オタ芸の可否

この記事は7月アドベントカレンダー(8月28日)の記事です。

 8月27日、私は4年ぶりにアニサマに参加した。
 「最近はアニメも観ないし漫画も読まないし、キモオタクからオタクが抜けて、ただのキモになっちゃったよ~w」と常日頃うそぶいている私も、ライブの爆音、臨場感、コールアンドレスポンスに高まって、大声で叫び、サイリウムを振り、とても楽しめた。
 ところで、アニサマの出演者の一人であった小倉唯さん(以下敬称略)のライブパフォーマンスでは、オタクが曲に合わせて「L!O!V!E!ラブリーゆいちゃん!」と叫ぶ口上がある(なお本人は何と言っているかわかっていない模様)。
 

 小倉唯のライブでは、本人の歌唱よりもオタクのこの口上を聞くのが楽しみにしているまである(言い過ぎ)。
 このように私はオタ芸や口上が大好きだが、過激なオタクの中には「アイドル/声優 の歌を聴きに来ているのであってオタクの汚い声を聴きたいわけではない」というオタクアンチオタクがいる。

 昔話題になったのだが、コンサートがオタ芸によって妨害されたとして、コンサートのやり直しの請求と、オタ芸を排除しなかった運営に対する損害賠償請求をした裁判がある。過激なオタクが最高裁まで上告したのだ。
 そこで、この裁判に関する判決文をみんなに見てほしい。
 裁判の判決文というのは、主文の次に「事実および理由」が述べられる。その中で”当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実”として「前提事実」が述べられる。

1 前提事実
(1)~(8)(略)
(9)本件コンサートにおける楽曲の演奏中、観客の一部からいわゆるオタ芸(アイドルオタクのパフォーマンス)である「オー、オー、オー」、「せーの、はーい、はーい、はい、はい、はい」、「ウッ、ハッ、ウッ、ハッ、ウッ、ハッ、ウッ、ハッ、ウッ、ハッ」、「ホーーーー、ホワホワ」、「せーの、おーい、おーい、おい、おい、おい」、「よっしゃー、いくぞ、サイバー、ダイバー、ジャージャー」などのかけ声が上がることがあった(以下「オタ芸としてのかけ声」という。)

神戸地判平成28年9月12日D1-Law.com判例体系〔28254216〕

 もうこの時点でおもろくないか?オタ芸としてのかけ声ってなんだよ。
 おそらく裁判官は準備書面を見て、真面目な顔してこれを書き写したのだろう、何故笑わないのか?
 そして次に「争点」として原告の主張の記述がある。

(原告の主張)
  ア いわゆるオタ芸が全面的に禁止されオタ芸をする者を即刻退場すると決められ実行されるものをコンサートと称するのであって、オタ芸が許容されるものをコンサートとは称さない。
  イ 被告らは、本件コンサートにおいてオタ芸という原告の鑑賞の妨げになるような行為をする者らがいたにもかかわらず、その者らを退場させなかったことにより、コンサート鑑賞に最適な環境を整えず、原告の本件コンサートの鑑賞を満喫する利益を侵害した。

神戸地判平成28年9月12日D1-Law.com判例体系〔28254216〕

 過激すぎる。過激なオタクって怖いね。
 「オタ芸が許容されるものをコンサートとは称さない。」
 言いすぎだろ。しかも裁判で主張しちゃうんだ。
 もちろんこんな主張が通るわけもなくオタクは敗訴した。

 そんな昔の裁判例を思い出したアニサマ2023だった。

 グリッドマンが大好きな私は内田真礼 feat. オーイシマサヨシの「youthful beautiful」と映画の映像が流れる「uni-verse」で大号泣した。


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