呪術廻戦は運営型スマホゲーム向きのIPではない

FGO(Fate/Grand Order)が配信開始から長期間で各ストアのセールスランキング1位を取りまくって以降、
スマホRPGを展開するIPがたくさんありました。
が、どれもFGOには遠く及ばず、一時的に売れてもFGOのようには続きませんでした。

先日に配信開始となった呪術廻戦ファントムパレードも、直近ではセルラン1位を獲得しているものの、FGOのように長く続くことはないだろうと思っています。

なぜか?

それを理解するにはFGOが売れ続けた理由を知る必要があるので先に述べますが、
理由としては特に難しいことはありません。
以下の3点です。

その1.
力のある作家がゲームシナリオに集中して取り組んでくれる体制を用意する。

その2.
売上の軸となる主役級のガチャキャラ(主力商品)が無限に近い量を生み出せる世界観設計をする。

その3.
商品として提供したガチャキャラが物語の都合で後ほど登場しなくなるなどの価値上限を決めてしまう世界観設計を避ける。

この3点が、FGOの成功を再現する場合の肝であり絶対必要条件となります。

奈須きのこという怪物ゲームシナリオライターがゲームのために集中して取り組み、
彼が生み出したFate(いうなれば"人類史の擬人化")というほぼ無限の主役級キャラのプールを持つ世界観を使用し、
その上で月に1体以上の魅力的なキャラとそれが活躍する物語を作り上げ、
売ったキャラはその後に紡がれる物語でも活躍してその度にファンを増やして価値を上げ続け、ユーザの財布の紐を緩ませ続ける。
こうしてFGOは、ガチャでキャラを売って運営するスマホゲームというビジネスモデルに類を見ないほど噛み合ったからこそ売れ続けました。

では呪術廻戦ファントムパレードはどうなのか?

作家の芥見下々は漫画が主戦場のためゲームシナリオに集中することはできず、
毎月1体以上のペースで主役級キャラと物語を追加できるようなスピード感はありえません。
主役級キャラは物語の都合で死んでしまったらそこで終わり。
一度売ったキャラが、そのとき買わなかったユーザの購買欲を後から刺激することはできない。
そしてまだ死んでいないキャラもいつそうなってしまうかわからない。

これは運営型のスマホゲームRPGとして噛み合わせがいいとは思えません。
こういうIPなら、同じ予算でNintendoSwitchやPC向けに買い切りのゲームを作った方が向いていると思っています。

もし運営型のスマホゲームとして出したいのであれば、
芥見下々と連携できる力のあるシナリオライターを引っ張ってきて、
主役を呪霊側に据えたパラレルワールドのスピンオフ作品として作るなどする必要があるかなと思います。

もしくは、チェンソーマンの作者が漫画制作を投げ捨ててチェンソーマンIPのスマホゲームのシナリオライターとして心血を注いでくれたらFGO並みのヒットを飛ばせるかもしれませんね。
チェンソーマンの"悪魔"という設定は無限の主役級キャラのプールがある設定だと思いますし。

IPコンテンツでなくても、運営型のガチャ商売スマホゲームをやるのであれば、この記事に書いてあることは参考になると思います。

結局は魅力的な世界を生み出す作家が金のなる木であるということです。

魅力的な世界がそこにあれば、ゲーム側がグダグダでもユーザは修正を待ってくれます。
ゲームシステムはお金と時間でほとんど解決できますが、魅力的でない世界を金で解決することはできませんから。
逆にいうと、ゲームシステムやゲームの質の高さは成否にほとんど影響しないということです。
そこで勝負したいなら運営型ゲームではなく買い切りゲームを作る方がいいと思います。

とはいえ。
いうのは簡単ですが、現実的には結構不可能に近いこと言ってます。
奈須きのこという存在が特異点であり、漫画も小説も映像作品の脚本もやらずにゲームのシナリオライターとして人気を獲得してゲームで稼ぎ続けるという怪物はほぼいません。
これからスマホRPGを作ろうという時、「次の奈須きのこを見つけてきて」と指示されたら僕は途方に暮れるでしょう。

もし「我こそが次の奈須きのこである」と思われる方はウチで一緒にスマホゲーム作りましょう!

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