キャプチャ1

Treasure Data PLAZMA KANDA Day1

TreasureData Plazma KANDA

今回のPLAZMAは神田明神ホールでした。神田明神は毎年部活の年初に行った思い出。15年ぶりくらいでしょうか。ぴかぴかにキレイになっておりイベントホールができていました。神田明神さすが、繁盛の神様。

セミナーレポート、また独断で私が聞いたものだけですが、お送りいたします。静岡銀行さん、コインチェックの岡田さん、キリンの鈴木さん、データ最前線で十人十色のケーススタディはいつ聞いても刺激的です。私も頑張らなくちゃと思います。
尚、一日目のPLAZMA終了後にTDユーザー会のイベントも実施しました。その様子もまたお届けできればと思います。ちなみに、引いたおみくじは「末吉」でした。

Opening Talk

トレジャーデータ株式会社 小林広紀氏
今回で11回目となるPLAZMA。今回からTreasureData主催ではなく実行委員会制にした。データを軸に「協創」コレボレーションが生まれるプラットフォームとしての場になる。競合競争ではなく、何で戦うべきかを考え、あえて戦うことなく業界をまたいでのケーススタディを自分事として受け取ってほしい。
デジタルマーケティングが多かった事例も生産管理や在庫調整など事業の基幹システムについての事例も生まれている。DXにおいてのとレジャーデータの存在も知ってもらいたい。

静岡銀行が考える地域競争のための仕掛け

静岡銀行 イノベーション推進室 渥美 直人氏
トレジャーデータ株式会社 小林広紀氏

地方銀行の現状
金融庁の調査レポートによると、今後地方はオーバーバンキングの状態になっていく。 各都道府県で単独になっても不採算の地域がかなり発生していく。金融庁が旗を振って吸収合併が進んでいる。静岡県には4つの地方銀行が存在する。

静岡銀行の戦略
2017年4月 地方銀行のビジネスモデルを新たに構築していきたいという中期経営計画を発表した。その後開催された先端金融ビジネス、異業種交流会
を2018年3月マネーフォワードと静岡銀行で共同実施してトレジャーデータが企画提案を行ったことがきっかけ。外の人たちとやっていくということを進めなければならない。
中期経営計画のビジョンは「TSUNAGU」。地域とともに手を携えて(つなげて)いくことが必要。

事業領域の開拓、収益化による地方銀行の新たなビジネス戦略
イノベーション推進室の設置。クリプトアセット事業、ブロックチェーン技術、AI活用といった銀行経営を大きく変革させる可能性がある事業革新に機動的にスピード感をもって対応していくためにも設置された新しい組織。
例えば
・AIを活用したビジネスマッチング(PKSHA)
・リーウェイズとAI不動産解析ツール
・BASEと連携してECを通じた取引先の販路拡大支援
 
銀行同士で合併しながら自己資本を高めるというよりは、異業種と組むことで地域に提供できるサービスをふやしていくという戦略。アイデアを持たれているスタートアップと組み、銀行を中心に地域に何を提供できるかを考えている。 

マーケティング強化
地銀において店頭にくるお客様は5年前の半分近くに減少している。店頭にくる前にスマホやPCで用件は決まっている。相対するお客さんの行動が読めないという課題がある。そのような中で顧客理解に基づいていいものを発信していけないか。お客様によりよいものをよりよいタイミングで。
データ活用による顧客理解の進化とデジタルマーケティングを活用した顧客対応の強化により収益の拡大をまずしたいと思った。CDPを活用してサイト訪問者を可視化し顧客対応へつなげる。

導入のハードル
システムの問題が大きかった。既存システムとクラウドとの連携をさせること、データを乗せることに1年くらいかかった。個人情報として出すわけではなく匿名化している。行内のデータに外部データを取り込んでいくような取り組みに対して、違和感を覚える人は多かった。Amazonの事例(恐怖)などを引き合いに出した。あらかじめニーズやタイミングを知った上でサービス提案をできるようにすることが今後必要と説得していった。
静銀Stationというアプリと連携し、個人特定できる人とできない人とを分けて分析している。

銀行の課題
地銀の地域戦略について金融庁の方針は地域の特性に合わせた事業性融資を行うこと、企業のライフステージに合わせた金融サービス、経営支援、地域密着型金融をすべきであるということ。
企業のライフサイクルが以下だとして
創業期→成長期→成熟期→衰退期→再生期
衰退期のMA支援などは案件として多い。しかし創業のサポートを増やさなければ継続がない。再生から創業へのサイクルを増やしていかなければならない。特に近年はファンドも含めて、お金を出してくれるところは増えている。こういった場面で銀行だからできること。銀行に借りる意味を見直さなければならない。
新しいものが生まれてこないと企業のサイクルが生まれてこない。こうなってしまったら地域は衰退の一途である。新しい生まれてきている企業とつなげていくことを推進したい。例えば、地域にあった企業とスタートアップを組み合わせて、地域としてのエコサイクルを作っていく。

Tech Beat SHIZUOKA
7月24・25日にはスタートアップと静岡企業のマッチングイベントであるTechBeat 静岡(https://techbeat.jp/)を行う。他にも最近東京から近いということもあって熱海で合宿したりするIT企業が増えてきたり若者が増えてきている。好立地な場所を生かして静岡を研究開発の場所として提供できたらいい。
 

マーケター全員がデータ分析できる組織の強みとは

コインチェック株式会社 
マーケティング部 兼 マネックスグループ株式会社
戦略企画室 岡田 尚悟氏

講演資料

岡田さんBlog

コインチェックの特徴
・創業5年で急成長した
・エンジニア主体の会社(5割)(マーケター1割)
・転職組が多い
・上場企業によるグループ化(マネックスグループ)

TDを導入した経緯
・組織の変化によりデータの民主化が求められるようになった。
 数名のエンジニアのみのチームから急成長により、組織も急拡大した。
 非エンジニアが主体的にデータを取得する環境がなかった。
・データ分析用DBが無かった
 重いクエリをたたくとサービスの安定稼働に影響あるため気軽に分析できない状態。
・グループ化などで意思決定者が増えた。で、説明責任が発生した。
 論理的に定量的にデータで行う必要があった。

しかし、社内はデータを集めない、まとめない、把握しないというサイロあるある状態。そして最も重要なDBのデータがマーケやモバイルチーム内に行き渡らない環境だった。

マーケティング部はアプリインストールまでしか負えず、売買履歴を活用したプッシュなどが企画できないし、モバイルチームじゃアプリログの売買履歴に紐づけて分析することができない。WEBチームにはデータが欲しい場合の対応として各部署からいろいろなデータエクスポート、分析要求が集まってしまっていた。
 
TD導入後のシステム概要
各所にデータがいきわたるようになった。アウトプットとして便利だったのはGoogleDataStudioやSpreadSheet。特にスプレッドシートの自動出力がよかった。
理由としてスプレッドシートは皆が見慣れているため主体的な分析が各自で行われる。そのため、各PJで自発的にPDCAが回ることから結果がでやすい。

データドリブンの進捗
今はデータ活用基盤ができて、データを用いて獲得と利益の最大化に取り組み成果を出している。これは事故後の最重要課題であった。
1.Reproを使ってPUSHの最適化
2.優良顧客の囲い込み

結果
・ビットコインアプリDL数1位(2019年3-5月)を獲得した広告戦略
・会員獲得数を5倍にしたプロモーション戦略
今後
 データに基づいた新規プロダクトの開発や改善にも使っていく。

POINT
選択と集中
 高次元なアロケーションなどしていない。
 代わりに自社顧客を徹底的に分析して選択した。
 (広告予算は競合と比較して1/5程度しかない)
・データはあくまでもトップラインを最大化するための手段
・データは絶対にシンプルイズベスト
  分析の結果そのもので変えられることは多くない。
 人を巻き込んでやるための根拠になるのがデータ。
 従って人がわからないアウトプットは無理。
 人が理解できるKPIは2-3個が限界。
・データの先にいるお客様を忘れないこと
 そしてそのデータの意味をしっかり思考することが大切。
 ABテストを繰り返すだけではなく、なぜなぜの分析が大切。
 何故よかったのかを理解しないと再現性がない。
・従業員であっても常に経営者目線(PL意識)
 長期目線で視点を高く持つ

データの価値
・リソースの適切な配分ができる
  どこに配分するか=どこで戦うかを検討することが可能になること
・異常値の早期発見
 特にに競合が施策を打ってきた際に顧客が流れていないか確認できる。
・施策のPDCAの高速化
 スピーディーに企画検証を進め、効果がよくない場合は直ちに打ち切ることができる
・企画の円滑な推進
 データを用いた論理的説明を各部に行えるため、人を巻込むことができる
  
個人に対しても同じ
私の。という主語をつけることも大切。自分の働き方。仕事への向き合い方を変えることができる。自分自身もリソースであり有限である。
・自分のリソースの配分・自分の異常値・自分のPDCA・自分の円滑な・・・・
当たり前に見えて当たり前じゃない。データを勉強してみて学んだことの一つである。
個人の時間をうまく配分できるようになる。パレートの法則(2割が8割の成果を上げる)は会社の利益も個人の仕事も同じだと思った。
 
気づくこと 
そんなことを考えていたら「あれ、多くのデータがパレートの法則になっていない?」と思った。つまりその2割を的確にターゲティングする必要がある。その2割の核をつくために自分の時間を使おうということになった。
パレートの法則って思った以上にいろいろ当てはまる。企画推進がしやすくなる。
 1.自らの提案に説得力がつく
 2.エンジニアとのコミュニケーションがスムーズになる
 3.PDCAを高速でまわせる
 
マーケター全員が分析目線を持つと?
・顧客ニーズ(PLインパクト)に沿った企画が提案できる
・しっかりひとを巻き込んで企画を前に進めれる
・スピーディーにPDCAをまわせる
・そしてトップラインがあがる
 
データ分析の学び方
マーケターがトップラインを向上させるために必要な分析スキルを得ることは難しくないと断言できる。
データ分析の学習方法
・先ず何故今の会社や業務にデータが必要なのかをしっかり理解する
  自分が納得感をもって理解しないと、まわりを説得できない。
  実際に分析業務に入っても、何を分析したいのかわからなくなり成果がでない
・プロゲートでSQLの練習
  プロゲートはよい!!!でも文法ならうだけ。
・自分のPCに分析の練習ができる環境を作ってみる
  MYSQLでサンプルデータ集めて入れるとかやってみることでggl力が身につく。
     
We are Hireing!
コインチェックはマーケターにとって非常に面白い環境。
1、LINE、楽天、YAHOO(最近じゃFBもだね)などの大手が参入してくる中でどう勝つか。
2、合理性が担保される環境なので主体性次第で何でもできる。

キリンの新・データ戦略 
~オウンド活用のその先へ~

キリンホールディングス株式会社 デジタルマーケティング部
アソシエイト 鈴木 章吾氏
キリンのデジタルマーケティング部の新しいチャレンジ
 ”よろこびが繋ぐ世界へ”をテーマに食と健康、医薬などへも強化していくのが全社方針。従業員は約30000人、売上高役1兆9300億円。
内訳は国内のビール・飲料が56%、26%が海外事業17%が医薬やバイオケミカル。ホールディングスの中の組織でありR&Dなどと並列して存在しているデジタルマーケティング部。
デジタルマーケティング部は2014年に立ち上げて2016年にオウンドメディアの運用開始、自社ECやDMPの構築を行い、今日までデジタル施策の知見蓄積をしてきた。事業会社とともに歩み、自走で回りだしたら事業会社に移管していった。
現在は組織的強化のフェーズととらえており、デジタル活用領域の拡大を進めている。

ベースは顧客理解
お客様のインサイトを深く理解することをすべての根底にしている。
食と健康の領域においてデジタルによりお客様の接点を強化し結果として売り上げ貢献することがミッション。
 
運営するオウンドメディアやコンテンツ
・My KIRIN 320万ID
・メルシャンメールNEWS 200万通
・EC直販
・HOMETAP(生ビールサブスク)
・Twitter ビール76万followers ビバレッジ77万followers
・自販機(LINE連動)TAPINESS LINE Payでの支払いにも対応
・NOTE(https://note-kirinbrewery.kirin.co.jp)

KIRIN DMP
キリンのデータ活用の変遷
2015年 初代DMP構築
2016年 TreasureDataに移行
  ・オウンドメディアでのデータ活用(データ活用のトライアルフェーズ)
2018年キリンDMPのリニューアル
  ・データ活用の民主化
  ・事業に貢献するためのデータ活用
  ・外部企業やパートナーとの提携協業 650万ID
   

データ活用戦略
データ獲得→データ統合→統合顧客マスタ→スコアリング→フラグ付け→セグメント作成→施策(広告、MA、LINE等)へのアウト→施策のフィードバックをデータ獲得に戻し分析検証を繰り返すエコシステムが基本。TD,SMC以外にGDSやTableau、Datoramaを使う。

しかしオウンド中心のデータ活用はINもOUTもデジタルによりがちである。
飲む瞬間は常にリアル。大半がデジタル行動データで私たちが大切にする乾杯の瞬間をとらえることはできていない。お客様との真の接点をデータでとらえてお客様や事業に対して直接的に貢献することをしていきたい。

デジタル接点
オウンドなどのデジタル接点をつないでデジタルコミュニケーションの時代には、つなぐことが正義だった。
これからは購買(買う)、飲用(飲む)、リアル(参加する)を加えたコミュニケーションデザインをすることでお客様や事業への直接的な貢献を目指す。
お客様への価値提供を持続可能なソリューションとして展開することでデジタル投資のROIの本気で取り組んでいく。
     
データソースの拡充
お客様との真の接点をとらえられていない部分をどんどん集めていく。
購買のデータ、オフラインのイベント工場見学や意識アンケートなど濃いデータにしていくことを進めている。またそのデータを見ながらウィスキー、クラフト、ノンアルコールなどのカテゴリーをフラグ追加しセグメントの拡充を図る。

クラフトビールのコミュニケーション
クラフトビールの市場を創造拡大することで、ビール市場の活性化と間口拡大が狙い。これまではプル型コンテンツ中心でクラフトユーザーの直接的な活性化は困難だと思っていた。新設したクラフトフラグを活用して号外メール(CraftbeerNews)を創刊。
マイビアクエスト会員やECでの購入者に合わせてMA配信することで開封は2倍クリックは3倍。嗜好性の高いものは濃いコミュニケーションをとることができている。将来は店舗(タップマルシェ)でクラフトビールを飲んだことを検知してコミュニケーションなどをしていきたい。

カンパイ展との連動
カンパイ展2018年は3万人来場。

予約やID登録不要のオープンイベントなので参加属性が把握しにくい。非常に濃い体験である一方で、その態度変容に寄り添う仕掛けがなかった。
来場者限定キャンペーンを実施。登録してもらい来場者データ取得。ユーザーには抽選で一番搾り一年分などのインセンティブ付与。パーミッションとともに取得したお客様情報にクーポン付きLINE配信するなど促進策や外部ECへと送客。オフラインとオンラインを組み合わせて体験価値創造・向上に寄与している。

キリンシティスタンプラリーでの継続的コミュニケーション
2019年5月から実施

キリンの路面店”キリンシティ”でインスタントくじで抽選商品。またスタンプラリーによってお会計から10%OFF。ID登録をしてもらうことが必要な設計になっており取得いただいたら2日後にお礼、14日後、21日後に来店促進・・・とジャーニーのシナリオを組んで継続的なコミュニケーション。スタンプラリーを完遂させてもらう。これらを飲食店における継続来訪モデルの構築に役立て、一般飲食店向けのソリューションとして展開していくことも視野に入れている。

ワイナリー来訪価値向上の取り組み
ワイナリー訪問をより特別な体験にしていくために、お客様へのパーソナライズ。お客様のワイナリー予約や来訪履歴とかを集めて顧客カルテを表示。ワイナリースタッフは閲覧しながら接客する。
デモグラなどに始まり直近の参加日や過去参加履歴、購入履歴、イベント参加履歴やECの購入履歴など。今年秋頃から本格的に運用開始する予定。ワイナリー来訪という特別な体験をきっかけに熱狂してもらうためである。

新データ戦略で目指すこと
濃いデータを目指していくとどれも大きなデータではない。濃い体験の大量生産はできない。しかし多数存在する接点をデジタルによって濃くすることができる。
今後の展開は濃い体験を目指したデジタル強化。デジタルの接点の多さをいかしてお客様のインサイトを深く理解することで、濃い体験の創出、それを実現するソリューションの開発に繋げていく。
 
多種多様な接点をデータで捉え、デジタルで強化する
CVポイントは
 タップマルシェでのんだ
 量販店でクラフトを購入した
 ECでクラフトを購入した
 SNSでクラフトの投稿をした
 ・・・ETC 
これらのCVの時、実際に態度変容がどんなきっかけで起こったのかなど分かれば再現性を持てる。インサイト理解→再設計→お客様接点へフィードバック。お客様の課題解決をし事業貢献を果たす。本気でROIに取り組んでいく。未だ発展途上、共に進化していければと思う。

END    

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