とりわけ

思潮社の現代詩文庫、第1042巻『山村暮鳥詩集』(1991)は、それまで1000冊以上が出ていたのではなくて、1001からはじまる「現代詩文庫 第二期 近代詩人篇」シリーズの1冊である(その前から、第1巻からはじまる「戦後詩人篇」シリーズがあって、101からは「現代詩人篇」になって――以前出ていた「新選現代詩文庫」シリーズは別――、これを書いている今は250まで出ている)。「近代詩人篇」シリーズは、表紙が白と、暗い青であるのが、うまくいった。ほとんどの詩人の詩集に、この色が、調和している(とりわけ宮沢賢治)。ほとんど、と言ったのは、なぜなら、立原道造には、もっと明るい緑のような色が、いいのではないかと思うからである(この人の岩波文庫は、緑だった)。しかし立原道造も、(古本でいくつかの巻を集めている、1970年代の角川書店の)全集を読んでいると、私の予想とは違った、意外な詩もあったから(おもしろかった)、明るい緑(だけ)の人だ、と決めてしまうのも、間違いなのだろう。1991年の現代詩文庫の『山村暮鳥詩集』は、新しいほうの暮鳥全集、筑摩書房の『山村暮鳥全集』を(今、ここには、詩を集めた第1巻・第2巻、1989年、しかないのだけれど、全4巻であるだろう)もとにして、詩を選んだ1冊であるので、この全集の前に出ていた暮鳥詩集よりも、いろいろ、しっかりしているのだと思う。

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