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Ogen/blik Vol.3 出品者インタビュー 第三回 :山田亮

音楽、映像、サウンドパフォーマンスによるコンサートシリーズ、    
" Ogen/blik [blink of eye=瞬き] "のVol.3の出品者のインタビュー。
第三回インタビューは作曲家でピアニストの山田亮さんです。
(コンサートの詳細についてはこちらをごらんください。
特設ウェブサイト:https://ogenblik.cargocollective.com)


山田亮プロフィール
東京在住。1983年1月生まれ。名古屋市出身。
愛知県立芸術大学作曲専攻卒業。作曲を小井洋明氏、松井昭彦氏、久留智之氏に、クラシックピアノを寺本あけみ氏、寺本みなみ氏に、ジャズピアノを後藤浩二氏に師事。一般的な音楽作品に限らず、実験的な作品やさまざまなメディアを使用した作品、パフォーマンス作品などを発表。
音楽家だけでなく、演劇、美術、ダンスなどのアーティストや、公共ホールと関わる活動も多数。特に長久手市の公共ホール《文化の家》では、平成23年度から平成26年度まで契約アーティスト『創造スタッフ』として創造的事業の企画や運営に携わる。ピアニストとしてはジャンルの枠を越えた即興演奏やジャズを中心に活動している。

(聞き手:牛島安希子)


ー山田さんはジャズピアニストとして活動されていますが、以前、愛知県芸出身の面子で「生き音」というパフォーマンスグループを結成し、活動されていました。グループでどのような活動をしていたのか、また、結成された意図などお聞かせいただければと思います。


「生き音」を結成する前は、フリーな即興音楽の世界で活動している事が多かったです。自由とされている即興音楽の世界でも、やはりそのコミュニティの暗黙のルールや価値観が存在します。それはコミュニティが存在するために避けられない事だとは思いますが、その枠から自由な活動がしてみたいというのが結成した時の動機でした。
生き音の活動では音だけでなく、言葉や身体表現・演劇的な要素を取り入れていました。訓練された美しさというよりは、発想の面白さで遊んでいた印象があります。豊かで個性的なメンバーが集まっていた事もあり、自分にとってはとても面白い場でした。


ー「生き音」の練習風景で、反復横跳びをしながら支離滅裂な言葉を言い合うという動画を見たことがあります。

「生き音」においては、音以外の要素も音楽的に構成したりしていました。反復される伴奏形の上で自由に旋律が歌うという構造は西洋音楽において基本の一つだと思うのですが、その考え方を台詞や身体動作に当てはめたのが、その動画だと思います。

ー反復横跳びはそのまま"反復"のエキササイズだったんですね。面白い。


ージャズピアニストとしての活動の傍ら、コンテンポラリーな作品を書かれたり、インスタレーション作品なども製作されていました。それぞれの作品を作られる時のご自分の中では何か違いはありますか。

大きな違いがありましたが、だんだんと近づいてきているような印象があります。
ジャズピアニストとしてはもともとジャズのスタイルに即した内容をかっこよく演奏しようと考えていましたが、近年はそれよりも自分の美しいと思う音の手触りをいかに実現出来るかを重視しています。
作品製作においては、自分がワクワクするようなアイデアを考えて遊んでいましたが、こちらも近年だんだんと自分が美しいと思う音やものの動き方を実現するための仕組みについて考えるようになってきています。
どちらも「美しい」という言葉を使っていますが、磨き上げられたものというより、ラフなものやネガティブなものも含んだ上での無理のない豊かで自然な流れの事を「美しい」としています。


ーその「美しい」と思う感覚の根源には何からの影響があると思いますか。

リラックスして身体的に快適である感覚がベースにあると思います。浮き輪をして海でプカプカ浮いている感じとか、天気の良い初夏の森で深呼吸した感じとか。
そういう感覚を海や森でない場所で再現するのはおそらく難しいです。ふんわりと綺麗な事をやっても実現されないと思います。だからこそもし実現出来た時には価値のある音楽になるのだと思います。


ー山田さんにとって、作品を作る行為、ピアノを弾く行為とはどういうものですか。

作品作りは自分が美しいと思う自然な流れのうまれやすい場を作る、というのが半分。もう半分は他人と深く関わるための手段です。ここでの他人とは、演奏家やパフォーマーの事です。

ピアノを弾く時、特に即興においては自意識や企みをなるべく消すことを目指しています。動物としての自分の感覚に従いたいからです。これも自然で美しい流れを作るためですが、自分の深い部分と関わるという意味合いもあるかもしれません。


ー今一番興味があることはなんですか。音楽でも音楽以外でも。

自分の音楽でどのように社会に貢献できるのか。
あとはマーベルコミック原作の映画たちです。これはもう単純に好きなのです。


ー今回Ogen/blik vol.3 で発表する作品について教えてください。

美しく豊かな映像がある事で、音の情報量を減らす事ができます。目に見えないけど天から降り注いでいる宇宙線のように、そこに存在するエネルギーの分だけの音を出すつもりです。


ーライブで演奏される音と映像の情報量のバランスは、個人的に気になるポイントです。楽しみにしています。
ありがとうございました!

次回のインタビューは近日中に更新予定です!


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