見出し画像

真夜中に出す手紙が最悪とも限らない

夜中に書いた手紙やメールを翌朝の冷静な頭で読み直したら、ウワー!なんでこんなこと書いてしまったんだ!って正気に戻って恥ずかしくなって、全部破りたくなった経験ありませんか? 私はあります。

夜中は気分が変に昂ってたり、エモが爆発してたりするので……そんな状態で書いた手紙はそのまま出してしまわずに、朝もう一度読み返してから出したほうがいい、とかいいますね。

基本的にはまったく正しくて、朝読み返してから出したほうがいいと思うんですけど、真夜中に書いた手紙をそのまま勢いで送ったら人生がいい方向に転がっちゃったことが2回あるので、その話をしようと思います。

このnoteは劇団ノーミーツ1周年記念企画「劇団員24人全員のnote」のひとつです。劇団ノーミーツ広報のオギユカが書いています。その他の劇団員のnoteはこちら。

真夜中に手紙を出したら、広報の仕事につけた

社会人1年目が終わろうとしている春、面白そうな学校に出会いました。バスキュールとPARTYという2社がやっている、デザインとプログラミングの学校「BAPA」。(Both Art and Programing Academy)

わたしはクリエイターじゃないけど、好奇心としてデザインとテックが好き。でもデザイナーでもエンジニアでもないので、BAPAの生徒になれる可能性はまぁ、ない(選考もあった)。
私には関係ないけど、でも学校のテーマも、各講義の講師もめちゃくちゃ面白そうでいいな〜っていうか、こういうところに集まってくる「つくる人」たちがすごく好きなんだよな〜って関係者がSNSに募集情報を投稿するのを眺めていた。

そんなある日の昼休み、Facebookで運営ボランティアスタッフを募集が流れてきたんです。

「これならわたしも参加できるじゃん!すてきな講師陣、生徒の熱量に直に触れたいよ!」と嬉しくなった。

……でも、一瞬あとには「いやでも、クリエイターでもないのにそんなに吸収してもさ〜無駄インプットでしょ〜」と画面を閉じちゃったんですよね。空間デザイナーやプランナーの部署で働いてるけど、わたし、ただの事務職だし。

と思ってたはずなのに、その日の深夜、外で飲んで家に帰ってきて、なんとなくBAPAの募集のことを思い出して、なんだかわからないけど勢いで応募しちゃったんです。(案の定、今読み返すと結構恥ずかしくなる文章だった!!!!)

数日後、知らない番号から電話がかかってきて、スタッフぜひ!と言っていただいて、打ち合わせすることになって、そのままBAPA2期に運営サポーターとして参加しました。

講師による授業は毎回ものすごく面白かったし、生徒さんから提出される宿題もすごく楽しみだった。わたしこの人のファンだな!と思うクリエイターさんもたくさん見つけた。(水落大さんとか、くぼたえみさんとか、同い年の矢部ちゃんとか……挙げるとキリがない)

卒業制作は、アイドルのライブを演出するという「LIVE BAPA」。チケットを売ってお客さんを入れるガチのイベントで、楽しかったなぁ。

卒業制作展のLIVE BAPAの様子はこちら。興味があったらぜひ見てみてください!http://bapa.ac/2015/livebapa.html

BAPAが終わって1年半後くらいに、運営チームの小島幸代さんが「BAPAの時の動きを見てて、クリエイティブの広報向いてると思うよ、デザイン会社の広報として働いてみない?」と声をかけてくださったんです!(小島さんは複数のクリエイティブの会社の外部人事コンサルをしていた)

広報という仕事に興味はあったけど、募集はたいてい経験者に限られてるし、その時の会社で「広報興味ある」と上司に話してはいたけど真剣に考えられてなさそうで案の定な人事が発表された直後だった。「未経験から広報の仕事するとか無理そ〜!」と思っていたところに飛びこんできた話。びっくりしたし、一緒に動いていた様子を見て誘ってもらえるなんてはじめてですごく嬉しかった!

かくして、未経験からの転職につながり、広報の仕事にうっかり就くことができました。

酔っ払った深夜の勢いだったけど、あの時真夜中にBAPAのスタッフに応募をしてよかったです。

真夜中に手紙を出したら、劇団員になった

BAPAの運営スタッフに飛びこんだ2015年から5年後、広報として働きはじめて、まる3年が経った2020年の春。

緊急事態宣言が発令されて、ずっと家で過ごしていた。ゴールデンウィークはオンラインでマーダーミステリーを遊んで、楽しくて面白かったんだけど、でも、これが……ゴールデンウィークのハイライト……なのか……外出自粛とは……しょうがないけど……つら……となっていた。

そんな時に広報のSlackコミュニティで教えてもらったのが「劇団ノーミーツ」の広報募集のツイートだった。

「大人の文化祭?それわたしの好きなやつでは?」って思った。大学生の時にどっぷりバイトしていた、まだマンションの一室で活動していた頃のSCRAPを思い出した。

そこで「劇団ノーミーツ」を検索して、あ、あのバズってたやつか〜!……まぁでも自分とは関係ないか〜!と今回もまた一旦ブラウザを閉じた。

でも、たまたまその日の夜眠れなくて。なんとなくもう一回ツイートを検索して、深夜だったけど試しに布団の中からbosyuで連絡してみた。気がついたら、bosyuに入力できる文字数をオーバーするくらい長文をiPhoneで打ってた。

緊急事態宣言中で、プライベートで手伝っていた体験型イベントは時期未定の延期になるし、副業で広報をしているボードゲームカフェも全店休業になってしょんぼりしていた。ずっと家にいる毎日の中で、なんでもいいからプラスに進むできごとを求めていた気がする。

まぁとりあえず話を聞いてみよ、くらいの軽い気持ちで連絡した。(長文だったけど)

そしたら3時に返事がきた。(3時って!)

この返事から24時間もしないうちにZoomで初めましてをして、ノーミーツを手伝うことになった。本業の会社員の仕事もあるし、どこまでできるか不安だったけど、まぁなんとかなるかなと!

最初は劇団ノーミーツのことをバズ動画集団かな?って思ってたけど、もうすぐ長編公演に挑戦するという。旗揚げ公演の『門外不出モラトリアム』のあらすじを読んだら、思っていたよりもずっと面白そうだった。本当にオンラインで演劇をやって、物語を作るんだ!とテンションが上がったし、純粋にお客さんとして観たいと思った。

『門外不出モラトリアム』を観た人が、劇団ノーミーツのことをバズ動画集団じゃなくって、「劇団」だと認識してくれることを目指そう、と最初の広報打ち合わせで話した気がする。

この時はまだ、一年後の今も「劇団員」をやってるなんて、思ってなかった。

巻き込まれてからは怒涛の日々で、最初は全員会ったことないし、夜中に稼働してるっぽいし、Slack使いこなせてない人いっぱいいるし、Zoomで顔写ってなかったり目線カメラじゃない人いるし、バリバリクリエイターみたいな人いるし、なんか怖かったというか緊張してた。仲良くなれなそ〜!って実は思ってた。

劇団のメンバーは、友達の友達や、うっすらとでも知り合い同士でメンバーが増えてきたらしく、私と一緒に入ったおのでらさんが、本当に面識のないまま参加した最初のメンバーだった。

だけど、本番に近づくにつれてやっぱり盛り上がってきて、今までのわたしは年上の人に囲まれていることが多かっただけに、「同世代とやれる楽しさ」がたまらなかった。

本番直前に出来上がってきた予告編を見て鳥肌がたった。正直、はじめてスズケンが作った予告編を見た時、面白そうすぎて「本番これを超えられる?!」とひそかに心配していた。笑

いざ本番を迎えて。

これがすごく面白かったの! 稽古もゲネプロも何度も観ていたのに、話の内容も全部知ってるのに、本公演を観て泣いた。自分でもびっくりした。

そうして、28歳にもなって、会わないままの友達がいきなり10人以上できた。

劇団は続いて、ひとつひとつの挑戦が大きく多様になっていて、メンバーもどんどん増えた。わたしの大事な友人なかなも誘った。

そうしてもう、劇団旗揚げから一年経つらしい。

今までの交友関係では年齢関係なく、自分は妹分なことが圧倒的に多かったのに(たぶん背が低いから)オンラインだけでコミュニケーションしていたら劇団のメンバーから「オギねぇ」って呼ばれるようになった。古くからの友達はびっくりするんじゃないかな。

大変なこともいっぱいあるし、劇団メンバーのみんなに対して「無茶だろ」思うことも、「ちゃんとしなよ!」と思うこともいっぱいあるけど、でも劇団ノーミーツのメンバーになれてよかった。

自分は0からものづくりをすることが苦手で、だけどつくれる人が好きで、ずっと、そばにいたいと思ってた。今、どんどん作品が生まれていくところを、劇団ノーミーツの一番近くで見ている。

あの時、夜中にbosyuで連絡してよかったと思う。

・・・

常識的な大人としては、真夜中に書いた手紙は翌朝読み返してから出すことをおすすめします。

でも、うっかりそのまま勢いで出しちゃっても、もしかしたらいいことあるかもしれませんよ。というお話でした。

劇団ノーミーツの他のメンバーのnoteもぜひこちらから読んでみてくださいね👉https://note.com/gekidan_nomeets/n/nc88bbc7786b1

P.S. 実はBAPAの時に生徒として参加してて「この人めちゃくちゃおもしろい!!」って思ってた水落さんも劇団ノーミーツメンバーになってくれた。そのあと、BAPAきっかけで就職したデザイン会社の時の頼れる同僚、なかなも誘って、劇団ノーミーツに入ってくれた。大好きな2人と一緒に、今も劇団で活動できて嬉しいよ〜 人生どこで何がつながるかわからないね!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?