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デザインって料理に似ている。 - 『DESIGN GASTRONOMY 〜 おいしくつくるデザイン』 #01


は じ め に

こんにちは&こんばんは&はじめまして。

京都の"Innovation Design Firm" XIN inc. 株式会社XIN(サイン) で、代表取締役CEO / Design Strategist をしている生越(おごせ)と言います。

デザインとクリエイティブを生業にしてから十余年。今でこそ大抵のことでは動じなくなってきましたが、デザインを始めたばかりの頃は、その難しさに、求められるものをつくれない悔しさに、自分の不甲斐なさに、時には歯を食いしばり、時には泣きそうになったこともありました。

そんな中で気づいたこと。

「 デ ザ イ ン っ て 料 理 に 似 て い る 」

このnoteでは、『DESIGN GASTRONOMY 〜 おいしくつくるデザイン』と題して、より良いデザインをつくるための考え方やノウハウについて、料理になぞらえて綴っていこうと思います。

どちらかと言うと、バリバリデザインやってるキャリアのあるデザイナーの方よりも、「デザインって何?」「デザインってよくわからない」というノンデザイナーの方や、「全然思うようにデザインできない」「いつもデザイン案が通らない」という駆け出しデザイナーの方の参考になればいいなと思います。

どこかの誰かに、届くといいな。

いつかの自分にも、届くといいな。

そんな気持ちで、ぼちぼち綴っていきます。


「 G A S T R O N O M Y 」 と は

タイトルの「GASTRONOMY」とは、「美食学」という意味。

ガストロノミー(仏: gastronomie、英: gastronomy)とは、文化と料理の関係を考察することをいう。日本では美食術、美食学とも訳される。(中略)料理にまつわるものには、舞踊、演劇、絵画、彫刻、文芸、建築、音楽、言い換えれば、芸術がある。だがそれだけでなく、物理学、数学、化学、生物学、地質学、農学、さらに人類学、歴史学、哲学、心理学、社会学も関わりがある。(中略)特に、調理とガストロノミーへの科学の適用は、近年では分子ガストロノミーと呼ばれるようになっている。
ガストロノミー - Wikipedia

ちょっと小難しい印象ですが、食や料理を考察し、時に科学的に分解していくこと、くらいの意味で理解しています。特に個人的に「分子料理」「分子ガストロノミー」と言われる分野が興味深いなと思っていて(こっちで「分子」とセットで聞くことのほうが多いかもですね「ガストロノミー」って単語)

料理の過程で食材が変化する仕組みを分析して解明し、科学的観点で、調理技術とガストロノミー上の現象を社会的、芸術的、技巧的要素で解明するものである。料理を科学的観点から解析かつ分析してこれまで経験や勘で伝承されていた調理法の暗黙知を形式知化させることで、曖昧に伝わっていた味覚、風味、食感などを形式化し、調理法の改善、調理時間の短縮、食材の保存や活用、新たな食材や料理、調理器具等の開発などへ応用が期待される。分子ガストロノミー - Wikipedia

これまた何やら小難しいですが、ざっくり言うと「料理を科学的に分析しつくせば、誰でも美味しい料理がつくれたり、新たな調理方法の発見につながるんじゃね?」という考え方です。

こうした科学に根ざした料理や調理方法は、割と一般的にも浸透してきていて、例えば「ステーキを焼く時にはメイラード反応を意識しろ!(カリッカリに表面を焼き上げると旨味が超絶増す)」とか「65度で 2時間、真空パックしたお肉を加熱するんだ!=低温調理(肉の成分が変質しない低温度で長時間加熱すると、火は通っているのに柔らかなまま)」とか、最近よく耳にします。この界隈の話は、とても面白いですし、ちょっとした知識とコツでびっくりするくらいに料理が美味しくなるので、おいおい語りたいところですが、いったん置いておいて。


デ ザ イ ン に も レ シ ピ が あ る

料理における「GASTRONOMY」と同様に、デザインにおいても、良いデザインをつくるための暗黙知化されたままのルールや真理があるんだよね、と実感として強く思うわけです。そして、それを理解していないがゆえに、同じような失敗を繰り返しているデザイナーや、いつもイマイチなデザインをしてしまっているデザイナーがいるわけです。

もったいない!

デザイナーも不幸だし、その先にいるクライアントも、エンドユーザーも不幸です。

おいしい料理のレシピを知らなければ、おいしい料理はつくれません。デザインも一緒で、おいしいデザインのレシピを知らなければ、おいしいデザインはつくれません。良いデザインは、基本さえマスターすればつくれるんです。基本をマスターしたうえでの、応用であり、そこから先の才能の発露です。どうも、デザインの世界では、「感覚」や「センス」に目線が行きがちなように感じます。食材の切り方すら知らないのに、自分のセンスだけを信じて、いきなりフレンチのフルコースを作ろうとする、みたいな。そんなん、マズいに決まってますよね。

昔のように徒弟的な下積み訓練を経てデザイナーになるわけではなく、アプリケーションさえ使えれば表面上のデザインが誰でもできるようになった今の時代だからこそ(それ自体はとても良いことだと思いますが)おいしいデザインをつくりたいのにつくれない、そんなふうに苦しむデザイナーは増えているようにも感じます。

このnoteでは、その辺の暗黙知を、できるだけ誰にでも適用可能な、わかりやすい言葉や手法に変換して伝えていけたらいいな、と思っています。

だから、『DESIGN GASTRONOMY 〜 おいしくつくるデザイン』


次 回 予 告

以上、

「 デ ザ イ ン っ て 料 理 に 似 て い る 」

という考え方と、このnoteで伝えていきたいことについて書いてきました。次回から具体的な話を進めていこうと思います。

まずは、基本の基本から。

おいしい料理をつくるためには、おいしさがわかる「舌」が必要。それと同じように、良いデザインをつくるためには、良いデザインかどうかを見極める「審美眼」が必要。

そのあたりから、書き始めてみようと思います。


〜 書きました 〜



たぶん、ちょっとしたおつまみに化けます。