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マーケティングの「WHAT」を考えるための「HOW」を学びませんか?

マスマーケティング時代には得られなかった消費者のデータが増え、それをいかにして活かすか?多くのマーケターが注目しています。それを支援するツールも爆誕し活用される機会が増えています。しかし、目的不明瞭のままデータ集めに躍起になったり、多様なKPIに翻弄されたりと、多くのリソースを浪費しているマーケターも多いのではないでしょうか?デジタルマーケティングの「HOW」の手法や情報が増えたことでその活用に思考が偏り、マーケターが「WHAT」を考え抜く機会が相対的に減ってしまっているのではないか?そんな風に感じています。

マーケターにとっての主なWHATマーケティング戦略です。マーケティングノウハウのライセンシングカンパニー「刀」の森岡 毅 氏の著書「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方(副題略)」の言葉を引用すると、

戦略とは、目的を達成するために資源(リソース)を配分する「選択」のことです。氏は「もうちょっとぶっちゃげた文章では『戦略とは、何かを達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を、何に集中するのかを選ぶこと』とし、もっと短く言うと『資源配分の選択』」とおっしゃっています。

こうしたWHATを正しく、確からしいものにするために必用な知識やリテラシーが「WHAT」を考えるための「HOW」です。同書で語られていたエピソードに、USJが10周年となる2011年に前年7万人のハロウィーンの集客を倍の14万人以上にできると需要を予測し、そこに注力する戦略(WHAT)を打ち出したことがあります。注力すべきターゲット消費者(WHO)を独身女性に定め、彼女たちがハロウィーンに本当は何を期待しているか?という本質的なインサイトを捉え、そこに的を定めたそうです。こうした戦略設計から導いた打ち手(HOW)のハロウィーン・ホラーナイトによって、走攻守ならぬ、WHAT、WHO、HOWが合致し、予測をはるかに上回る40万人の集客を達成したそうです。前年比で33万人の増加。この企画は主に地元ニーズにフォーカスしたそうなので、地元の方の来場と購入の一人あたり単価が1.5万円としておよそ50憶円の経済効果です。多くのマーケターはこのケーススタディのWHOやHOWの秀逸さに着目したのではないかと思いますが、そもそもすごいのは、10月に注力するというWHATを(経験や勘ではなく数理モデルから)導いたことだと思います。10月は同パークの最大の需要期だそうです。通常であれば、閑散期の1~2月や5~6月のほうが伸びしろと捉えるのではないでしょうか?確率的手法を用いた「ガンマ・ポアソン・リーセンシーモデル」という需要予測計算によって9~11月のハロウィンのほうが伸びしろが大きいと判断したそうです。同氏の著書「確率思考の戦略論」でその手法について、更に詳しく紹介されています。

皆さんは、こうしたデータドリブンな意思決定ができていますか?

かくいう私も「ガンマ・ポアソン・リーセンシーモデル」の活用について、これからです。でも、同書籍のノウハウを自分なりにアレンジしながら、完コピを目指したいと思います。こんなセミナーも見つけたので参加させて頂きましたが、神講義でした!

デジタルマーケティングやAIなど、最新の手法、すなわちHOWに対応する話題に対して自らのリソース(情報収集や勉強の時間)を配分している方が多いと思いますが、「確率思考の戦略論」で紹介されている数学的手法の完コピを目指すなど、正しく、確からしい戦略を描くための知識やリテラシーを高めること、すなわち「WHAT」を考えるための「HOW」への学びにリソースを配分しても良いのではないでしょうか?

また、データ活用をするのであれば「線形回帰」や「クラスター分析」など、旧来からある多変量解析も自分の手で行ってみて、データによって事象を予測する、または推定する、あるいは分類するといったデータ分析の基礎的な感覚を身に着けることを推奨します。それくらいの知識は、データサイエンティストとの共通言語として持っていないと生産性の高いデータ活用プロジェクトの実行が難しいと思われるためです。

森岡氏の著書では随所にご自身のことを数学マーケターの絶滅種と表現されています。また、正規分布のことを、易しく説明するため、わざわざダーツを例えにしたりもしています。文系が多いマーケターの方は数学や統計が苦手、または苦手意識がある方が多いことについて課題を持っていらっしゃるのではないでしょうか?マーケターがそうしたことを学ばずに、日本のマーケティングが本質的なデータドリブンになり、生産性を底上げすることができるでしょうか?

そんな課題感から、私も「WHAT」を考えるための「HOW」のノウハウのひとつを提供する書籍を昨年末に出しました。戦略策定、すなわち資源配分の選択を行う場合には、過去行った施策によってどれだけ売上が増えたか?定量化する必要があります。それを行うためのマーケティング・ミックス・モデリングという分析を中心に、データによって事象を予測する、または推定する、あるいは分類するといったデータ分析の基礎的な感覚を養うために、Excelでできる分析の演習を網羅したものです。

マーケティングの現場では、例えばTVCMを投下した前後で、売上を単純比較する、といった因果推論としてはあまり望ましくない分析による意思決定がまかり通っています。そうしたこと(因果推論による正しい効果検証のデザイン)についても言及したことから、50万部を超える大ヒット書籍「統計学が最強の学問である」

シリーズ著書の西内 啓 氏より「これからのマーケターは、グラフの見た目より『因果推論』に注意すべきである」という推薦コメントを頂くことができました。

「確率思考の戦略論」「統計学が最強の学問である」や拙書は「WHAT」を考えるための「HOW」のうち、ターゲット市場の定量的な理解や因果関係の考察に役立つものです。ターゲット消費者の定性的な理解や質の良い仮説を導くためのノウハウを学びたい方には「『欲しい』の本質(副題略)」がオススメです。買わない理由を直接消費者に聞いてはいけない、など、目からウロコのノウハウ満載です。


私も未だ学びの途中ですが、より、正しく、確からしいWHATを導くことができるマーケターになるべく、学びながら実際のマーケティング支援に活かしています。皆さんも一緒に学びませんか?

追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。無料で使えるMETA社の高機能なMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ツール「Robyn」を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。








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