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海と珈琲。

肩に力が入りっぱなしの午後3時。
そういえば、ちゃんと息できてたかな。
業務に追われるあまり、呼吸も忘れる金曜日。

ふっと、一息入れようと
コーヒーを買いに席を立つ。
缶コーヒーでいいかと思いながら、
豆の香りを求めてコンビニまで少し歩く。

100円のドリップコーヒー片手に、
ベンチに腰をかける。
ほんとはマスターが淹れる珈琲がいいのに。
我慢がまん。

あぁ、終わらない。どう考えても終わらない。
僕に週末なんてあるのか。仕事に追われる日々。

軽く目をつむり、コーヒーを啜る。
暗闇に、やわらかい風を感じる。
もうひとくち、珈琲を啜る。
ツァプン、ツァプン、と小さな波音が聞こえる。
肌をつつむ、やわらかい潮風。
カウンターでマスターが豆を挽いている。
胸いっぱいに、静かに、
珈琲の香りが沁みわたる。
深く、香ばしい香りに脳がとろける。

肩の力は抜け、
うつらうつらしならが波の音を聴く。
その中に、かすかに混ざるBGM。
Stan Getzのイパネマの娘ー。
あぁ、ここは至極か。

目を開けると、
いつもと変わらない街並みがそこに。
眉間にシワを寄せ、忙しなく歩く人たち。
現実よ、こんにちは。

珈琲はいつでも僕に海を思い出させる。
また、海辺で珈琲が飲めるその日まで。
もう少しだけ、もう少しだけ。


身体弱ヨワ系のみなさんの、お力になれますように。