった(写真右)。京急では、座席料を払って品川駅から座って帰れるWing号が走っていたが、その付加サービスということで広告とともに、WiFiで配信した夕方のNHKニュースを流していた。

ただ、商用化では三菱電機の開発したトレインチャンネルがJR東の山手線に導入され、私鉄各社も同様なデジタルサイネージになってしまった。よく言われるのであるが・・・

一歩先ではなくて、サービスは四分の一歩くらいがちょうどいい

ということだった。技術とサービスを取り違えることしばしだだった。もっとも、NTT研究所で電車を見学されたJR東のMさんは、京浜東北線を走っていた209系(本物の電車)をJR東の研究開発センターに持っていき、さまざまな実験を重ねてJR東日本アプリを開発された。

さすが!餅屋は餅屋である

しかし、そんなことで技術屋はめげない。次の挑戦は駅のデジタルサイネージである。もちろん、単に映像を流すだけでは技術屋は満足しない。カメラで人の行動を認識して、それに合わせて映像表示を変化させるデジタルサイネージを開発した。

この写真は2004年2月に開業した横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅である。東横線でデジタルサイネージを商用化できなかったことに同情してくれた横浜高速鉄道のOさんたちと新しいデジタルサイネージ「みらいチューブ」を企画した。開業前の壁に500インチのスクリーンを貼りつけ、4台のプロジェクターと4台のカメラ、さらにパソコン数台でシステムを組んだ。システムはNTT研究所のSくん、Tくん、Kくんが開発した。おそらく世界でも初めての駅での試みだったと思う。人がスクリーンの前を歩くとキャラクターが一緒に歩いてくれたり、人の前のスクリーンにアカペラ歌手が登場して歌いだし、5人並んで立つと5人のアカペラ歌手がハモって歌ったり、とさまざまな工夫を凝らしたコンテンツが登場した。

残念ながら、このサイネージも広告がとれず、数年で幕を閉じてしまった。ただ「みらいチューブ」がコンコースの名称として残り、スクリーンもいまだに健在である。

(少しは成功もしたけど)失敗をたくさん経験した。そうすると失敗する恐怖心が減ってくる。もちろん、それを許してくれる寛容なマネージャーがいないと困るけど・・・

とにかく、やってみよう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?