No means No 私の体は私のもの

【追記2018年6月29日】この記事は、7月末に刊行予定『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)に収録しました。

10代の頃、友達のモモちゃんが彼氏に振られて泣いていた。彼から何度もエッチしたいと言われて、それを拒んでいたら振られた。

私たちは彼がモモちゃんにとって初めての恋人だったことを知っていた。彼のことを大事に思っていたから、そういうことはもっと先でいいと思っていたことを知ってた。

でも言った。モモちゃんを慰めながら言った。

「悲しいけど、男ってそういうもんなんだよ」

グループの中で特にみんなに頼られていたリョウちゃんも言った。

「すごく悲しいことだけどさあ、そう思っていなきゃいけないのかもしんない」

当時は通学電車でスカートの中に知らない人から手を入れられることが日常的に起こっていた。


20代になってみんなが仕事を始めた頃、リョウちゃんがお酒を飲みながら話し始めた。

父親ぐらいの年齢の男性がいて、仕事場でその人と2人で飲んでいた。しばらくしてその人がリョウちゃんにキスしようとしてきた。仕事の面で尊敬の気持ちはあったけれど、既婚者であるその男性に対して、リョウちゃんは一切恋愛感情を持っていなかった。当然、相手もそうだと思っていた。

酔っ払っていたけど、抵抗した。でもその人の顔が近づいてきた後の記憶がない。覚えているのは、その人がドアを閉めて出て行く後ろ姿。

リョウちゃんがその男性の奥さんに話すと、これまで優しかった奥さんは突き放すように「あなたが誘ったんでしょう」と言ったそう。

その話を聞いた私たちはうつむいた。モモちゃんは困ったような顔をして黙っていた。

「ひどいね」
「ひどい」
「でも」

1人が言った。

「そういうのって、なんで一緒に飲んだのって言われちゃうんだよね。なんで気をつけなかったのって」

みんな口には出さないけれど、リョウちゃんが「2人で飲んでも大丈夫」と判断したことにミスがあるのだと思っていた。


私は20代の前半の頃、着物を着てお座敷でお客さんにお酌するバイトをしていた。ある日、トイレに立ったお客さんにおしぼりを渡すために廊下で待っていたとき、出てきたお客さんがいきなり顔を押し付けてきて、袖から手を入れて胸を触った。そんなことは数回あった。

抗議しなかったし誰にも言わなかった。記憶の底に押し込めばいいこと、水商売のアルバイトだから、しょうがないのだと思った。騒ぎ立てれば、「野暮」。面倒くさい女と思われると思った。


何年も経って性暴力のことを調べ始めて、ようやく私は、あの頃の自分たちに必要だった言葉を知った。

自分の体をどうするかは自分で決めること。他人から奪われるものではない。奪われそうになったら抗議していい。

相手の意図を読めなかった私が悪かったのかも。男の人はそう思って当然、自分に隙があった。水商売だからしょうがない。

そんな”思い込み”や、”思い込まされ”。

夫婦間や恋人の間にレイプはない、なぜなら性的なパートナーとしての契約を結んだのと同じだからとか、人前で泥酔したら襲われても仕方ないとか、性的なことで被害者ぶるのは自慢だとか。ハロウィンで派手な仮装をするのは痴漢してと言っているようなものとか、その場で声をあげなかったら受け入れていたのと同じとか。男性の性被害はないようなものとか。

それが常識、それが「大人の世界」に合わせることだと私たちは思っていた。誰かからはっきり教えられたわけではないけれど、世の中に散らばる情報の断片をつなぎ合わせて常識を読み取っていた。

でも、その常識って誰が決めたの? 

誰が誰の都合のために作り上げた常識なの?

その常識が歴然とあるとして、それを変える話を今の私はしている。

私の体は私のもの。その言葉だけを足掛かりにして。


「イヤよイヤよは嫌なんです」性暴力被害者が前向きに生きられる日本に!

署名に賛同し、あなたにシェアします。


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Tamaka Ogawa

「性」と「性暴力」の話

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コメント8件

初めまして。Twitterで知り、読みました❗お互いに相手を大事に出来る社会にするため署名します❗
読んでくださってありがとうございます! 少しずつ、そんな社会にしていきたいですね(^O^)/
早速、署名しました。性被害の報道に男性として、申し訳なさを感じていたので、このような署名活動を紹介いただいて感謝します。
うれしいです^ - ^ 男性でも被害者になることがありますし、パートナーが被害にあってつらい思いをしている男性もいるので、関心を持った人たちで情報を共有していければと思います( ´ ▽ ` )ノ
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