【書籍・資料・文献】『日本の税金』(岩波新書)三木義一

迫る消費増税

 2019年10月の消費税率10パーセントへの引き上げを目前にして、いろいろとざわつき始めた。これまで安倍晋三内閣総理大臣は2度にわたる消費税の増税時期を延期してきた。消費税が8パーセントから10パーセントに引き上げられれば、その分の消費が冷え込み、税率を上げても税収は減少するといった懸念もある。それだけに、景気が上昇基調でないタイミングで消費税率を上げれば、景気はますます減速する。だから、消費税の引き上げを見送る。

 どうしてもアベノミクスを成功に導きたい政府にとって、景気減速はあってはならない。一方、安倍政権が誕生して6年が経過しても増税に着手できないということはアベノミクスが失敗したことを意味する。板挟みに揺れながらも、消費増税は2度も延期された。それだけに、3回目の延期はない。いや、2度の延期があったのだから3度目もあり得る。そんな消費税の引き上げを巡る論争に、そろそろ終止符が打たれる。

 消費税だけが税金ではないことは、大人だったら誰でも理解している。給与明細には所得税住民税などの欄があり、また健康保険料として徴収される金も、実は健康保険税と呼ばれる税金の一種だ。そのほか、マイカー所有者なら自動車税ガソリン税は身近な存在。不動産を所有している人なら固定資産税都市計画税を払っている。

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