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一目千本桜の地で生まれた新品種 2024年3月8日up

おおがわら千年桜 オオガワラセンネンザクラ

Cerasus’Ōgawara-sennenzakura’
2024年4月正式発表予定
この春から大河原町の一目千本桜の仲間入りをする新品種です。昨年から外部に依頼して品種同定調査を進めており現段階で新品種であることは確定しておりますが、今は最終調査を待っている段階でそれが終わり次第新聞などで発表予定です。
外観は次の通り。概要については次の大河原町広報誌「広報おおがわら」1月号「花は桜木」をご覧ください。当HP「一目千本桜の地で新品種あれこれ」にも掲載中。

https://www.town.ogawara.miyagi.jp/secure/2650/2024-1-5.pdf

「おおがわら千年桜」原木(自宅圃場)

(2023年11月30日up)昨日、「はなうめ」さんから学名のタイプミスを見つけていただきました。皆様失礼しました。今後気を付けます。「はなうめ」さん有難うございました!

(2023年5月25日up)オオガワラベニザクラが「桜の名木を訪ねる」で紹介されました!
http://home.r07.itscom.net/miyazaki/sakura/sakura.html#best

(2023年5月25日up)4月4日に新宿御苑でタマユメザクラを見てきました。お陰様で広がり始めています。ありがたいことです。何でもどこかの大手の苗販売会社が苗木生産を始めるとか。


(2023年3月29日up)31日から「おおがわら桜まつり」がいよいよ始まります(13日まで)。2町の郵便局でも8店舗が新品種の「大河原紅桜」の切り花を店内に飾り、祭りムードを盛り上げてくれています。

大河原幸町郵便局では受付カウンターに飾りつけられました。皆さん!ぜひ和んでください。

大河原紅桜 オオガワラベニザクラ

この桜は、尾形が東日本大震災で被災した名取市の宮城県農業高等学校に赴任した2年後の2014年4月にプレハブの仮設校舎前で交配した品種で、2020年4月に初めて開花。その後交配者の自宅圃場において増殖し育成してきました。
Cerasus‘Ōgawara-benizakura‘
(公財)日本花の会 公開用資料より(認定番号 第043号)
認定月日 2022年4月22日 申請者 大河原町
 

 この桜は尾形政幸氏(宮城県柴田郡大河原町)が樹勢が強健で、病害虫に対する抵抗性が高く、寿命が長い‘染井吉野’型の桜を作るため、‘染井吉野’を母親としてエドヒガンを交配した結果、誕生した桜です。2014年4月に交配を行い、同年6月に3個の果実を採取、翌年3月に播種、2個体が発芽したため、育成を継続し、2020年4月に観賞性が高く‘染井吉野’と同時期に開花する1個体を選抜しました。現在、育成者の圃場において同個体の苗木が増殖、育成されています。2022年4月現在の樹の大きさは樹高約5m、地表面より約1.2m上部の幹周は0.3m、樹勢は旺盛です。
エドヒガンとオオシマザクラの雑種と推定されている‘染井吉野’にエドヒガンを戻し交配した品種で、葉全体の形、葉身や葉柄、小花柄などが有毛であること、がく筒の形が狭長壺形であることなど形態的な特徴にはエドヒガンと‘染井吉野’両者の形質が現れています。類似品種である‘神代曙’および‘小松乙女’と特性を比較・検討した結果、花弁全体の形、がく筒およびがく裂片の形などが異なることで区別されることおよび人工交配により育成された個体であることから新品種として認定しました。認定月日は大河原町のシンボルである‘染井吉野’による「一目千本桜」の生みの親である高山開治郎氏の誕生日に因みます。今後は‘大河原紅桜’が町を彩る新たな素材として、桜による地域活性化に貢献することが期待されます。
  
認定品種の特性の概要 
落葉性の高木で樹形は傘状、樹幹の色は灰褐色で光沢はやや有る。皮目の並び方は縦並びで、気根はない。枝の太さは中、色は灰褐色で新梢の毛は多い。葉全体の形は楕円形または倒卵状楕円形、先端は鋭尖形、基部は鈍形、葉縁鋸歯は単鋸歯に二重鋸歯が混ざる。先端は鋭形で腺はない。葉の長さは9~11cm、幅は約5cmで厚さは中。成葉表面の色は緑色、裏面は緑色、表面の光沢は弱、未成葉表面では毛が多いが成長に従って脱落する。成葉裏面は有毛。側脈数は13~15、葉柄の長さは約1.9cm、葉柄は有毛、蜜腺は葉身基部にある。花序は散形状で一花序に4~5花、花の向きは横向き、一重咲で開き方は平開形となる。花の大きさは直径2.6~3.2cmの中輪。蕾の色は紅色、開葯時の色は淡紅色。花弁全体の形は倒卵形または楕円形、先端の切れ込みは少、基部の形は鈍形、花弁表面のしわは少、花弁の脈は目立たない。花弁の長さは約1.5cm、幅は約1.0cm、花弁の厚さは中、花弁数は5枚。雌ずいの長さは約1.1cm、雌雄ずいの長さの比は同長、数は1~2本、葉化はなく、花柱は有毛。雄ずいの長さは約0.5cm、数は27~32本、がく筒の形は狭長壺形で有毛、がく裂片は披針形で鋸歯と毛が有り、色は紅緑色。花柄の長さは極短、小花柄は約1.3cmで有毛。苞全体の形は狭倒卵形、鋸歯は鋭形。花の香りは殆ど無、展葉期は開花後、宮城県大河原町における通常開花期は4月上旬、‘染井吉野’と同時期に開花する。 

 玉夢桜 タマユメザクラ

Cerasus‘Tamayumezakura’
(公財)日本花の会 公開用資料より(認定番号 第025号)
2020年8月11日認定 
申請者:玉浦西まちづくり住民協議会、宮城県農業高等学校
 

 宮城県在住の尾形政幸氏が、オオシマザクラを母親として、塩竃市内の塩竈神社境内に植栽されている‘手弱女(たおやめ)’を人工交配して育成した品種です。 
オオシマザクラの関係する品種は多数あるため、類似品種と比較・検討しました。交配に用いられた‘手弱女’とはがく筒の形状、花弁の形、苞の形により区別され、‘祇王寺祇女桜(ぎおうじぎじょざくら)’とは花弁や苞の形により区別されることから、新しい園芸品種として認定しました。
この桜は、尾形氏が東日本大震災で被災した名取市内の宮城県農業高等学校に赴任した2012年4月に交配した品種で、2017年4月に初めて開花。その後、地域復興の一環として、同校の科学部プロジェクトチームの生徒達が苗木を増殖し育成してきました。
2019年4月、震災後の集団移転事業で整備された岩沼市玉浦西地区での大花見会に切枝を展示したところ、「地域の宝にしたい」と住民から苗木の寄贈を懇願されました。校内で検討した結果、地区名の「玉浦西」と花のイメージから「玉」、早期復興を成し遂げて自分達の夢や未来に思いを馳せて欲しいという願いを込めて「夢」を採用し、‘玉夢桜’と命名。
震災で居住が困難となった土地に復興を象徴するメモリアル公園として整備された「千年希望の丘」にある相野釜公園にて、2020年4月、‘玉夢桜’を記念植樹しました。今後も、二野倉公園や玉浦西地区に植樹する予定で、名前のとおり復興のシンボルとして地域を彩る桜の名所づくりが広がると期待されます。 

認定品種の特性詳細(認定番号 第025号)
玉夢桜 タマユメザクラ Cerasus‘Tamayumezakura’
 1)特性の概要
落葉性の亜高木で樹形は盃状、樹幹の色は灰褐色で光沢はやや有。皮目の並び方は横並びである。気根は無、枝の太さは中、色は灰褐色で新梢に毛はない。分枝性は中、葉全体の形は楕円形または倒卵状楕円形、先端は鋭尖形、基部は円形、葉縁鋸歯は単鋸歯に二重鋸歯が混ざり、芒形で先端に腺が有る。葉の長さは11~16cm、幅は6~7cm、成葉表面の色は緑色、裏面はやや帯白色、両面とも無毛、側脈数は9~11、葉柄の長さは約2.7cm、毛はない。成葉の蜜腺は葉柄上部にある。花序は散房状で一花序に4~5花、花の向きは横向き、半八重咲で開き方は平開形となる。花の大きさは直径4.6~5.2cmの大輪、蕾の色は淡紅色(JHSカラーチャート9205鮮紫ピンク)、開葯時の色は微淡紅色(JHSカラーチャート9201ピンク白)。花弁全体の形は広楕円形または円形、先端の切れ込みは少、基部の形は鈍形、旗弁はときに有り(1~2個)。花弁表面のしわは少、花弁の脈は目立たない。花弁の長さは約2.2cm、幅は約1.8cm、花弁の厚さは中、花弁数は14~17個。雌ずいの長さは約1.2cm、雌雄ずいの長さの比は雄ずいより雌ずいがやや短く、数は1本、花柱は無毛。雄ずいの長さは約0.8cm、数は46~54本、がく筒の形は長鐘形で無毛、がく裂片は長卵状三角形で鋸歯がやや有り、色は紅緑色。花柄は長さ約3.0cm、小花柄は約2.7cmで無毛。苞全体の形は広倒卵形、先端鋸歯は鋭形で平坦、長さは約1.2cm、幅は約1.1cm。花の香りは芳香で有、開花時期と展葉期は同時、開花時期は4月中下旬、染井吉野より約10日遅れて開花する。

 あわ紅桜 アワベニザクラ

Cerasus‘Awabeni-zakura’
(公財)日本花の会 公開用資料より(認定番号 第024号)
2020年8月11日認定 申請者:光明山観音寺、宮城県農業高等学校

 ‘染井吉野’より早咲きで紅花の品種を育成するため、尾形政幸氏が‘河津桜’を母親として、オオヤマザクラ(宮城県七ケ宿町・自生個体)を交配して育成した品種です。
‘河津桜’はオオシマザクラとカンヒザクラが関係したと推定される早咲き品種で、オオヤマザクラは花色が紅色という特徴があり、この組み合わせによる既存品種は知られていません。
‘河津桜’とは萌芽時の芽鱗の粘着性やがく片鋸歯の有無、オオヤマザクラとは苞の形により区別されます。
2008年4月に人工交配した品種で、2014年4月に初めて開花しました。同年、東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校に赴任した尾形氏は、科学部プロジェクトチームの生徒達と共に震災復興活動の一環として接木による苗木増殖などに取り組んできました。
2019年4月に北釜観音寺(宮城県名取市)からの要請で、同寺に苗木4本を提供。これを機に同寺の檀家に名前を募集し、花色から受けるイメージからこの名前がつけられました。5月には地域に縁のある桜として岩沼市千年希望の丘相野釜公園にも植樹。地域を彩る早咲き桜の名所づくりへの活用が期待されます。
 
認定品種の特性詳細(認定番号 第024号)
あわ紅桜 アワベニザクラ Cerasus‘Awabeni-zakura’
 1)特性の概要
落葉性の亜高木で樹形は盃状、樹幹の色は紫褐色で光沢はやや有、皮目の並び方は横並びである。気根は無、枝の太さは中、色は紫褐色で新梢に毛はない。分枝性は中、葉全体の形は楕円形または倒卵状楕円形、先端は尾状鋭尖形、基部は鈍形、葉縁鋸歯は単鋸歯、鋭形で先端に腺が有る。葉の長さは8~11cm、幅は4~5cm、成葉表面の色は緑色、裏面は帯白色、両面とも無毛、側脈数は8~10、葉柄の長さは約2.0cm、毛はない。成葉の蜜腺は葉柄上部にある。花序は散形状で一花序に1~3花、花の向きは横向き、一重咲で開き方は平開形となる。花の大きさは直径3.8~4.2cmの大輪、蕾の色は濃紅色(JHSカラーチャート9205鮮紫ピンク)、開葯時の色は紅色(JHSカラーチャート9203紫ピンク)。花弁全体の形は楕円形、先端の切れ込みは少、基部の形はくさび形、旗弁は無。花弁表面のしわは無、花弁の脈は目立たない。花弁の長さは約2.0cm、幅は約1.5cm、花弁の厚さは中、花弁数は5個。雌ずいの長さは約1.6cm、雌雄ずいの長さの比は雄ずいより雌ずいがやや短く、数は1本、花柱は無毛。雄ずいの長さは約1.1cm、数は37~41本、がく筒の形は長鐘形で無毛、がく裂片は長卵状三角形で全縁、色は紅褐色。花柄は極短く、長さ約0.6cm、小花柄は約2.0cm、無毛。苞全体の形は狭倒卵形、先端鋸歯は芒形で内巻、長さは約0.6cm、幅は約0.2cm。花の香りはほとんど無、開花時期と展葉期は同時、開花時期は4月上旬、染井吉野より約7日早く開花する。 


 
 

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