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【水島予言#05】1983年の高校野球と、1973年水島マンガにおける飲んべ監督

 日本一の野球専門古書店「ビブリオ」の店主・小野祥之さんによれば、書店の野球コーナーを占拠する「高校野球の監督本」の先駆け的存在は、1983年春に出た『攻めダルマの教育論 蔦流・若者の鍛え方』(ゴマブックス)だという。著者は徳島・池田高校を全国的強豪校に育てあげた名将、蔦文也監督だ。


 74年のセンバツ大会では部員11人の「さわやかイレブン」で準優勝。80年代に入ると筋力トレーニングをいち早く導入し、金属バットの特性を最大限に活かした強打のチームをつくりあげて高校球界に革命を起した。82年夏の甲子園では畠山準や水野雄仁を擁して初優勝。翌83春のセンバツも制して「夏春連覇」も達成。池田が勝利を重ねれば重ねるほど、蔦監督の名もまた知名度をあげ、「攻めダルマ」の異名と「酒豪監督」というキャラクターも知られるようになっていった。
 そんな池田絶頂期に世に出たのが『攻めダルマの教育論』。小野さんが上梓した『高校野球100年を読む』にこの本のことが詳しく紹介されているが、本来は気が小さい性格であること。その気の小ささを隠すために酒に頼っていたこと。実際は人情味溢れる、人間くさい破天荒な人生を送ったことが魅力であり、それが本に表れている、と評している。
 蔦監督といえば、82年夏の甲子園決勝戦当日の朝、ミーティングで選手たちに「私を日本一の監督にしてください!」と頭を下げたシーンが有名だが、自身の欲を隠さない姿もまた人間くさい魅力のひとつだった。


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80年代のプロ野球と高校野球で起きた出来事を、水島野球マンガは事前にどう予言していたのか? 有料設定にしていますが無料で読めるものも多いで…

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