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生き急ぐ、小娘へ。

 あれは22歳の就職活動のころ。30歳になった自分が今の自分に手紙を送る、という設定で作品をつくり、広告会社へ応募書類を送ったことがある。ほうれい線は濃くなるけど、30歳の景色はもっと広くて楽しいぞ!というような内容。思い出しただけで顔から火を噴きそうになる。きっと失笑ながら審査員の方は通してくれたんだろう。

 そして今回は、28歳の私が社会人1年目、22歳の私に向けて言葉を送る。耳が痛くなるような言葉もあれば、背中を押すような言葉もあると思う。たった6年、先に生きてるだけの先輩。だけど、6年間の失敗の下積みはすごい経験値。アラサーの説教なんか聞きたくないって思うだろうけど、たまには人の話を聞いてみるのも、いいんじゃない。

完璧な会社、完璧な社会人はいない

 あなた今、インターンシップで潜り込んだベンチャー企業で働いてるんだってね。就職おめでとう。先輩たちはオーダースーツに身を包み、イケイケって感じね。壁に一人ひとりの信念まで書いちゃって、昔流行った◯ッチマン、◯アウーマンみたいな会社。入社間もない頃は、先輩は経営学の知識も経験も豊富で会社にはなんでも用意されてるって思ってたでしょ。先輩がSWOT分析を知らなくてショック受けてたね。頭でっかちなあなたらしい。でもね、企業の大きさに関わらず完璧な先輩、完璧な会社なんてどこにもないの。「入る会社間違った」なんて言ってたけど、それって与えてくれることを待つしかできない人の発想よね。変えるのは会社じゃなくてあなた自身。

今の自分にできることを最大限やる

 間違うことが怖くて「正しいやり方」を求める姿は、小さいころから変わらないね。行動する前に知識武装するのも、すべては失敗の恐怖から。特にお客様の利益が関わると、経験もない自分がこんな仕事して大丈夫かなって怖気付いて。自分の考えよりも、経験のある先輩の考えばっかり聞いちゃって。お客様の担当は先輩じゃなくてあなたでしょ?経験が足りなくても、考えることはできる。そして、今の自分にできることをしっかりやる。力不足なところは先輩に助けを求めればいい。考えなしに丸投げするのと、自分で考えた上で頼るのは全く意味が違うからね。今、できることの積み重ねでしか、その先にはいけないの。正しい、正しくないの考え方は捨てて、やれることにコツコツ向き合いなさい。

たまにはサボりなさい

 そしてたまにはサボりなさい。あなた今、ちゃんと呼吸できてないでしょ?休みの日まで仕事して、そんなの続くわけないじゃない。休み方を覚えなさい。そのせいで、休職することになったんだから。クソまじめな不幸者め。仕事中に外周りですって言いつつ喫茶店でサボれるくらい肩の力抜きなさいよ。農家の父が田んぼ仕事しながら言ってたでしょ?「仕事はなんでも8割の力でやるもんや」その意味を考えなさい。って言っても、頭では分かっても、身体ではわからないだろうから、1時間に1回、深呼吸を3回やってみて。間違っても3時間ぶっ通しで企画書なんて作らないこと。人間、まず健康でなければ何も出来ない。若さでカバーできてるだけで、25歳超えるとほんと悲惨なんだから。

その瞳は捨てないで

 色々小姑みたいに言ったけど、その瞳の輝きには完敗。クソ真面目でクソ頑固でほんとやっかいな小娘だけど、きっとあなたのその生き生きした目があったから、いろんな人に出会えたんだと思う。天然人タラシが。今の私は健康損ねて、どん底見て、目の輝きは半減したけどその分、人の痛みに寄り添える深みは出たかな。と信じたい。どん底って聞いてビビってるかもしれないけど、今は旦那様にも恵まれて、元気に生きてるから安心なさい。安心して、その調子で突き進んでください。私はいろんな経験を重ねた分、ちょっと腰が重くなってしまったけど、あなたに恥じないように、あなたの面影を背負いながら、楽しい30代を迎えたいと思います。

 追伸 自分のことばかり考えず、今、周りにいる人への感謝を忘れずに。好きな人も苦手な人にも、心からありがとうございます、とお伝えください。後に音信不通となるイケメン彼氏にも、感謝を忘れずに。ふふふ。



身体弱ヨワ系のみなさんの、お力になれますように。