見出し画像

すべてのhomeを持つ人々に見て欲しい ホーム~おばあちゃんが帰る日~

少し前のことですが、1月25日(土)に、福島県双葉郡富岡町で開催された町民劇『ホーム~おばあちゃんが帰る日~』を観劇してきました。それがめっちゃ良くて、めっちゃ良かったから、みんなDVDで見て欲しいし、広めて欲しいし、そのためのクラウドファンディング応援して欲しい。という話を書きます。

あまりにも感動しすぎて、その感動をきちんと言葉にしなければと思って、自分の中で熟成させていたのですが、気がついたらクラウドファンディングの最終日になってしまいました。なので、未消化の部分もありますが、今の時点の感想を書きます。

■前提:震災後の双葉郡富岡町の状況についてさらりと

私が住んでいる福島県郡山市では、ふだんの生活でも仕事上でも、(個人差はあるものの)多くの人が被災地という感覚をあまり持たずに暮らしていける環境にありますが、原発20km圏内のエリアについては、避難先から戻る・戻らないという選択を迫られることをはじめ、未だ被災地としての困難さ・複雑さが存在します。仕事の中身、家族構成など、様々な要因で被災者としての補償の中身も違い、ときに利害関係が対立するケースもあります。様々な風評被害もあります。一方で、中に住む多くの方は、生活者としては、復興という非日常を意識せず、平穏な日常を送りたいという気持ちも持っています。

福島県双葉郡富岡町は、事故のあった福島第一原発の立地する大熊町のすぐ南。距離でいうと、福島第一原発から5-15km程度くらいの場所にあります。東日本大震災後しばらくは全町避難。平成29年(2017年)4月1日より北東部の帰還困難区域を除いて避難指示区域から解除され、戻りたい人は戻れるようになりました。

震災前の2010年時点の人口は16,001人。2019年1月1日時点では、住民票を持ちつつも、町の外に住む方が12,188人。町の中に住む方が835人。震災前の人口の5%程度が町内に居住しています。

今回の劇『ホーム~おばあちゃんが帰る日~』は、3世帯同居で郡山市で避難生活をしていた家族のおばあちゃんが、1人で富岡町に戻るという引っ越しの日を描いた話です。

■素晴らしかったところ1・・・分かりやすく、エンターテインメントになっていた

まず、この劇の素晴らしいと思ったところは、上に書いたような被災地の複雑さを解きほぐして、誰もが分かりやすい物語として編集し、かつ笑いあり涙ありの受け入れやすいエンターテインメントとして表現しきったことです。

1時間の劇であり、かつ全体的に前向きなメッセージが多く、分かりやすくしていたので、見る人によっては「あれが富岡町のすべてではない」という違和感や、物足りなさ、苦しさを感じることもあるかもしれません。でも、制作をされた皆さんは、おそらくそのような意見、様々な立場の人がいることを想定して、なるべく誰も傷つけないことを考えながら、それでも、勇気を持って「これが今の私たちです」という表現をやりきったと思います。それによって多くの方が感動をしたはずです。

脚本を書いたのは、町外の脚本家の方のようですが、制作期間中に住み込みをして、合宿のような形で、出演者一人ひとりと意見を交わしながら、内容を仕上げていったようです。演じられている一つ一つの言葉の重みや迫力は、やはり当事者が演じる町民劇でないと生まれないものだと感じました。

■素晴らしかったところ2・・・一人ひとりに愛があった

そしてもう1つ素晴らしかったのは、登場人物すべてに対して愛があり、救いのあるストーリーで「一人ひとりの感じ方、考え方、歩む速度は違って良いんだ」というメッセージを感じたところです。

イノシシの家族を登場させ、イノシシたちの想いを語らせた場面では、誰かを悪者にすることはしない、という意思も感じました。

■素晴らしかったところ3・・・町外の人にも響く本質的な内容だった

最後にもう1つ素晴らしいと感じたのは、おそらく、富岡町とまったく縁のない方にも響く本質的な内容だったということです。私は、イノシシ役の鈴木亮さん以外に1人も演者の知り合いはおらず、富岡町と特別な関係があったわけでもないのですが、多くの登場人物に感情移入し、はじめからおわりまでほぼずっと泣いていました。

劇でここまで泣くことは始めてなので、なぜこんなに感動したのか、それを言語化したいと思って時間をとってみましたが、未だ整理しきれず……

最も感動した場面は、登場人物のみどりさんが、海辺に立ち、津波にさらわれて亡くなったももこさんと対話しているところ。

私が母を亡くしたのは、2007年で、11年以上が経って、あまり思い出して涙を流すようなことはここ数年は無かったのですが、このシーンを見ていたら久々に、母に対してこれまでと違った感情が湧き上がって涙が溢れてきました。

劇中で登場人物のみどりさんが葛藤していることと、私が日々悩んでいることは違うし、シチュエーションも違うのだけど、「亡くなった大事な人が、すぐそこで見守ってくれている感覚」というのが、劇を観ながら感じられたからなのかもしれません。温かな気持ちになりました。ありがとう。

■協力のお願い

今後、この劇は、DVDにしていろんなところに配られたり、また、東京公演なども考えているようです。1/25の富岡町の上映会では、300名ほどが集まったようですが、元々の富岡町の母数を考えれば、ほとんどの方が観れていません。

富岡町民の方も、外の方にも多くの方に見てほしいなと思います。既に目標額は達成していますが、支援がより多く集まることで、上映の機会が増えます。

私もクラウドファンディング参加して、DVDをリターンとして受け取るので、SHOKU SHOKU FUKUSHIMAでも上映イベントをやろうと思っていますが、劇を観た方も、観ていないけど興味がある方も、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。本日、支援受付の終了です。


上映イベントを郡山でやるときは別途お知らせします。


サポートいただけたら、最もお世話になっている奥さんに美味しいものを食べてもらおうと思います😃