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ミャンマー〜タイの旅(2) 安全な国

首都のヤンゴンの次、バスで数時間のバカンという街に移動した。
世界遺産の街バガンはかなりの田舎町ではあるが、観光地らしくきちんと整えられていて、観光馬車が走っていた。
のどかな田舎の広大な茶色い原っぱに、三角のパゴダ(仏塔)がいくつも建っていた。

バガン遺跡
チャーターした馬車


馬車をチャーターして、パゴダ数カ所へ連れて行ってもらうことにした。
5人グループだったので馬車は2台チャーター。運転手は同世代ぐらいのミャンマー人青年。
お互いつたない英語でコミュニケーションをとりながら、半日ぐらい一緒にまわった。

グループの1人(男子)が馬車の運転手の青年2人に、
私と友人(女子)どっちが好みか聞き始めた。
1人づつそれぞれを選んでくれたと思う。
そんなことより、青年の1人が発した言葉がとても印象的だった。
好みはどっち?の質問の後に、結婚して奥さんにしたい人はどんな感じがいい?と質問した。

青年の1人が、『ただ笑ってくれていたらいい』 と答えた。
何!その素敵な答え!!
見た目がどうとかそんなんじゃないんや!

大学生の私たちは若さ満載のキラキラ真っ只中で、さて今から社会に出るぞ!という段階にあって、結婚なんてまだ先のことだったけれど、
こういう国でこういう場所で暮らしている同世代の青年は、結婚がもしかしたら私たちより身近な将来なのだろうか。

一方で大学生のわたしたちと言えば、
顔の好みや服装のテイストはこういうのが良いとか、
性格や内面の理想はもちろんあるけれど容姿の好みをキャッキャしながら語っていた時期で、
奥さんにはただ笑っていてくれたらいいという答えに、ハッとさせられた。

青年は本質を見ているように感じて、
自分が何だか表面しか見てなかったように思えて恥ずかしく感じたのか、
彼の発した答えはすごく記憶に残っている。

バガンでの思い出と言えば、景色と同じぐらいよく覚えているのが、ちょっとしたトラブル。ぼったくり。

レストランでありえない金額を請求されて、グループの1人の男の子が結構キレた。
最初は英語でキレていたのに徐々に日本語でキレ出した。
言葉は通じずとも語勢からだいぶんキレていることが伝わったのか、
何とかぼったくられずに未遂で終わった。

もうひとつのぼったくりは、わたし。
これは未遂ではなくぼったくられた。トイレで。
日本では有料トイレはほとんど存在しないけれど、海外ではそういうところがあるというのは知っていた。
観光地なので仕方ないとは思いながら、あるパゴダで女の子が目の前に来て、トイレ入る前に払えというような手を差し出すジェスチャーをしてきた。
いくらか聞くと、確か日本円で100円ぐらいだったと思う。
そんなに払わなアカンの?と思いながら、
早くトイレに行きたかったのでぱっと払った。
戻ってからすぐ友達に『トイレ有料やったわ。しかも100円もした。』と伝えた。
『それ、高すぎるで。ぼったくられてるやん。』


お手洗いに100円払ったパゴダはこういう感じだった

そりゃそうだ。確か1食100〜200円ぐらいの物価だったと思う。ペットボトルの水が何十円とか。
ミャンマーでそれまで有料トイレを利用してなかったので相場が分からなかったとは言え、冷静に考えれば気づくこと。
確かその後に、高すぎるとか言って抗議しに行った気がする。
もちろんお金が返ってくることはなかった。
何言ってるの?この人、みたいな態度の女の子の姿を覚えている。

冷静になってから、
数千円数万円ぼったくられたわけではないからいいやんと自分に言い聞かせた。勉強代。
ただ、
ぼったくられたという事実が、ダメージだった。何だかモヤモヤした。
20年前の事なのに、思い出して今またモヤッとしている。


シュエダゴンパゴダ

バガンからヤンゴンへ戻る。
最初に待ち合わせ場所にしていた、シュエダゴンパゴダへ行った。日本のお寺とは違って、金色でピカピカのお寺。信心深い人が多いのか、観光客より現地の人の方がたくさんいた。


パゴダの中
いくつもあるお堂の中
なぜか寝ている人がいた


数日ぶりにあのマーケットに行くと、あの少女は変わらず絵はがきを売っていて、あの青年もやはりいた。
マッサージがしたいと伝えてたら、ローカルの人の住宅地へ案内された。団地みたいなアパートのような場所の一室。
ローカルのエリアに足を踏み入れてワクワクした。

悲しいことに、私が旅した数年後、ミャンマーでは反政府デモが起こった。
その様子がニュースで映し出された時に、あの旅で歩いたマーケットや住宅地が映像で流れた。
遠い国で起こっている出来事とは捉えられなかった。ショックだった。
出会った少女や青年たちはどうしているだろうと、心配する気持ちでニュースを見ていた。


私が旅した時は、アウンサンスーチー氏は自宅軟禁されていた。
軍事政権だと街中に銃を持った兵士がいるのだろうか。
旅行前はそんなことを想像しながら、
とにかくマイナスイメージが大きくて、安全ではないだろう…という心構え十分だった。
しかし、
行ってみたら、ポケットに財布を入れて歩ける安全な国だった。少々のトラブルはあったけれど、人もおだやかで、何の悪い印象もない素敵な国だった。



帰国後は、どんな国なん?と聞いてくる人みんなに自信を持って、『治安がよくておすすめ!』と伝えられた。
百聞は一見に如かず。まさにそれだった。

ミャンマーは10日ほど旅をした。親友のゼミグループはミャンマーを出国してバンコク到着後、そのまま日本へ帰国した。

私は、バンコクに1人残った。
このあと、もう一つの現地集合が待っていた。

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