Ogen/blik Vol.3 出品者インタビュー 第二回 : 丸山達也(後編)

丸山さんのインタビュー後編です!
(聞き手:牛島安希子)

ー丸山さんは音楽家とのコラボレーションを多くされていますね 音楽家とのコラボレーションで気をつけていることなどありますか。

「音楽家のコラボレーション」という観点では、特別気にしていることがあるかと言えば・・・・特にありません。もちろん、映像と音との実験の歴史もあるので、意識をしないわけではありませんが、緩やかに制作していると思います。私の作る映像は基本的には、反復するか遷移していくかのいずれかであることが多く、大まかなコンポジションさえ決まっていればあまり衝突しないからです。

音楽と映像の関係以上に、上演される舞台空間のことを考えます。
舞台があり、演奏家がいて、背景がある。その背景に映像が投影されることがほとんどですが、これは映画の美術セットそのものと考えているからです。上演される舞台空間がひとつの借景であり、そこにある空間的な条件や記憶・物語を借りながら、映像で手を加える。映し出される映像そのものは、大学からIAMASの経験が活かされているわけではありませんが、映像のコンテキストを意識するというところでは、繋がっていると思います。

写真:『航跡図 -artery of sound-』(2016)(名古屋市にある松重閘門を舞台に、ミュージックシアターの公演を行った。その映像演出を担当している。舞台となる地域のドキュメンタリー的要素を多分に含んだ映像プロジェクションとなった。)スチール:大洞博靖

写真:『回廊 with Guatemala』(2017) (器の音楽のナオヤスダとのコラボレーション作品。画面に映っているものと、舞台とが連動したパフォーマンス作品。舞台で使用される珈琲は、上演後に振舞われる。)


とはいうものの、音楽との合わせが厳密な作品もあります。アッセンブリッジナゴヤでの牛島安希子さんとの作品『海と記憶と時間』では、音楽と映像の兼ね合いを強く意識させられました。バイオリン・ピアノ・パーカッションが徐々に緊張感を高めていく中、合わせるように映像が追いかける。映っているものは名古屋港周辺で撮られた波や風景など実写映像ですが、編成としては楽器の一部として映像があるような作りであったため、映像の配置をどうするかということを考えさせられました。また、音風景を聴いていると聴者の中に映像が浮かんでくるように、音が連想される映像もあると思います。例えば、お祭りでの囃子や電車、森など、風景に紐づけられた音のイメージが映像に付与されるような場合です。これは、この制作を通して実感したことでした。

写真:『海と記憶と時間』(2017)(2017年に行われたアッセンブリッジナゴヤでの牛島安希子作曲の音楽と映像の作品から。)

ーこの作品では映像を付随するものとして扱いたくなくて、音と同じバランスで映像も意味を為す作品にしたかったんですよね。ただ、コラボレーションの場合はどちらかが決定権を握らないと作品としての迷いが生じるので、同等のものとして扱いつつ、どうお互いの意見をすり合わせていくのか、より良い方法を探っていきたいですね。

ー今回Ogen/blik vol.3 で発表する作品も音楽家とのコラボレーションですね。

コラボレーション作品として紹介した『Guatemala』という作品があります。これはシリーズ作品で、珈琲をドリップする様子を真上からクローズアップしてみると宇宙的な広がりが感じられるというものを、様々な形態で展開しています。

Guatemalaというのは、珈琲の産地の名前そのままです。珈琲の名前を産地名で呼ぶ文化が面白いと思っていますが、それは味覚に森林に囲まれたグアテマラの土地そのものを味わっているのかと思わせてくれるからでしょう。いろんな形で発表をしましたが、グアテマラという土地そのものについて作品にしたいと考えていました。そこで、グアテマラについてリサーチをしていく中で、「森」とグアテマラ文学に見られる「マジックリアリズム」に関心を持ちました。マジックリアリズムとは、日常にあるものとないものが融合した芸術表現を指しますが、暗い夜の森を光を照らして歩いていると丁度そんな気持ちにさせられます。暗い森の中、見えない虫や蛙が通信しています。光に目が眩まされ、ありもしないものを見てしまいそうな気持ちにさせられます。それでそれらを合わせた作品を制作するのですが、そこから派生して夜の森の草木だけを取り出した作品を作りたくなりました。ピアニストの山田亮さんは、ジャズの即興で勢いのある曲をよく演奏されていましたが、ミニマルな音作りも素晴らしいため、限りなく静かな夜の作品となるでしょう。

ーありがとうございました!

次回は再来週に更新予定です!


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