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なめている

なめていた、すみませんでした。
と思うことがある。
例えば、最近「スタートレック」という映画を見た。
スタートレックは言わずと知れたアメリカのSFテレビドラマシリーズで、
放送は1966年から。映画もいくつも出ている。
自分も、名前くらい知っていた。

が、なめていた。見ていなかった。
「なんか耳のとがった仲間がいて、宇宙の話で」
くらいに思っていた。
イメージでは、サンダーバードに近い感じ。
勧善懲悪で少しチープな、
古き良きアメリカのドラマだろう、と認識していた。

ところが、2009年にリブートして映画化された。
ようは、仕切りなおしだ。
キャストも一新して、J.J.エイブラムスという、
今度スターウォーズ9を撮る監督がつくった。

これが、すごく評判が良い。
少なくとも、自分の周りでは。
続編も出た。2013年だ。
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」。
これも、評判が良い。
「前作も面白かったけど、今作のほうがもっと面白い」
という人までいる。

でも、なめてた。
「まあ、好きな人は好きなんだろうな」
くらいに思っていた。なめてる。

で、最近なんとなく手にとった。
なめているので、DVDだ。
Blu-Rayですらない。

家に帰って再生を押して、驚いた。
もう、約2時間まさに釘付け。
もちろん、自分のような
スタートレック初見の観客にも楽しめるようつくられていたが、
要所要所に
「あ、これはTVシリーズを知っていたら、盛り上がるんだろうな」
と思えるシーンが挟み込まれていて、後悔するほどだった。

思えば、こういう“なめていた”ものは多い気がする。
いや、言い方を変えれば、“決めつけていた”ものだ。
そのことが、どれだけ人生をつまらなくしているか。
少なくとも、スタートレックを“チープなアメリカドラマ”
と決めつけていたままだったら、
あんなに楽しい2時間は訪れていなかった。

なんでもやってみるもんだなあ、と思いながら、
それでもスタートレック TVシリーズは観る気になれない。

だってあれ、50年近く前の放送だし、
映像も古いからたぶんつまんないでしょ。