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上から目先生の解説マンガ【ルート分析〜東京オリンピックの前哨戦のワールドカップより】

プロクライマー尾川とも子のSNSにときどき登場する、
ちょっと上から目線なのに、おふざけやコスプレ大好きな上から目先生が、
楽しくわかりやすくスポーツクライミングを解説!!

ワールドカップinインスブルックの結果

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2021年6月26日、27日
リードとボルダリングのワールドカップ決勝がインスブルックで行われました。

女子優勝はリード、ボルダリングともスロベニアの無敵の女王ヤンヤ・ガンブレット選手
男子リードは優勝は、オーストリアの壁の貴公子ヤコブ・シューベルト選手
男子ボルダリングはクライミング界のハニカミ王子 緒方良行選手でした

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男子ボルダリング関しては、1位緒方良行選手、2位楢﨑智亜選手、3位藤井快と初の日本人表彰台独占!

女子は最後のワールドカップとなる野口啓代選手がリード3位とボルダリング5位という結果に終わりました。

以下

男子リードのオリンピック選手は
9位楢﨑智亜選手
24位原田海選手
女子リードのオリンピック選手は
5位野中未崩選手

ルートセッターとは?

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この大会はオリンピック代表選手も多く出場して、ほとんどの選手が子のワールドカップを最後にオリンピックに向けて調整に入っていきます。
ホールドを配置してルートをデザインする『セッター』陣もオリンピックに携わる人たちが半数もいて、まさに前哨戦。

リード女子決勝

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女子決勝は大きく4つのパートに分かれていました。

課題の3D映像はこちら↓


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①【手の平挟みパート】丸みを帯びたスローパーが縦向きに配置されて、選手はそれを手のひらで挟み込むように登っていくパートでした。

②【パワフルパート】観音開きと言われる両脇を開いてとびらをこじ開けるようなムーブやマントルと言って手のひらをプッシュして身体を持ち上げる動き、そしてランジと呼ばれるジャンプの動き、これらが満載で選手はパワーを求められました。

③【テクニカルパート】大きな箱状の張りぼてに小さなカチと呼ばれるホールドが取り付けられていて、選手は指先を使って登っていきます。足場も小さくテクニックを要しました。

④【体幹よれパート】大きなボリュームと呼ばれるホールドを下向きに抱え込んで持ったり、上からじわじわと押さえ込んだりと、選手たちは体幹をフルに使って登っていかなければなりませんでした。

リード男子決勝

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男子も4つのパートの分かれていました。細かくすると②を分割して5つのパートにもなりそうでしたが、わかりやすく女子と同じ数にして分析しました。

課題の3D映像はこちら↓


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①【手の平挟みパート】丸みを帯びたスローパーが縦向きに配置されて、選手はそれを手のひらで挟み込むように登っていくパートでした。女子との違いは傾斜が強いのと、挟み込む親指側のホールドの表面がつるつるしてより持ちにくいことです。

②【足技パート】大きな箱状の張りぼてに小さなカチと呼ばれるホールドが取り付けられていて、選手は指先を使って登っていきます。足場も非常に小さくテクニックを要しました。また、パート上部の緑のホールドをついていますが、縦向きで足場が悪くヒールフックと多用する動きを要求されました。

③【保持パート】ひたすら小さいホールドを握りしめて登っていくパートでした。

④【体幹よれパート】大きなボリュームと呼ばれるホールドを下向きに抱え込んで持ったり、上からじわじわと押さえ込んだりと、選手たちは体幹をフルに使って登っていかなければなりませんでした。

ルートの分析〜どこで落ちやすい?

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選手インタビューでも、
「トリッキーでスタートからじわじわ地味に疲れがたまっていく感じだった」
とのコメントがありました。
リズムよく登っていた動きに急にリズム変わると一気に疲労がやってきます。

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やはり、私の分析通り、選手はパートの境目で落ちやすいことがわかります。
男子のポトカ選手の落下地点が緑のホールドの手前ですが、ここを上記の6コマ目ように5つ目のパートの境目にしてもいいかな?と思ったりしていました。

決して後付けではありません(笑)

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このように、長いリードの壁は2人以上の複数人でセッティングしている可能性が大きいです。それを最後にリーダーが総監督して一つのルートに仕上がっているのです。

それはまるで、それぞれの楽器を指揮してひとつの曲を演奏するオーケストラのようですね!(とフォロワーさんから例えていただきました)

さて、オリンピックは壁の傾斜も形も違いますので、どんなルートが用意されるのでしょうか!楽しみです。


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