ラフダイヤモンド番外編2に見る読み切り作品のお約束とその打破①
この記事は文書省略の為に丁寧語など省略させて頂いております。
その点ご留意ください。
もしこの記事に興味があればこの読み切り短編を読んで頂きたい。
http://plus.shonenjump.com/client_info/SHUEISHA/html/player/viewer.html?tw=1&lin=1&cid=SHSA_JP01PLUS00000012_57
以前のツイートで「読み切り作品でやると難しい事」をこう述べた
https://twitter.com/ogatatei/status/526713666905726979
ところがこの「番外編2」ではこの定義を破っている。(この読み切り作品は連載作品の番外編という事で通常の読み切りとは少し事情が違う事を鑑みたとしても・・・・)
〇主人公二人(この場合は幽霊と女マンガ家)の出会いを描いている
〇連載作品の番外短編という事で純粋な読み切りとは違うが二人以上のキャラのウニフラッシュ(内面)を描いている
なぜこれで成立するのか?(少なくとも編集者さんからダメ出しはされていないう意味で)
私は講師業をしながら作品を連載している。
本当に多くの志望者のネームは
「主人公格二人の出会いのシーン」を描いているのだ。
それがダメだとは言わないが考えてもみてほしい。
大概の志望者は連載漫画を見て「こういう作品を描きたい」と胸を躍らせて作品を描き始める。
だから同じことをやろうとしてしまう。
あなた方がこれまで見てきたマンガで「考え方の違う二人が出会ってすぐにお互いのあり方を認め合った」作品に深い感情移入ができたであろうか?
スラムダンクに至っては主人公二人がお互いを認め合うのは全30巻の本当に終盤である。
この「溜め」があるから感動できたのだ。それはほんの30数ページの作品では難しい(≠無理)のである
だから私は志望者にはいつも「二人の出会いのシーンは描かずに二人は周知の仲にしろ」という。そうすれば二人の歴史に読者の想像する余地が加わり作品はより「読者が深くしてくれる」
ところが番外編2ではこの「二人の出会い」を描いてしまっている。
その理由は「二人の出会いを敢えて描くことによってこの短編の主人公四ツ橋ひびきのキャラの特異性を強調することができるから」
彼女は幽霊の存在に少しも動じず、出会ってすぐの(しかも幽霊)のキャラクターに連載漫画の相談を持ち掛けている。
手前味噌で恐縮だがこれはページの省略と共に彼女の性格や現状の切迫感(締め切り間際)などを表すのと同時に出会いを描くことで四ツ橋ひびきのキャラクターをこの時点で出来上がらせる効果がある。
更にこういうキャラクターにしてしまえば女の子なのにビルから落とす・・という作品的にいささか乱暴な行為も許される・・というのもある。
つまり「敢えて出会いを描くことでキャラクターの特異性が出せるならOK」なのである。
⇒以下続く
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