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「あさかほ」の歴史とDJにちかに足を向けて寝られない理由

事件は2024年3月3日、大阪城ホールで起こった。

場内はシャニマス6thライブのただ中。DJにちかがステージをジャックし、4人のホストを侍らせながら軽快なリズムでターンテーブルを回している。そこには、誰もが一度は妄想し、しかしありえないと一笑に付してきた光景が広がっていた。

283プロ選りすぐりのイケメン達による『千夜アリア』

今まさにフロアの支配者は彼女だ。その指先ひとつで、空想可能なあらゆるメンバーによるあらゆる楽曲がステージ上に顕現する。

『千夜アリア』の歌唱も大詰めに差し掛かり、次の曲へ移ろうかという雰囲気である。DJにちかのスクラッチに合わせてホールには断片的な歌詞が響いた。

「アソボ~」「アソボ~」
「Yeah!」
「Pa・Pa・Pa・Party!」

『SNOW FLAKES MEMORIES』だ)と勘のいい者は気づいたことだろう。しかしそこまでだった。イントロと同時にセンターステージに現れたのは・・・・・・

”幻覚(ユメ)”??

あ、あさかほだあああああああああ!!!!!

こうして芹沢あさひと小宮果穂の2人(そう、ただ2人!)は驚愕と狂喜の歓声をもって迎えられた。

のちに語り草となる「あさかほスノフレ事件」のあらましである。

あさひと果穂が一緒に歌うだけでこれほどまでに沸く異常者が多いのはなぜだろう。あさかほの何がそうさせるのだろうか。それを知るためにも一度あさかほの歴史を振り返ってみたい。

本記事は、公式媒体で確認できるあさかほを可能な限り網羅しようと試みたものである。おおむね時系列に沿ってまとめている。なお、注釈などには私個人の解釈が含まれるのでご留意願いたい。


「あさかほ」とは

アイドルマスターシャイニーカラーズに登場する芹沢あさひ小宮果穂の2人、およびその関係性を指してあさかほと呼ぶ。

左:芹沢あさひ 右:小宮果穂

14歳(あさひ)と12歳(果穂)、283プロダクション最年少の2人である。見ての通り、年下である果穂の方が背が高い。また、外見だけでなく内面においても果穂の方が成熟していると見受けられる場面が多々ある。元気を絵に描いたような両名だが、さまざまな点で対照的。そんなコンビがあさかほだ。

「コンビ」と述べたものの、この2人は互いに異なるアイドルユニットに所属しているためゲーム本編での交流はお世辞にも多くない。とは言え、あさひにとって果穂が事務所内唯一の年下ということもあり、普段とは一風変わった掛け合いが見られることから、あさかほは供給の少なさに反して密かな人気を博している。


1.サマー・ミーツ・ワンダーランド

あさかほの起こりは、2019年夏のシナリオイベント『サマー・ミーツ・ワンダーランド』である。同年の4月に加入したあさひにとっては初のユニット越境シナリオとなる。ここで、彼女に関する衝撃的な初出情報がひとつあった。

ところで、芹沢あさひと言えば特徴的なのが「~っす」という語尾だろう。

あさひ「はい! わたし、芹沢あさひっす! よろしくっす!」
芹沢あさひ W.I.N.G.編『未知への高揚』

独り言を除けば、それまでのあさひの発言にはほとんどこの語尾が付随していたため、それが彼女の、メタ的な「キャラ付け」なのだろうと考えられていた。

しかし、『サマー・ミーツ・ワンダーランド』において・・・・・・

あさひ「果穂ちゃん、こっち! この先でボトルメールに返事したから!」
サマー・ミーツ・ワンダーランド 第3話『時の物語』

果穂にタメ口で接している!

これにより、あさひの会話で見られる「~っす」という語尾はくだけた敬語であったことが判明した。14歳の彼女にとって、仕事上の関係者が例外なく年上であるが故に起こったミスリード(?)である。もちろん事務所内だろうとそれは変わらない。同じユニットのメンバーでさえ、目上と見ればあさひは”行儀よく”敬語で接する。そのため彼女のタメ口を拝める機会はまずなかった。

そんな中283プロで唯一、果穂だけが、あさひのタメ口を引き出せる存在なのだ。

果穂に関しても驚かされることがあった。

小宮果穂と言えば、特撮ヒーロー番組が好きという童心を持ちながらも、高校生に間違われるほどの大人びた容姿と、それにたがわないしっかりとした性格が魅力のアイドルだ。

人に迷惑をかけるような行動を、普段の彼女なら進んでとったりはしない。 それが『サマー・ミーツ・ワンダーランド』ではどうだろう。

サマー・ミーツ・ワンダーランド 第6話『銀河の冒険』

あさひにそそのかされてではあるが、早朝のまだ暗い時間に無断外出を決行する。

結果、同室の灯織たちを心配させてしまった。

甜花「旅館の中の探検と・・・・・・ 外に出るのは、違うと思うから・・・・・・」
あの甜花ちゃんにまで諭されてしまう始末

これは果穂の行動としては極めて珍しいように思える。しかし考えてみれば、彼女の周囲にはプロデューサーにせよユニットメンバーにせよ、精神的に成熟した人物ばかりが存在していた。「朱に交われば赤くなる」ではないが、あさひのように奔放な、ある意味で「悪い子」との邂逅が、果穂の意外な一面を引き出したと言えるかもしれない。

果穂の所属する『放課後クライマックスガールズ』の西城樹里さん
【バッドガール】とあるがこちらは”””嘘”””

『サマー・ミーツ・ワンダーランド』から最後に、あさひと果穂の対比で面白い場面が2つあるので、それを紹介して次へ移ろう。

第3話『時の物語』より

灯織「ボトルメールがあるか確認したらすぐ戻ろう、ふたりとも・・・・・・」
灯織の提案に対し
果穂「はいっ、わかりました!」
聞き分けのいい果穂と
あさひ「えー、これくらい平気っすよ~」
生意気なあさひ

第6話『銀河の冒険』より

灯織「戻れなくなったらどうするの・・・・・・?」
未知の景色を前に
果穂「戻りましょう、あさひさん!」
引き返そうとする果穂と
あさひ「え~!嫌っす~!」
クソガキ


2.web4コマ漫画

シャニマス公式X(旧Twitter)、およびゲーム内などで閲覧できる4コマ漫画。基本的にはユニットごとにストーリーが展開されるのでここでもあさかほは稀である。例外として各ユニットのセンターが集まった回が何話かあり、あさひと果穂の交流はそこで確認できる。

※タイトルのリンクから全コマ閲覧可

127話『バッテリー』

ライブ後もまだまだ元気いっぱいに見えるあさひと果穂だったが・・・・・・

『サマー・ミーツ・ワンダーランド』後、間もなく公開されたお話。4コマ目にあさかほを推す理由のすべてが詰まっていると言っても過言ではない。

162話『お年玉』

お年玉の使い道を話しあうセンター陣一同。年少組の用途は意外にも・・・・・・

こちらも4コマ目で、仲睦まじいあさかほが確認できる。健康にいい。

180話『お返しのハードル』

怪訝そうに様子を窺う果穂。あさひの落ち着きのなさの理由とは・・・・・・?

2020年ホワイトデーの4コマ。あさひの行動の理由を知った各人の反応に注目すると、果穂が真乃や甘奈とは異なる表情をしていることに気付くだろう。


3.FUTURITY SMILE

2019年12月、あさかほ学会に激震が走った。あるいは、「あさかほ」という概念はこの時生まれたのかもしれない。

新曲『FUTURITY SMILE』のジャケットイラストが公開されたのだが、そこに・・・・・・

ん?
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?


4.アイドル同士の会話

メニュー⇒ホームユニットから、配置したアイドル同士での掛け合いが見られる。2020年5月に追加された。

果穂⇒あさひの会話

果穂「あさひさーん! 聞いてください! 向こうに面白いもの見つけたんですー!」あさひ「何があったの!? 連れてって! 果穂ちゃん!」

果穂からも積極的にあさひへ絡んでいく様子がうかがえる。仲良しで大変ほほえましい。

あさひ⇒果穂の会話

あさひ「とぉーう!」果穂「わぁっ! ヒーローキックですね! あたしも・・・っ ──とうっ!」 

あさひのMorningコミュ③でプロデューサーに「とりあえず楽しそうだ」と評された謎の動きだろうか。テレビで見た何かを真似していたらしいが、どうやらそれはヒーローキック(?)だったようだ。シャニマス七不思議のひとつが氷解した瞬間である。

円香⇒あさひの会話

円香「これあげるから 静かにしてて」あさひ「ありがとっす! ・・・・・・果穂ちゃーーーん! お菓子もらったよーーー!!」
樋口円香は小動物への餌付けをなりわいとしている

ノクチル関連の会話は2020年の10月に追加された。まさかそこで、あさひ⇔果穂以外からあさかほが接種できるとは。不意の供給に歓喜したファンも多いだろう。

果穂「わ゛ぁ! いいんですか!? ありがとうございます!! 円香さん!!!」
円香「・・・・・・」
円香「ん・・・・・・・・・・・・」
悪質なコラージュ

【番外編】シャニマスサマーアイドル2021

1年後こうなった。何か巨大な意思を感じる。


5.明るい部屋

2020年12月に開催。『サマー・ミーツ・ワンダーランド』以来の、シナリオ上であさかほが交流するイベントである。

2人が最初に登場するのは第1話『オンリー・プライベート』。事務所へ向かう果穂がたまたま遭遇したあさひに声を掛け、一緒に行かないかと提案するのだが・・・・・・

果穂「だから・・・・・・っ い、一緒にいきませんか・・・・・・!?」
明るい部屋 第1話『オンリー・プライベート』

少し緊張気味に誘うのである!

これはぜひボイスを聞いてほしい。可愛すぎる。ユニットメンバー相手とはまた違った、あさかほの距離感だ。その後も、断られるかもと不安がったり、快諾され喜んだり、かと思えば頓狂な行動を前に困惑したり、コロコロと変わる果穂の表情が楽しい。

それぞれの保護者を介しての会話が見られるのも越境シナリオの特権である。果穂とあさひ、両者の手のかかり具合の差が輝く。

明るい部屋 第4話『サンタ・クローズド』
隣の芝生は青い

完全な余談になるが、『明るい部屋』はシャニマスでも指折りの”愉快な”シナリオなのであさかほ抜きにしても見ておいたほうがいい。


6.営業トーク

セールストークのことではない。アイドルを営業へ向かわせた際に、該当する2人の組み合わせがあると発生する掛け合い。2021年1月に追加された。あさかほの会話は一緒にミニライブへ行くと見ることができる。

あさひ「果穂ちゃん、舞台裏を探検しよう!」果穂「はい! あっ・・・みなさんに探検するって言ってから・・・!」

このやりとりに覚えはないだろうか?

そう、『サマー・ミーツ・ワンダーランド』である。あさひが探検を提案し果穂がそれに応じる、という流れは一緒だが、今回の果穂は過去の反省を生かして行動している。彼女の成長を感じずにはいられない。あさひはそのままでいいよ♡


7.その他

2021年2月~2023年、ゲーム内でのあさかほの供給が途絶え、学会は匂わせ程度に細々とお出しされるあさかほを頼りに糊口をしのぐこととなった。

「朝果穂の大飢饉」の到来である。

2021年

・Landing Point編

果穂「どうなんだろ・・・・・・? 事務所に中学生の人がいるから──」
小宮果穂 Landing Point編『青』

こ~~~れね! あさかほです!(目バキバキ)

・サマーアイドル2021

特異点

2022年

・シャニマスフォトのサンプル

こんなのですら「公式供給!!」と沸いていた2022年夏

・シャニマスイラコンの応援イラスト

ギミー先生ありがとう。アイドルマスター シャイニーカラーズ シャニマスえぶりでい!は神。

2023年

・小宮果穂の作業配信

あさひさんといっしょに探検し、お宝を発見。
見つけたお宝の効果で次のさいころの目が2倍になる。

およそ10ヶ月ぶりの食料である。

ジムシャニ2話

夜出偶太郎先生ありがとう。アイドルマスター シャイニーカラーズ 事務的光空記録は神。


8.異次元フェス

2023年12月東京ドームにて開催。言わずと知れたアイマス×ラブライブの合同ライブである。

そのday2で・・・・・・

こ、これを歌ったの? あさかほが・・・・・・? 

蓮ノ空より披露された『フォーチュンムービー』は乙宗梢さんと日野下花帆さんの先輩後輩による2人組ユニットスリーズブーケの曲だ。2人はとても仲良しである。ふーん・・・・・・

仲良しの先輩後輩? ならシャニマスからはあさかほや! という強火の思想を感じる。ちょっと怖い。


9.シャイニ―PRオファーVol.2

ユーザー投票によって選ばれたアイドルに楽曲やコミュが提供される企画。第2弾はアニメ主題歌歌唱のオファーであった。

投票自体は2023年9月で終了しており、結果は・・・・・・

1位小宮果穂 2位黛冬優子 3位和泉愛依

あさひと果穂を入れ替えただけのストレイライトになってしまったことが、物議を醸しそうな気配をうっすらと漂わせていた。

だが5ヶ月後の2024年2月。満を持して発表された楽曲・・・・・・と共に投下されたイラストにより一人残らず黙らされてしまう。

ん?
ば゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?

果穂のお仕事ノートにあさひのサインが書かれている!

あさひが進んでサインするとは考えにくいので、果穂からサインを求めただろうことは想像に難くない。その時どのようなやりとりがあっただろう。あさひは何を感じただろうか。

というのも直近のシナリオイベントにおいてあさひは、サインを『ただの字』と見なしているのだ。

あさひ「・・・・・・うーん」「なんでサイン、欲しいの?」「ただの字なのに」隣の生徒「・・・・・・! 私にとっては『ただの字』じゃないの」
Wintermute,dawn 第2話『ざざ、ざざざざ』

その評価は他人のものであれ、自分のものであれ、変わらないようだった。

果穂のノートに書いたあのサインもやはり、あさひにとって『ただの字』なのだろうか。それとも・・・・・・

学会員「待ってください! あさひが自ら進んでサインした、という線は本当にないのですか?」「つまり、こうです」「あさひは、果穂の持ち物にサインしたいとふと思い立った・・・・・・なんでかは分かりません! だって彼女にとっても、それは初めての衝動で・・・・・・!」

結華「わっ!? こがたん、ちょーっと落ち着こうか・・・・・・」
オタクの月岡恋鐘


10.シャニマス6thライブday2

そして冒頭の「あさかほスノフレ事件」につながる。

そう、あさかほ学会は長い冬の時代を経てここへ至ったのである。確かにゲーム内での供給は未だ滞っている。しかしあさかほは間違いなくあるのだ! 今! 目の前に!

あった

演者さんのパフォーマンスも相まって、完全にあさかほが大阪城ホールに顕現していた。

あの有名な、あさかほが2人で雪遊びをするコミュも完璧に再現されていた。でかい雪玉を転がすあさひも、その背後から雪玉をぶつけようとする、普段よりやんちゃな果穂も、それを難なく避けるあさひも、全部があった。

かじかむ手と手をつないでた!

パーティーを始めてた!!

いっぱい遊んでた!!!

わああああああああああああああああ(大泣き)


結び

あさかほにスノフレを歌ってもらう

楽園(パライソ)を作る方法はこんなにも単純で、だけど実現可能だなんて誰も信じていなかった。

周年ライブで、オタクの妄想が成就するはずないと。新曲を披露して、余った枠でちょっとレアなあの曲とかも聞けたらラッキーだと。

そう、思っていたのに。

???「ここからはー! 283プロダクション スペシャルDJタイムのブロックでーーす!!」

彼女にかかれば訳はなかった。

「オタクの妄想、叶えちゃうぞのコーナー 始めますねー!」

本当にありがとう、DJにちか。もう足を向けて寝られません。

あさかほ万歳!


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