【ゴリラ年】自分だけの十二支を選ぼう

2019年も2月に入ってしまった。
去年末からずっと学業の方で手いっぱいだったので、まだ新年の抱負すら考えていなかったのである。

そもそも今年は、干支で言うと何年だっただろうか。

「亥」(イノシシ)か・・・・・・。

私はイノシシにあまり馴染みがない。動物園でも見たことがないし、イメージは「もののけ姫」に出てきたあの大きな大きなイノシシ(オッコトヌシ)にほぼ集約されている。思えばあのイノシシたちは人間と争うことばかり考えていて、あまりいい印象がなかった。力任せで「賢」の風格が弱い気がする。

私は今年から社会人になるのだが、目指す新人像はイノシシではないと思った。もっとこう、基本は物静かだが、よく考え、やさしく、しかしいざというときの爆発力には目を見張るものがある、動物に例えるならば・・・・・・

「ゴリラ」が私の、今年の理想像だ。
ゴリラは粗暴で愚鈍なイメージがあるが、実際には人間の3~5歳児程度の知能を持ち、テレビを鑑賞する個体や手話で人間とコミュニケーションをとる個体も報告されている。その性格は見た目とウラハラに臆病で、ストレスから胃炎になりがちだそうだ。私も胃痛持ちだから共感できる。
一方肉体に秘めたパワーは凄まじく、握力が600kgあることは有名である。しかし暴力的ではなく、あの胸をボコボコ叩く有名な動作(ドラミング)は相手を傷つけずして勝負するための威嚇であるらしい。動物園でゴリラの飼育エリアに入ってしまった人間の子どもをゴリラが介抱したエピソードもある。あの隆々とした筋肉は、体内のバクテリアによって肉を摂取しなくても植物からタンパク質を得られるおかげであり、ほとんど草食だそうだ。

「ゴリラは申(サル)の枠でいいのでは?」なるほど。確かに申はすでに十二支の中で「賢」を象徴している。しかしやはりゴリラのマッスルは、申の枠でくくるには惜しい。それに、賢い動物はサルだけではないのではなかろうか。例えば・・・・・・

「カラス」は相当に賢い。高度なコミュニティを形成し、カラス語とも言うべき言語を操り会話する。ゴミをあさる害鳥のイメージが強いが、それは逆に言えば人間と覇権を争うほどの勢力であるということかもしれない。オランダではカラスにタバコの吸い殻とエサを交換することを覚えさせ、町の清掃を行わせる計画もあるそうだ。
あと、以前まちなかで居眠りをしているカラスを見かけたのだが、可愛かった。カラスがこっくりこっくりする様はとても良い。ぜひともサルに代わって十二支に入ってほしい動物だ。

それでは酉(トリ)の枠が・・・・・・と堂々巡りになるが、ならばいっそのこと、すべてオリジナルの十二支に刷新すればよいのではないだろうか。
十二支は古来に神様が選んだそうだが、宗教感の薄い現代日本では私の神は私である。しからば私が自分の好きな十二支を選ぶのも道理と言える。

では「ゴリラ」「カラス」に加え、新たな自分だけの十二支を発表していこう。ちなみに「ゴリラ」が2019年「イノシシ」の枠に当たるため、次に2020年「ネズミ」の枠から紹介する。


2020年「ネコ年」

これは私に限らず多くの人が納得するだろう。イヌがいるのにネコがいないというのは現代の考え方と噛み合っていない。これまではトラ年にネコをねじ込んできた愛猫家も、ネコ年を作ってしまえば円満である。
ネコといえば「マイペース」。ネコ年はのびやかに自分らしくある年になるだろう。私は社会人2年目、しなやかに自分らしさを獲得していく年になってほしい。


2021年「キリン年」

ウシに代わってキリンが台頭した。ウシとキリンはどちらも反芻亜目に分類されるのであながち遠縁でもない。
私はキリンが好きだ。背が高くてカッコイイうえにまつ毛と舌が長くて色っぽい。黄とオレンジを基調とした模様もスタイリッシュでよく映える。
キリン年は「見通しが立つ」一年になるだろう。私が会社員をやっていれば3年目、そろそろキャリアプランが固まっていくはずだ。キリンのように高いところを積極的に狙っていきたい。


2022年「コウモリ年」

本来のトラ年とは全く関係ないコウモリが選ばれた。暗所に住み動物の生き血を啜るとか、童話から裏切者のイメージがあるとか、なかなか不遇な動物だが、ほとんどすべて誤解である。血を吸うコウモリは現時点で2~3種だし、明るみに住むコウモリもいる。滑空する哺乳類はいるが、自力で長距離飛行する哺乳類はコウモリのみだ。
また、イソップ童話で鳥の軍勢と獣の軍勢の間を移り変わった結果、双方から見放されてしまったと言われているが、たとえば現代、社員にとって悪質な会社企業が多い中で、初心だけで同じ場所に留まることがいかに無意味かということは、多くの人が感じていることだろう。社会に出て4年目になれば、もしかして退職、転職しているかもしれない。それが逃避でも排斥でも「人生の飛翔」には違いないだろう。あと、コウモリの顔はネズミっぽくて意外とかわいい。


2023年「カンガルー年」

カンガルーが好きだ。神戸の動物園でカンガルー(もしかしたらワラビーかワラルーだったかも)に触ったのだが、イヌみたいな毛並みでかわいかった。
また、カンガルーはその筋肉が立派であることもひそかに知られている。ゴリラに続き、私は筋肉に惹かれているようだ(細身だから・・・・・・)。尻尾を軸にして大きく飛び上がるカンガルードロップキックは「技!」という感じがあってかっこいい。
カンガルー年は「跳躍」。コウモリ年と被っているように思えるが、あちらは場所を大きく移るのに対し、跳躍はややどっしりとそれでいてかろやかなホッピング、つまり安定感を伴う。5年後の私はそろそろ人間としての安定感があってほしい。幸か不幸か、カンガルーの「おじさんっぽさ」が出ているかもしれない。

次はタツ(辰、竜)年の枠になるわけだが、存在しない生物から選ぶのは難しい。ペガサスとかユニコーンは結局ウマだし、UMA(未確認生命体)は好きなのだが、十二支には選びづらいような・・・・・・。原典の竜からして、つまりは人知に負えない強大な何かであれば良いわけだ。


2024年「インターネット年」

生物じゃない?しかしインターネットとはすなわち我々自身の断片であり、しかもその断片はもはや我々の手にあまり、よくわからない強大な意思になっていると、私は思うのだ(SNSの見すぎかもしれない)。
また、この頃にはもうAI(人工知能)は社会に浸透しているかもしれない。それに、クローンは生命?人工細胞は生命?Vチューバーはまだいる?キャラクターは人権を持つ?現代に嵐を巻き起こす新たな存在たちは、次世代の竜である。インターネット年、広義で技術全般を含めれば、象徴するのは「倫理」だろうか。
余談だが、インターネット年はある意味ワイルドカードであるため、年賀状に何をかいても良い。


2025年「カメ年」

内定先の会社の面接を受けていたとき「カメのようにゆっくりでも一歩ずつあきらめずにがんばります」と言って受かった。カメは好きだ。昔飼っていたカメを庭で遊ばせていたら、そのことを忘れた私は土遊びに夢中になり、気付いたらカメはどこかに行ってしまった。あのカメはまだ生きているだろうか。
2025年、私は31歳。もう本当に大人だ(ずっと大人ではあるべきなのだが、成熟したという意味で)。部下がいたり独立していたり、家庭を持っているかもしれない。あるいはニートかも。そんなとき、私は誰かを守れる「強さ」を持っているだろうか。いや、持とう。ゆっくりでいいから。


2026年「菌」

動物ではない生物である。実は私は、別に菌が好きだとか考えたことはない。
しかし、私の意思に関わらず菌は生きている。真菌、細菌、あるいはもっと広く、肉眼に見えない存在が確かにあり、そしてそれは知らず知らず私に必ず結びついている。きっとこの世の何一つムダな存在はないのではなかろうか。そんな大層なことを考えなくても、菌年にはちょっとだけ、普段意識しないものに目を向けたい。菌年は「感謝」の年だ。あと、乳酸菌とか納豆菌とかをPRしたり、「菌」と「金」で縁起が良かったりと、意外と便利な年だ。植物もこの年に推していい。

2027年には、冒頭の「カラス」を充てる。本来はヒツジ年なのだが、ヒツジ年が象徴する「勤勉」「実直」「団結」と絡めている。ヒツジ年に比べてカラス年は「利口」にその抱負が集約される。勤勉、実直、団結に利があるならばそれでよし、そぐわないならば棄却する、それが利口である。


2028年「カマキリ年」

カマキリが好きだ。カッコイイのはもちろんだが、頭がいい。枯れ木や花に擬態し、獲物を狙う「攻め」の頭脳である。飼育していると飼い主の顔を覚えるらしい。私が昔飼っていたときはあまり感じなかったが。
「頭脳ならばサルよりもカラス」と述べたが、霊長類と代替するならばあえて遠縁の無脊椎動物から引っ張ってきたかったのだ。ムシ代表である。


2029年「シーラカンス年」

一昨年、昨年と「利回り良く、頭良く」が続いたので、この頃35歳の私は少し疲れていると思う。環境の変化、自己の変化、なにもかも変わっていく中で「変わらないこと」の価値を知るだろう。
シーラカンスは食べたことがないが、好きな歌に出てくるので好きだ。進化し続けなければ生き残れないという「赤の女王理論」を打ち破るそのアイデンティティは、きっと10年後の私の大きな力になってくれる。
ちなみにゴキブリとかカブトガニも大昔から変わっていないが、普通に嫌だ。


2030年「カエル年」

カエルはそもそも原典にいないのが不思議だ。「帰る」とか「買える」とかいろいろと縁起がいいのに。
水陸両用、跳躍など特徴は多くあるが「子だくさん」に着目したい。私は昔オタマジャクシをたくさん捕まえるのが好きだった。36歳の私に、子どもはいるだろうか。人の親になれる器だろうか。私が誰かの帰る場所であるだろうか。
カエルは気候変動による水辺の減少、カエルを脅かすツボカビの発生により、長らく数を減らし続けている。願わくば2030年、私もカエルも在り続けていたいものだ。

そして十二支は一周し、またゴリラ年になるか、あるいはまた新たな十二支が選ばれているかもしれない。12年後に向けて、今年はゴリラのように強く優しくなろう。筋肉をつけて英語を勉強したい。


タヌキが好きなので(かわいいから)入れようと思っていたのだが、あっさり忘れていた。私の十二支ではタヌキがネコ枠である。


みなさんも、好きな生物を選んで自分だけの十二支を考えてみてはいかがだろうか。

(大口敲工)

まんがを読んでくださいね。