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名建築家 池原義郎と所沢の近現代建築

2017年5月20日、一人の偉大な建築家が89年の生涯を閉じました。早稲田大学名誉教授の池原義郎さんです。池原さんの代表作としては、西武ライオンズ球場(1979年)や早稲田大学所沢キャンパス(1987年)がまず挙げられますが、その他にも数々の作品を所沢の地に残しました。早大人間科学部がちょうど開校30周年を迎えたこともあり、改めて池原さんの功績を称えるため、2017年12月定例会の一般質問の中でこのテーマを取り上げました。

市内に所在する池原作品の中で忘れてはならないのが、所沢聖地霊園礼拝堂(1973年)です。この礼拝堂は建築関係者の間でも非常に評価が高く「日本におけるモダンムーブメントの建築150選」にも選出されています。西武園中国割烹旅館 掬水亭なども彼が手掛けたもの。残された図面や資料の中には幻の所沢プリンスホテルに関するものもあるようです。ちなみにシンガーソングライターの小田和正さんが音楽の道に進む以前、池原研究室で建築を学んでいたことも有名な話です。

所沢聖地霊園礼拝堂
中国割烹旅館 掬水亭

池原作品ではありませんが、航空記念公園にある所沢図書館本館は最高裁判所や警視庁本部を手掛けた建築家故岡田新一氏の設計によるもの。そのようなエピソードを踏まえて眺めてみると、普段から見慣れた建物もまた違うように見えてくるかもしれません!?

所沢図書館本館

隈研吾氏の設計によるところざわサクラタウンのオープンを受け、2020年9月定例会においても、著名な建築家の設計による建築物等に関する情報を様々な手法で効果的に発信するなど、観光資源としてさらに活用することについて、一般質問で取り上げました。

ところざわサクラタウン
角川武蔵野ミュージアム
本棚劇場
隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生-石と木の超建築

①平成29年(2017年)12月定例会 一般質問の会議録より

◆荻野泰男
 それでは、次に、所沢ブランドと名建築ということで、村松産業経済部長に質問いたします。
 ちょっとこのテーマを取り上げるきっかけをお話したいんですけれども、10月末に杉田議長、桑畠元議長、中前議長とともに早稲田大学人間科学部創設30周年記念行事に出席してまいりました。
 所沢キャンパスといえば、ことしの5月に逝去されました池原義郎さんの設計ということで、代表作の1つであるんですけれども、そういったことと、ほかにも西武ライオンズ球場ですとか、ちょっと写真で示しますと、掬水亭もそうですし、あと、忘れてはならないのが所沢聖地霊園の礼拝堂が初期の代表作ということでなっております。
 所沢聖地霊園、これは池原さんの設計ではないんですけれども、昨年、管理事務所のほうがグッドデザイン賞をとられたということで、こちらの管理棟が聖地霊園の管理棟ということです。グッドデザイン賞、結構所沢市内の建物がとっていまして、市民体育館は皆さん御存じだと思うんですけれども、あと、最近ですと狭山湖畔霊園という尾崎 豊さんのお墓があるところの管理棟が、こういう結構格好いい建物です。インスタ映えするような建物ですけれども、内部がこんな感じです。こちらは中村拓志さんという、もともと隈 研吾さんの事務所から独立されて、結構、情熱大陸とかにも出ている若手の注目の建築家の作品ということでした。
 あと、ほかに身近なところでは、この庁舎の目の前にあります所沢図書館本館は岡田新一さんの設計ということで、岡田新一さんといえば、こちらの最高裁判所ですとか、あと、よくドラマとか映画に出てくる警視庁本部などを設計されている方ということで、これは警視庁のほうが1980年ということで、図書館と同じ年の竣工でもございます。
 また、近隣ですと昨日まで入間市博物館で石川組の特別展が行われていましたけれども、石川組の西洋館ですとか、あと、ヴォーリズさんの設計の武蔵豊岡教会なども有名でして、また、狭山市駅の駅前広場もグッドデザイン賞をとられたりと、結構近隣でもそういった著名な建築家の作品ですとか、知る人ぞ知る現代の名建築などがありますので、そういった情報を整理して、さまざまな媒体で紹介するなど観光資源としての活用することについてお考えを村松部長にお尋ねいたします。

◎村松産業経済部長
  議員御案内の市内に所在する著名な建築家が設計した建築物は、本市の魅力を伝える貴重な観光資源の1つであるというふうに認識をいたしております。
 こうした資源を積極的に活用することで、本市ならではのブランド価値を高めるとともに、産業振興ビジョンにも掲げております回遊性の向上や地域の活性化にもつながることが期待されますので、まずは市内にどういった観光資源となるような建築物があるのか調査をしてまいりたいというふうに考えております。

②令和2年(2020年)9月定例会 一般質問の会議録より

◆荻野泰男
 次に、所沢ブランドについて、植村産業経済部長に質問いたします。
 まず、①のところですけれども、平成29年12月定例会の際に、故池原義郎氏の作品群を中心に、市内に所在する著名な建築家が設計した建築物等について取り上げさせていただきました。
 当時の担当部長は村松産業経済部長でしたけれども、こうした資源を積極的に活用することで、本市ならではのブランド価値を高めるとともに、産業振興ビジョンにも掲げられております回遊性の向上や地域の活性化にもつながることが期待されますので、まずは市内にどういった観光資源となるような建築物があるのか調査をしてまいりたい旨の答弁をされていましたが、その後何か取り組んだことはありますでしょうか。

◎植村産業経済部長
 平成29年12月定例会以後の取組でございますが、市内の著名な建築家によって設計された建築物について調べましたところ、議員御案内のとおり、日本建築学会賞作品賞を受賞した池原義郎氏の設計による所沢聖地霊園の礼拝堂と納骨堂、早稲田大学所沢キャンパス、中国割烹旅館掬水亭、同じく日本建築学会賞を受賞した岡田新一氏による所沢図書館本館、そのほかにも中村拓志氏による狭山湖畔霊園の狭山の森礼拝堂などを確認いたしました。
 また、現代建築物以外では、山口観音、狭山不動尊、所澤神明社、鳩峯八幡神社などをはじめとする歴史的価値のある建築物や小野家住宅、旧和田家住宅、これはクロスケの家とも呼ばれておりますが、黄林閣をはじめとする古民家など、文化的価値のある建築物もあることも確認しております。
 そうしたことから、本市の文化伝統を後世に伝えるとともに、本市の魅力を発信するということを目的として、そうした観光拠点を巡るウォーキングイベントやボランティアの観光コンシェルジュによるガイドツアーの開催、本年1月に開催いたしました所沢七福神めぐりのPRなど様々な観光振興策を行ってきたところでございます。

◆荻野泰男
 先日、私は角川武蔵野ミュージアム竣工記念展、隈研吾/大地とつながるアート空間の誕生-石と木の超建築に足を運んでまいりました。昨日も夕方のニュース番組のスーパーJチャンネルでしたかね、サクラタウンが取り上げられておりましたけれども、隈 研吾氏の設計によるところざわサクラタウンのオープンを機に、建築設計に携わる人々からも熱い視線が所沢のまちに注がれつつあると感じております。
 そこで、著名な建築家の設計による建築物等に関する情報を様々な手法で効果的に発信するなど、観光資源としてさらに活用することはできないかと考えますが、市の見解をお伺いします。

◎植村産業経済部長
 世界的に著名な隈研吾氏が設計を手がけたところざわサクラタウンのオープンは、市としましてもこのところざわサクラタウンを起点としまして、様々な観光資源を建築という面で掘り下げていくよい機会であると考えております。そうしたことから、現在、建築物に関する情報も観光情報の1つとして発信していくことについて検討しているところでございます。


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