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【ペット・トゥ・サヴァイブ・イン・ザ・ワイルド】(Pet to survive in the wild)

※注:これはニンジャスレイヤーの二次創作小説です。オリジナルキャラが登場し、既存キャラや設定にも個人的な解釈または改変がなされている可能性があります。苦手な方はオモチを口にくわえ、センベイを額に当てるがよい。
追記:裏話やボツネタに関するリンクを追加しました。

ピチョン、ピチョン。天井のパイプから水が滴り落ち、バイオネズミが数匹物陰から物陰へと走り去る。ここはネオサイタマの地下に張り巡らされた地下水道。無秩序化した都市計画により半ば迷宮と化した危険なネオサイタマにおいて、なお危険とされるエリアである。

だがこの地下水道を根城にするものたちもいる。地下道の一区画、ややひらけた場所にて焚き火を囲む集団、『サヴァイヴァー・ドージョー』もそのひとつだ。

「クソッ。」爬虫類めいた姿、赤い三つ目の異形ニンジャ、ハイドラは悪態をつく。「まーだ気にしてやがんのか。」ハイドラの右手に座る渦巻き模様のニンジャ装束をしたニンジャがめんどくさそうに答えた。彼の名はディスカバリー。ドージョーのメンバーのひとりだ。

「だってよぉ、あそこで引き上げなきゃもっとインゴットが手に入ったかもしれねぇのによぉ。」「黙れハイドラ。」ハイドラの悪態をたしなめるものあり。迷彩柄ニンジャ装束、編笠を修繕しかぶり心地を確める。サヴァイヴァー・ドージョーの大将、フォレスト・サワタリ。

「あれ以上の深追いは部隊を危機に陥らせる可能性が高かった。物資の少なさに不満がつのるのは分かるが隊に犠牲者がでては本末転倒だ。」直した編笠を脇に置き、焚き火からバイオワニのバーベキュー串を掴み、咀嚼する。

「深追い、危険。物資、妥協。」ハイドラの左手に座る毛むくじゃらのニンジャ、ファーリーマンが相槌をうった。「そうそう!命あってのなんとかとも言うだろ。人間引き際が大切よ!ま、俺人間じゃないけどな!」ファーリーマンの毛皮から飛び出すように現れたニンジャ、アライグマが陽気に答えた。

アライグマはドージョーがキョートからネオサイタマに帰還する際に見いだされたバイオニンジャだ。彼は他のバイオアライグマたちとネオサイタマ郊外の森林地帯にて静かに暮らしていたが、そこをハンターの襲撃にさらされた。

偶然その場に立ち会わせたドージョーの面々により、アライグマは一命をとりとめたが大勢の仲間が失われ、生き残りも散り散りになってしまった。行き場を失ったアライグマはドージョーの仲間入りをし、助けられた恩を返そうとしている。

「それはそうだけどよぉー……、インゴットが不足しつつあるのも事実だろ。新入りも増えたし……。」ハイドラがぼそりと呟く。実際彼の指摘ももっともであり、サワタリらは押し黙る。先の物資略奪は失敗……とまではいかないが、成功と呼べるものでもなかった。

ふと、サワタリたちは顔をあげる。地下道の闇から現れる集団あり。だが彼らに警戒のアトモスフィアはない。何故ならば現れたものたちもまたドージョーの者たちであったからだ。

先頭を歩むのは参謀フロッグマン、後ろに人の上半身鹿の下半身の奇妙な存在、セントール、隣にはドージョーの新入りカマイタチだ。「大将、帰ったぞ。」「ご苦労。どうだった?」「特に追撃の気配はねぇな。」「そうか。」

フロッグマンはサワタリの隣に座り、焚き火からバイオインゴット入りのバーベキューをとり、咀嚼する。フロッグマンらは周囲の哨戒を行い、無事帰還したところであった。

彼らはインゴットなどの物資を補給するため、ヨロシサンの施設を襲撃した。……だが思いの外守りが固く、たいした収穫もなく撤退させられたかたちである。もし、あれ以上攻撃を続けていれば犠牲者、少なくとも負傷者はでたであろう。哨戒部隊を編成しヨロシサンの追撃を警戒したが杞憂に終わった。

「大将、今回の件だが……」フロッグマンは地図を広げながら話す。地図にはいくつか建物のマークがあり、横に○、△、×の印がある。先程の襲撃した施設には△が付けられていた。「やはりデコイか。」「十中八九そうだろうな。」

サワタリとフロッグマンはディスカバリーを一瞥する。ディスカバリーはヨロシDNAを探知する技能をもつ。彼がドージョーにいることは既にヨロシサンに知れ渡っていることだろう。それを逆手に取られたのは間違いあるまい。

ファーリーマンはバーベキュー串を2本とり、ひとつをアライグマに渡し、もうひとつを咀嚼する。ディスカバリーはカマイタチとセントールにそれぞれ渡していた。インゴッドの貯蔵はまだある。だが余裕でいられるほどでもない。

サワタリは地図を見る。○の数は少ない。キョートから帰還するとネオサイタマは《変わり》はじめた。ソウカイヤに変わり新たに支配権を広げつつあるアマクダリ、生き残るためには変化に適応する必要がある。課題は多く残されているようだ。彼はマップを睨むように眺め、顎をさすりながら次の襲撃地を吟味した。

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「アカチャン、オッキク……」「エーヤスーイ!安すぎてわが社は倒産寸前!でも赤字覚悟の奉仕価格!ヤスイデパート!」けたたましい広告音声が鳴り響く夜のネオサイタマ市街。上空を飛ぶマグロツェッペリンは新作映画『バーフバリ2 リメイク』の予告映像を流している。「みないやつはこしぬけ」というキャッチコピーがちからづよく流れる。

「マスカット」のネオンカンバンの下で談笑する若い女性二人の横を小さな物体が通りすぎた。「アイエッ?」それは路上のゴミ箱に飛び上がり、中を荒らしはじめた。バイオアライグマである。

ナムサン……、バイオアライグマはネオサイタマでは害獣に指定された動物である。ヨロシサンは通常のアライグマより小型でおとなしい愛玩動物としてバイオアライグマの研究を始めたが、大規模な脱走事件が起こったのである。

ネオサイタマに解き放たれたバイオアライグマはたちまち野生化し、他の動物を襲ったり街を荒らした。彼らはすぐさま害獣指定され、ヨロシサンによる捕獲作戦がはじまった。

現在ではこのような市街地で見かけるのは非常に稀だが、郊外ではそれなりに見る程度には残っている。当然バイオアライグマとヨロシサンの関連性は秘匿され、一般市民がそれを知ることはない。それを知り得たジャーナリストは口に豚足をくわえた死体として発見されている。

そもそもこの事件は人々の関心を拾うことはなく、すぐに忘れ去られていった。市民が求めるのは主にタマ・リバーから顔を出すラッコの映像などだ。

ブロロロロ。不意に接近してくる車両あり。車体の横にはヨロシサンの社章がついている。車は停車し中から防箘服を着、防箘マスクを着けた3人の男たちが現れた。3人の体格、顔立ちは非常に似ていた。三つ子であろうか?

「ギッ!?」男たちに気づいたか、バイオアライグマは振り向き素早くその場から逃げ去ろうとした。だが、「ザッケンナコラー指定害獣!」「グエッ!」男の一人が麻酔銃を命中させた。男の一人が捕獲網を持って近づき、もはや動けぬバイオアライグマをいともたやすく捕らえた。

「ドーモ!ご迷惑おかけしております!」男の一人が女性二人にオジギした。「いえ、ごくろうさまです。」「でもちょっとかわいそう……」女性が痙攣しているバイオアライグマを見て呟く。「ご心配はありませんよ。」

車から新たに白衣の男が二人降りてくる。先の三つ子とは似ていない。「使用した麻酔銃はほとんど外傷を与えません。」「彼らはヨロシサンで検査、場合によっては治療を受けて人里離れた野生に返されるのです。」「それなら安心ね。」

ナムアミダブツ!都市で生まれたバイオ生物がむやみに解き放たれれば生態系を破壊する恐れがあるというのに!だがこの女性も、ネオサイタマの誰しもがこの件について真剣に考えるものはいないのだ。これも古事記に記されしマッポーカリプスの一側面か。

男たちは捕獲したバイオアライグマを車両にのせ、走り去る。車内には白衣の研究員二人が運転席と助手席にそれぞれ座り後ろには先程の三つ子が無言で座る。さらに後方、あからさまにただものではないアトモスフィアをただよわせる男が座っている。

「まだ市街地でもみつかるんですね。」「まったく迷惑な動物をつくるやつもいたもんだ。」「前にタコの研究してたやつもいたな。」「うちは酔狂なやつが多いからな。」「違いない。」「「ハハハハハハハ!」」「オイ。」

「「アイエッ!」」研究員二人は突然放たれた怒気に畏怖し、失禁した。「お前たちのケツフキに俺が付き合ってやってることを忘れるなよ。」「「アッハイ、よくわかっております!大変お世話になっております!」」

研究員たちから明るいアトモスフィアは消え失せ意気消沈している。怒気を放った男……アニマルハンターは軽く舌打ちを打つも彼らを『わからせてやる』ことはしない。別に今の状況に不満はないからだ。かといってナメられるわけにもいかない。

アニマルハンターはヨロシサンと長期間契約を結んだフリーランスニンジャである。彼はカリウド・ニンジャクランのソウル憑依者であり、目標を補足する能力に優れている。高速移動する車内においても、半径5km以内にいる【動くもの】の数、正体を把握できる。

市街地、郊外でバイオアライグマなどの指定害獣を発見捕獲し、ネオサイタマから遠き離れた地に放す。あるいは殺処分する……。都市クリーン計画として新たに発案されつつある業務のひとつだ。ヨロシサンはバイオアライグマ捕獲を『無償』で執り行っている。それが市民の関心をあつめ、株価は実際上昇した。さすがに愛玩動物ゆえ、キルゾーン・スモトリのような遊技場は作れなかったが。

たかが元愛玩動物の捕獲になぜニンジャが必要か?読者諸氏の疑問ももっともであろう。答はバイオアライグマ脱走事件にある。

バイオアライグマ脱走の最大の原因として、実験体のうちの1匹にニンジャソウルが憑依したのだ。愛玩動物研究の名目だったため、ニンジャはおろかヤクザ警備すらまともにおらず後手後手に回った対応の結果、大量のバイオアライグマが研究所から逃げ出した。

また、捕獲車両をヨタモノが襲撃することもあった。大抵はヤクザで事足りるが稀に打ち負けることもある。対抗メガコーポの襲撃にさらされることもあった。そのため、ニンジャのヨージンボをつける必要がでてきたのである。

アニマルハンターは「動物を狩る」ことに喜びを見いだす。それには人間も含まれているが小動物でも構わなかった。ネオサイタマ郊外の森林地帯バイオアライグマ一斉捕獲作戦……。彼を中心に多くのハンターが参加した大捕物……。あの興奮は今でも思い返せる……。突如現れた集団に邪魔をされなければ、例のソウル憑依体を『狩れた』はずだ。

あの集団の名はなんという名だっただろうか?『ドッソイ、電話デゴワス!』彼が思案しようとすると携帯IRCが鳴った。相手はヨロシサンのカマタ元主任……。バイオアライグマ計画発案者だ。「モシモシ。」アニマルハンターは応答した。

2

「アイエエエ……、ようこそおいでくださいました……。」タタミ100畳ほどの広さの部屋。その中心で男がドゲザしている。男の左手中指にはケジメ跡がある。ここはヨロシ第13研究所、そのセッタイルーム。男の名はカマタ。バイオアライグマ計画を発案し、脱走事件によりケジメを言い渡されたが実質株価は上がったのでセプクはまぬがれた。だが彼の社内での信用は地に墜ちている。

「アニマルハンター=サンの働きによりバイオアライグマの捕獲作業は予定以上にすすんで……」「前置きはいい、とっとと本題に入れ。非ニンジャのクズ。」「アッハイ」部屋の奥、カミザにて鎮座するアニマルハンターは侮蔑的な目を向けながら言い放った。

「アニマルハンター=サンには……その……新たな『害獣たち』を処分していただきたく……その……名を、サヴァイヴァー・ドージョーと言いまして……」「それだっ!」突如アニマルハンターは立ち上がり叫んだ。「アイエッ!スミマセン!」カマタはわけもわからず反射的に謝罪した。

バイオアライグマ大量捕獲作戦……邪魔をした者共は確かにその名を口にしていた……。予想外のインシデント、本来の目的は9割達成したといってもよい出来だったため、奴らとの本格的イクサは避けた。

これは行幸か。不完全燃焼めいた感覚におちいったあの作戦を完全なるものにするための……。「いいだろう。」「アイエッ!スミマセ……今なんと?」カマタは反射的に謝罪しかけ聞き返した。「そのナンチャラドジョウだかなんだがしらんが貴様の依頼を受けてやる。」「あ、ありがとうございます!これで私の社内の信用も取り戻せます!」

「だがさすがにニンジャ複数人はちと骨が折れるぞ。」「ご心配には及びません!既にこの作戦に承諾していただいた方がもう二人います。アニマルハンター=サンも既知のわが社と長期契約を結んでいるあの方たちでございます。」「あいつらか、ならブリーフィングは楽でいい。」

「これが処分対象のニンジャどもです。」カマタは数枚の写真を渡す。つい最近ヨロシ研究所が襲撃された際に撮影されたものだ。アニマルハンターは写真を一枚ずつ眺め、そのうち一枚を見て眉根をしかめたのち、不敵な笑みを浮かべた。

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ピチョン、ピチョン。天井のパイプから水が滴り落ち、バイオネズミが数匹物陰から物陰へと走り去る。ここはネオサイタマの地下に張り巡らされた地下水道。その暗闇の中を歩むものがあった。「あーあ、斥候なんてよ。もっと派手なやつをやりたかったな。」両手を頭の後ろに組み、不満を漏らすはカマイタチ。その両肘には鋭利な刃が着いている。

「ニイイーッ!」カマイタチの不満にもの申すかのようにセントールがわなないた。「オイオイ、斥候だって重要な役目だぜ?俺たちの成果が部隊の生死を左右することもある。」セントールの背に乗ったアライグマがたしなめた。小柄な彼はカラテ戦闘力には1歩劣るが、その身軽さゆえに斥候や破壊工作に向いていた。

「あっそこ右だな。そこから上に上がれる。」アライグマは手元のマップを参照しながら指示をだした。彼らはまだ襲撃していないヨロシ施設……そのうちの警戒が薄いであろう場所を確かめるために、まずは斥候部隊を送った。アライグマが施設を調べ、敵に発見されればセントールの機動力で逃げ去る。場合によってはカマイタチが戦闘を行う。

施設が攻略可能な場合、本隊との無線連絡により本格的襲撃が行われる。事前にディスカバリーがヨロシDNAを感知したときは十分な物質が確認された。ここで物資を収奪できれば部隊はもうしばらく安泰だ。

「ようし、ちょっくら行ってくるぜ。もしものときは頼むぜ?セントール=サン。」「ニイイーッ!」アライグマは走り出すジェスチャーをした。「いってら」カマイタチが手を降りながら言う。「まかせとけ!」そう言い放つとアライグマは駆け出した。

アライグマは梯子を昇り、マンホールをニンジャ筋力で押し上げる。小柄だが彼はニンジャだ。周辺には気配はない。彼自身の『野生の勘』がそう告げる。マンホールから上がると、ヨロシサンの化粧品工場裏手にでた。

表向きは化粧品を製造しているが、ここではバイオハムスターの培養が進められている。ペットとしてだけでなく、暗殺にも使えてアブハチトラズと発案者は熱弁した。だが我々が気にかけるのはそういった些事ではないだろう。アライグマは施設裏口の扉を見事なピッキングで開け中に進入した。

アライグマは施設を見て回る。(警備はそこまで厳重じゃねぇ……。かといって極端に薄くもねぇな。)アライグマは一通りのマッピングと警備状態を地図に書きこむとセントールたちの待つ待機地点に戻った。

「……そんなわけで、ここを襲撃することを進言するぜ大将。これ以上のポイントはそうでてこねぇだろう。早くしねぇと警備が固まっちまう可能性もある。」アライグマは無線でサワタリにそう告げた。サワタリは待機中の他のメンバーに作戦開始を告げた。「斥候部隊のお前たちはそのまま先発隊としてD地点から進軍しろ。」

「了解だ。まかせろ。」「エッ?戦ってもいいのか?」カマイタチの割り込む声が挟まる。「うむ、ベトコンどもを攪乱してやれ。我々はA地点から攻撃を開始する!」「了解した。行くぞ!セントール=サン、カマイタチ=サン!」「ウヒョー!」「ニイイーッ!」3人のバイオニンジャたちは攻撃開始点へと移動を開始した。

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「40時間働きました。」「オタッシャですねぇ。」「スシがきく。」3人の顔、体格の似た男たちが談話している。三つ子であろうか?否、彼らはヨロシサンによって生み出された『クローンヤクザ』だ。彼らは見事な統一感のある動きをみせ、ヨロシサン施設を警備する。

「イヤーッ!」不意に飛び出す影あり!「グワーッ!」ヤクザの一人が顔の上半分を切断され、緑のバイオ血液を撒き散らした。ナムアミダブツ!「アッコラー?」のこりヤクザがその方向を向き、警戒を強める。だが……

「イヤーッ!」不意に飛び出す影あり!「グワーッ!」ヤクザ一人の首が180度回転しながらちぎれとび、緑のバイオ血液を撒き散らした。ナムアミダブツ!「アッコラー?」のこりヤクザがその方向を向き、警戒を強める。だが……

「ニイイーッ!」不意に飛び出す影あり!「グワーッ!」最後のヤクザが心臓をサスマタで突かれ緑のバイオ血液を撒き散らした。ナムアミダブツ!「ドシタンス?」「ドシタンス?「ドシタンス?」周囲のヤクザが集まってくる。好都合だ。

「ようし、いっちょ暴れるかい!」アライグマはファイティングポーズをとる。「やっぱりこういうのがむいてるな俺。」「ニイイーッ!」カマイタチ、セントールも迫り来るヤクザを迎え撃つ体勢だ。

「「「ザッケンナコグワーッ!」」」ナムサン!アライグマが仕掛けたバイオバンブータケヤリトラップが作動し、ヤクザの首がキリタンポめいて貫かれた。「イヤーッ!」カマイタチが跳ね、ヤクザの首を次々切断してゆく。「ニイイーッ」セントールはサスマタでヤクザを突き、あるいは蹴り殺して行く。

「よっしゃ!このまま施設内に突入する!」アライグマが搬入口に向かう!「ウヒョー!」「ニイイーッ!」カマイタチ、セントールもヤクザを殺害しつつ、あとに続く。

施設内に入ると同時に待ち伏せヤクザがチャカガンを発砲!「「「ザッケンナコラー!」」」「「イヤーッ」」アライグマとカマイタチは素早い動きで回避!「ニイイーッ!」セントールもサスマタで全て弾き返す!「「イヤーッ!」」「「「グワーッ!」」」接近したバイオニンジャによりヤクザは一人、また一人倒れてゆく。

アライグマは逃げ回るヨロシ研究員を見る。彼らの身勝手で自分達を生み出し、彼らの身勝手で自分達を排除しようとしている。だがアライグマは彼らを……『人間』をとくに恨んでいない。愛玩動物として造られたゆえにそういった思考を持たぬようにされている可能性も否定できない。しかしアライグマという自我持つバイオニンジャはそれを否定する。

すくなくともサワタリは信頼におけるリーダーだ。バイオアライグマたちを守ってきたリーダーであるアライグマにはそれがわかる。サヴァイヴァー・ドージョーは自分を迎えてくれた新たな家族だ。ヨロシサンに恨みはない。だが家族は守らねばならない。ゆえに彼は戦う!「イヤーッ!」

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「貴方の進言どおり、奴らはこの研究所を攻めたようです。」カマタは驚嘆しながら話す。「これが『狩人の勘』ってやつだ。」アニマルハンターは両腕のブレーサーを調整しながら答えた。ナムサン……アニマルハンターは最近のドージョー襲撃地と襲撃状況から次に攻められるであろう場所を読みとったのである!

さらにアニマルハンターは彼らの襲撃頻度からやや焦りをみせはじめていることすら感じとっている。多少の無理は通してもここを攻める確率は非常に高かったといえた。彼は一流の狩人であり、『狩るもの』の思考を読める。そして『狩るもの』を逆に『狩る』ことに至上の悦びをもつのだ。

「しかし、奴ら……数が少ないような……」「きさまはマヌケか?あれは先発だろう。じきに本隊が来る。」アニマルハンターは目を閉じ集中する。「施設内にこいつら3匹……地下には残りの5匹だな。」アニマルハンターは戦略机にそれぞれ写真を配置する。「そ、そんなことまでわかるので?」カマタは驚嘆する。「『狩人の勘』ってやつだ。」アニマルハンターは不敵に笑った。

3

サワタリら本隊はアライグマらが攻撃開始してから5分後に進軍。先発隊が陽動で生んだ隙を突くように本格的襲撃を始め、施設を攻略してゆく。あとは彼らと先に指定したポイントで合流、物資を収奪し、手早く撤退するだけだ。

彼らは大広間にたどり着く。柱が何本も立ち並び、それぞれの柱には「定時退社」「なるべく残業しない」などのショドーが掛けられている。「あいつらはあの先の部屋だ。とくに戦闘は起こってねぇな。」ディスカバリーが部屋の奥を指しながら言う。彼らは警戒を緩めずに部屋の中央へたどり着く。だがその時!

ガゴン、プシュー!突如部屋が揺れ、轟音が響いた。「マズイ!」サワタリは何かを察知し、部屋の奥へ駆け出す。だが遅かった。扉の上の緑のランプが赤に変わり、電工掲示板に『下降中です。ごあんしんください』のLED文字が流れる。ナムアミダブツ!この部屋自体が巨大なエレベーターだったのである!

「大将!これは!?」フロッグマンが驚愕する。「敵工作兵の罠だ!警戒せよ!」サワタリが叫ぶ。バイオニンジャたちはすぐさま戦闘体勢に入る。サワタリは先発隊に無線で連絡を試みるがノイズが走るだけだ。「クソッ!」サワタリは無線をしまい、マチェーテを構える。

ガゴン!エレベーターが到着した。同時に奥の扉から大量のヤクザ部隊がなだれ込んだ。「「「「ザッケンナコラー!」」」」ヤクザたちはヤクザアサルトライフルを連射!「サイゴン!」サワタリはマチェーテで弾いてゆく!「イヤーッ!」その脇をハイドラが飛び、柱を蹴ってトライアングル・リープを決めヤクザの一人にトビゲリを喰らわした。「グワーッ!」

「イーヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!」ファーリーマンはたくみなボーさばきで弾丸を防いでゆく!「サイゴン!」「アバーッ!」サワタリがヤクザたちへ到達し、ハイドラとともにヤクザを殺戮してゆく。

「大将!後ろからもだ!」ディスカバリーが叫び、フロッグマンとともに後方を振り替える。ナムサン……彼らが入ってきた扉から大量のヤクザがなだれ込んでくる。
クローンヤクザ程度ではニンジャの敵ではない。だが数で圧倒されればその限りではない。特に狭い空間で大量殺戮のジツをもたぬニンジャがいなければ効果は絶大だ。

「イヤーッ」ハイドラがヤクザ二人の頭をかち合わせ殺す。「「グワーッ!」」「ゲコーッ!」フロッグマンが巨大バイオカエルを展開、舌でヤクザを絡めとり別のヤクザへ投げ飛ばす!「「グワーッ!」」少しずつ数を減らしていくヤクザたち。だが、ナムサン……!「「「スッゾコラー!」」」ヤクザのおかわりはとまらない……!。

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「なんだってんだ?何がおこったんだ?」カマイタチは狼狽する。「クソッ!罠だ!」アライグマは無線で本隊と連絡を試みるがノイズが走るだけだ。「セントール=サン!下へ向かうぞ!」アライグマはセントールの背中に乗った。「ニイイーッ!」セントールは駆け出し、カマイタチが慌てて続く。

だが、前方にはスモトリバリケードが展開されていた。ニンジャといえどあれを突破するには時間を要するだろう。アライグマは敵の不気味なまでの用意周到さに戦慄する。もはや自分達がこの施設を攻めるのを予知していたかのような敵の『勘の鋭さ』を。

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「イヤーッ!」ファーリーマンがボーカラテでヤクザを殴りとばす。「グワーッ!」だがヤクザは耐える。このヤクザは普通のヤクザではなく、強化されたサイボーグヤクザであった。近々野球用カスタムも作られる予定だ。「アッコラー!」サイボーグヤクザが反撃する。「イヤーッ」ファーリーマンが回避し、「ホーチミン!」サワタリがサイボーグヤクザの急所をタケヤリで貫き殺害!「アバーッ!」

サイボーグヤクザは通常のヤクザと比べ数は少ない。コストが大きいからだ。だがその厄介さは2倍であり、この状況下では100倍にもなろう!

「やつら俺たちを疲弊させるつもりか?」フロッグマンがディスカバリーに問う。「さあな、今わかるのは大ピンチってことだ。」ディスカバリーが答える。「敵、用意周到。敵の術中、最初から。」ファーリーマンがボーを構えながら話す。このままではジリー・プアー(訳注:徐々に不利)だ。だがその時!

ガゴン、プシュー!突如部屋が揺れ、轟音が響いた。扉の上の緑のランプが赤に変わり、電工掲示板に『上昇中です。ごあんしんください』のLED文字が流れる。「クソッ!まだなんかあるのかよ!」ハイドラが叫ぶ。

ガゴン!エレベーターが到着した。同時に奥の扉から大量のヤクザ部隊……ではなかった!「「イヤーッ!」」「ニイイーッ!」現れたのは3人の先発隊!物理的にありえぬ時間の到達!

いったい何が!?彼らは時を止めたとでもいうのか?否、彼らはスモトリバリケード突破をあきらめ、代わりにエレベーター制御室へ向かった。ヤクザオペレーターを殺害し、これを掌握。本隊を自分達のところへ向かわせたのである。

アライグマはセントールの背に乗りその角にはスリングショットが装着されている。アライグマはスリングショットで小型の玉を打ち出す「イヤーッ!」KABM!玉が炸裂すると煙幕が展開!「「「アッコラー?」」」」ヤクザたちは狼狽、フレンドリーファイアを恐れてウカツに射撃ができぬ。

「イヤーッ!」「グワーッ!」アライグマは投石を打ち出し、ヤクザのみに命中させていく。「ニイイーッ!」「グワーッ!」セントールが煙幕のなかへ走ってゆき、サスマタでヤクザを刺し、あるいは蹴り飛ばす。「イヤーッ!」カマイタチがサイボーグヤクザへ向かいサワタリを援護する。

煙幕を抜けたセントールはUターンし、アライグマは再び投石を打ち出す。「グワーッ!」正確にヤクザへ命中!「よし!部隊は合流を果たした!我々は敵陣本隊へと攻略を仕掛ける!」サワタリはサイボーグヤクザの首をマチェーテで撥ね飛ばしながら叫ぶ。

もはやヤクザのおかわりも止まっている。時間をかければ再びヤクザが押し寄せるだろう。彼らは奥の部屋へ向かおうとした。だがその時!

「イヤーッ!」突如弓矢が放たれた。「ニイイーッ!」矢はセントールに突き刺さり、転倒した。「グワーッ!」アライグマはバランスを崩し振り落とされた。「セントール!アライグマ!」ディスカバリーが叫ぶ。だが新たな敵……ニンジャを警戒しなければならない。

そのニンジャは天井付近の柱の梁から彼らを見下ろし、アイサツした。「ドーモ、害獣の皆さん、アニマルハンターです。」「ドーモ、我々はサヴァイヴァー・ドージョーである!」サワタリが代表アイサツを返した。「ついにニンジャのおでましか。我らの疲弊を待ってから現れたか、臆病者め。」

「ほざくがいい。」アニマルハンターは挑発にのらない。「俺は貴様らの疲弊を待っていたのではない。フーリンカザンの完成が終わったので姿を現したのだ。」「なんだと!」ハイドラが激昂し、柱を蹴りわたりアニマルハンターへ向かって行く。「いかん!ハイドラ!」サワタリが制止するが遅い。

バシュン!突如ハープーンが射出!「アバーッ!」ハイドラは体を貫かれ、吹き飛ばされた。「ククク……このフロアは既に俺のトラップで満たされている。」「ヌゥーッ!」サワタリは唸る。先のヤクザたちはこのトラップを作り終えるまでの前座。なにより戦闘中であったことを差し引いても誰にも気づかれずにトラップを仕掛ける奴のニンジャ野伏力!

「ちくしょう、大丈夫かセントール=サン!」アライグマはセントールへと駆け寄る。「ニイイーッ……」傷は浅いが、矢には何らかの麻痺毒が塗られているはず!アライグマは解毒薬を取りだし応急措置を行う。「でかい口を叩きやがって!」肉体を再生させ、ハイドラが復帰!「いくらなんでも多勢に無勢じゃねぇか?」

「残念だが私一人ではない。」アニマルハンターがそう言い放った直後!右手のドアから新たなニンジャがエントリー!バカな!エレベーターを再作動させることすら想定の範囲内だったとでも!?「ドーモ、ターンオーバーです。」紺色のニンジャ装束を着、そのズボンはなぜか前後が逆になっている。

(あいつなんでズボンが逆なんだ……?)ディスカバリーは戦慄する。ターンオーバーは不敵な笑みを浮かべる。「イヤーッ!」ファーリーマンが先制攻撃を仕掛ける!だがトラップが発動し、無数の矢が放たれた!「イヤーッ!」ファーリーマンはなんなく回避するも……「グワーッ!」

ナムサン!何が起こったのか!?ファーリーマンの右足が裂かれている!「イヤーッ!」アニマルハンターが追い撃ちのトビゲリ降下!「グワーッ!」ファーリーマンは弾き飛ばされるが……「ゲコーッ!」巨大カエルがその舌でファーリーマンを受け止める。

「ククク……」ターンオーバーは不敵な笑みを浮かべるばかり。(クソッ何が起きてやがる!だいたいあいつなんでズボンが逆なんだ……?)ハイドラは視界の端にコケシが写っているのを見る。だが今気になるのはズボンが逆なことだけだ。

聡明な読者諸氏ならばお気づきであろう。ターンオーバーはダマシ・ニンジャ・クランのソウル憑依者であり、ゲン・ジツの使い手であることを!だがズボンが逆なのがジツの力場ではない。彼は衣服を逆に着ることで敵の注意をそらし、ジツの助けとするのだ!

「さらにバッドニュースだ。追加オーダーがある。」アニマルハンターがそう言い放った直後!左手のドアから新たなニンジャがエントリー!「ドーモ、テトラポッドです。」大柄なニンジャがアイサツし、両拳を打ち合わせた。

「イヤーッ!」カマイタチが先制攻撃を仕掛ける!「ドッソイ!」テトラポッドはガードの姿勢!カマイタチのブレードがテトラポッドの左腕を……切り裂かれない!テトラポッドの左腕は石のように硬化している!「ドッソイ!」テトラポッドはカマイタチに右拳を叩き込む。「グワーッ!」カマイタチは吹き飛び、「納期を守る」のショドーが掛けられた柱に激突した。「グワーッ!」

「総員!陣形を整えよ!」サワタリが叫ぶとバイオニンジャたちは体勢を復帰させ、互いを守るような陣形をとる。ウカツには動けぬ、罠の作動を引き起こすからだ。「まずはコマンダーを仕留める!」サワタリは弓矢を取りだしアニマルハンターに矢を放つ。「イヤーッ!」

「イヤーッ!」だがしかし、アニマルハンターも弓矢を取りだし矢を放つ。サワタリの矢は全て撃ち落とされた。そして……「グワーッ!」サワタリの脇腹が裂かれる!イマジナリスリケン!

アライグマはセントールの処置を済ませる。「ニイイーッ……」動けるようにはなったが、本来の機動力は発揮できぬだろう。両者は陣形に加わる。アニマルハンターはアライグマを見やる。「現れたな『イレギュラー』。」

アライグマは目を見開く!忘れるはずもなし!あの日、仲間たちを襲ったハンターたち!それを率いる一人のニンジャ!その姿!その声を!アライグマのニューロンに怒りの炎が燃える!

「お前を仕留めることであの日の狩りは完全なものとなる……イヤーッ!」「ドッソイ!」アニマルハンターとテトラポッドが迫り来る!ターンオーバーは不敵な笑みを浮かべるばかり!

「サイゴン!」サワタリがアニマルハンターを迎え撃ち、「イヤーッ!」ハイドラがテトラポッドを迎え撃つ!アニマルハンターは左腕のブレーサーを展開し、内側に隠されたキーをタイプ!刹那、天井から投網が放たれる。「グワーッ!」ハイドラは投網に捕らわれ身動きが封じられる。

「ドッソイ!」テトラポッドはペトラファイ・ジツで石化させた右拳をハイドラに打ち込む!「グワーッ!」ハイドラは吹き飛び、「遅刻はケジメ」のショドーが掛けられた柱に激突した。「グワーッ!」「ジェロニモ!」サワタリがアニマルハンターにマチェーテを降り下ろし、ファーリーマンがボーを突きにいく!「イヤーッ!」

「イヤーッ!」だがアニマルハンターはサワタリの攻撃をいなすと、右腕のブレーサーから仕込みボウガンを展開、ファーリーマンに撃ち込む!「イヤーッ!」ファーリーマンはボーで弾くが支援攻撃の機を失う!アニマルハンターはサワタリにサイドキックを叩き込む。「イヤーッ!」「グワーッ!」

サワタリは弾かれ、アニマルハンターは即座に左腕のブレーサーのNo.12のキーをタイプ!刹那、天井から木杭が振り子のように飛び来る!「ゲコーッ!」すんでのところでカエルの舌がサワタリをキャッチ!

「ドッソイ!」だがテトラポッドの石化ショルダータックルがフロッグマンを襲う!「「グワーッ!」」フロッグマンとサワタリは吹き飛ぶ。さらに……「グワーッ!」イマジナリスリケンがサワタリを追撃した。

「クソッ……これじゃジリー・プアー(訳注:徐々に不利)だ。」アライグマは思考をめぐらせる。まずはトラップをなんとかしなくては!「長老!」アライグマはファーリーマンに
近づき耳打ちする。「了解した。状況、改善する。」アライグマはファーリーマンのボーに乗り、「イィィィィ……ヤァーッ!」アライグマを射出!飛びくるヤリを回避し、天井の梁に到達!アライグマは駆ける!家族を守るために!

4

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「ドッソイ!」「サイゴン!」バイオニンジャたちとアニマルハンターらは激しくカラテをぶつけ合うが、サワタリたちはなんの決定打も打てぬままトラップやターンオーバーのイマジナリスリケンでダメージを蓄積してゆく。

「イヤーッ!」アニマルハンターが仕込みボウガンでフロッグマンを攻撃!「グワーッ!」ハイドラが割り込みフロッグマンを庇う!「イヤーッ!」フロッグマンがマキモノ・ジツでアニマルハンターを攻撃!「ドッソイ!」テトラポッドが割り込み、ペトラファイ・ジツを行使し無傷!

ターンオーバーは戦闘の中心には近づかず間合いを保つ。(クソッ!あいつなんでズボンが逆なんだ!イラつくぜ……!)肉体を再生させたハイドラはターンオーバーを見て怒りを露にする。視界の端にコケシが写るが気にしない。

ナムアミダブツ!ゲン・ジツの力場の発生源は彼らの意識外へ追いやられてしまっているのだ!そもそも彼らはゲン・ジツの対処法を知らぬ!アニマルハンターはNo.08のキーをタイプ!上空から無数のスリケンが射出!「「グワーッ!」」カマイタチとディスカバリーは回避しきれず被弾!

アライグマは天井を走る。無線からはサワタリの指示。サワタリのニンジャ第六感とアライグマの『野生の勘』により、敵トラップの位置は把握できている。アライグマは天井を飛ぶ。「イヤーッ!」だが天井が近いゆえに高度が足りず届かない。

「イヤーッ!」そこへハイドラが飛び来たり、アライグマをバレーボールめいてトス!アライグマは見事着地!「ドッソイ!」「グワーッ!」下方ではハイドラがテトラポッドの張り手とターンオーバーのイマジナリスリケンを受ける!

「イヤーッ!」即座にカマイタチがテトラポッドにインタラプトを仕掛けるも、ペトラファイ・ジツにより石化させた肉体でこれを防ぐ。ペトラファイ・ジツはムテキに比べれば防御力は落ちるが、身動きできなくなることはない。その重量ゆえに動作は鈍くなるが……攻撃にも用いられる攻防一体のジツ!

「ドッソイ!」「グワーッ!」カマイタチは弾かれる。サワタリがアニマルハンターへ向かう。セントールは己の負傷を強いてサワタリと共にアニマルハンターへ攻撃を仕掛ける!テトラポッドが柱に拳を叩き込み、アライグマを振り落とそうとする。

「「イヤーッ!」」そこへフロッグマンとファーリーマンがインタラプト!アライグマは次の梁へと着地する。「グワーッ!」フロッグマンがテトラポッドの拳を受け、「グワーッ!」ファーリーマンがターンオーバーのイマジナリスリケンを受ける!

「イヤーッ!」アライグマは再びジャンプ!だが!「イヤーッ!」サワタリとセントールをあしらいアニマルハンターが天井へ右人差し指の仕込み銃を発砲!「グワーッ!」アライグマは被弾し、地面に撃ち落とされる!

「よく逃げ回ったようだが貴様は『狩られるもの』にすぎん。」アニマルハンターはアライグマに侮蔑的な眼差しを向ける。「踏み潰してやれテトラポッド=サン!」「ドッソイ!ハッキヨホ!」アニマルハンターはアライグマの近くにいたテトラポッドに指示をだす。テトラポッドはアライグマへ決断的に向かう。アライグマは動けない。絶体絶命かと思われたその時!

バシュン!突如ハープーンが撃ち出されテトラポッドを貫く!「アバーッ!」「バカなーッ!」アニマルハンターは驚愕の目を見開く。
「何故トラップが作動した!?誤作動か!?こんなときに!?」アニマルハンターからは『狩るもの』の目は消え失せている。

「イヤーッ!」カマイタチがテトラポッドに向かってゆく。「アバッ……!」テトラポッドはペトラファイ・ジツを……間に合わぬ!カマイタチはテトラポッドの首が石化されるよりもコンマ2秒早く切断!「アバーッ!」切断面から勢いよく血が噴出!「サヨナラ!」テトラポッドは爆発四散!

「へへ……狂わせてやったぜ……」アライグマは親指を立てる。その瞳は『狩るもの』の目をしている。彼は敵のトラップに細工を仕掛け、なおかつあえて撃ち落とされてみせたのだ。テトラポッドを罠に誘うために!

「バカな……我々の無敵の連携が……テトラポッド=サン……?」ターンオーバーは狼狽える。「オイ。」ハイドラがターンオーバーに近づきながら問う。「テメー、なんでズボンが前後逆なんだよぉ~!気になってしょうがねーぜっ!」

「アイエッ!?」ターンオーバーはさらに狼狽!無理もない、彼のゲン・ジツには自身の衣服について直接言及できぬ暗示がかけられていたのだ。これはつまりジツの乱れが生じたことを意味する!「イヤーッ!」ターンオーバーは間合いを離そうとするが、ズボンを逆に穿いていたため非常に動きにくい!

「イヤーッ!」ハイドラのジャンプパンチがターンオーバーを襲う!「グワーッ!」ターンオーバーは弾かれ、コケシをなぎ倒した。サワタリを攻撃しようとしていたイマジナリスリケンが消失!サワタリはアニマルハンターに攻撃!

「チィーッ!」アニマルハンターは防御!左ブレーサーを操作し、トラップの緊急解除を行う。だが次の瞬間、ミニガンが展開しターンオーバーが辛うじて発動しかけたゲン・ジツの力場であるタケノコを破壊してしまった。「何をしている!アニマルハンター=サン!?」

ターンオーバーはますます狼狽!ハイドラとカマイタチの攻撃をなんとか回避し、間合いを離すために駆け出す。だがトラップが作動しヤリが降りそそぐ!「アイエッ!?」ターンオーバーは回避を試みるが、ズボンを逆に穿いていたため非常に動きにくい!

ターンオーバーの脳天をヤリが直撃!「アバーッ!」ターンオーバーの体はバーベキューめいて串刺しになり爆発四散!「サヨナラ!」「大バカ者!」アニマルハンターは激昂!

「チィーッ……!」アニマルハンターは「念のため」と書かれたキーをタイプした。すると奥のドアからヤクザ出現!緊急時に備え待機していたヤクザたちだ「「「「ザッケンナコラー!」」」」ヤクザはボウリングのピンめいた陣形で向かってくる!

「グワーッ!」だが先頭ヤクザが何かにつまづき転倒!アライグマが仕掛けたトラップ!刹那、ギロチンが振り子めいて降ってくる!「「「アバーッ!」」」」ヤクザたちの首が切断され緑のバイオ血液噴出!「アッコラー?」先頭ヤクザが立ち上がるも、戻り来たギロチンがその首を切断!バイオ血液噴出!「アバーッ!」スペア!

「ジェロニモ!」サワタリがアニマルハンターにマチェーテで攻撃。「イヤーッ!」アニマルハンターは防ぐ。彼はサワタリの瞳を見た。狂人の目を。

アニマルハンターは本来森林や密林での戦闘を得意とする。それはこの敵も同じだろう。だが敵はこのフロアがジャングルに見えているかのようだった。「イ、イヤーッ!」アニマルハンターは冷静さを取り戻そうとする。サワタリがマチェーテを投擲し、アニマルハンターはこれをかわし、反撃に転じようとする。

「イヤーッ!」だが傷の処置を済ませたアライグマがマチェーテをキャッチし、投げ返す!
「イ、イヤーッ!」アニマルハンターはかわす。「サイゴン!」サワタリはマチェーテを掴み再投擲。「イヤーッ!」アニマルハンターはかわす。アライグマはマチェーテをキャッチ!サワタリはもう一方のマチェーテを投擲!

アライグマはマチェーテを投擲!同時にマチェーテをキャッチ!アニマルハンターはかわす。サワタリはマチェーテを投擲!同時にマチェーテをキャッチ!アニマルハンターはかわす。アライグマはマチェーテを投擲!同時にマチェーテをキャッチ!アニマルハンターはかわす。サワタリはマチェーテを投擲!同時にマチェーテをキャッチ!アニマルハンターはかわす。

「バカな…バカな…なんだこれは……」アニマルハンターはサワタリの瞳を見た。狂人の目を。ふとアニマルハンターはここがナムのジャングルであるかのような錯覚を覚えた。他のバイオニンジャもいつでも攻撃できる体勢だ。彼の目は『狩られるもの』の目になった。

「アバーッ!」アニマルハンターの両腕はケジメされた。アニマルハンターは地面に倒れ伏す。「キサマの敗けだ。ジャングルでは強いものが勝つとは限らん。生き残るものが勝つのだ。」サワタリはマチェーテを向けながらいい放つ。

「クソッ……死ねぃ!」アニマルハンターは突如ディスカバリーの方へ向きメンポを展開、仕込み小型ボウガンを射出!その矢にはアンタイニンジャウィルス『タケウチ』!「アバーッ!」

アライグマがディスカバリーの前に飛び込み、その体を矢が貫いた。「アライグマ!」ディスカバリーが叫んだ。「アバッ……!」「ジェロニモーッ!」サワタリは怒りの形相でマチェーテを振り抜いた!「アバーッ!」アニマルハンターの首が切断され宙を舞う!「サヨナラ!」アニマルハンターは爆発四散した!

皆がアライグマのもとへ集まってくる。小柄な体ゆえ、通常のニンジャより長くはもたぬだろう。アンプルを入手する時間はない……「アバッ……クソッ……ここまでか……」アライグマは息も絶え絶えだ。「大将、早くしねぇと増援が……」フロッグマンの指摘はもっともだ。感傷に浸る時間はない。

「クソッ………クソッ……」ハイドラが地団駄をふむ。「ニイイーッ……」セントールがうなだれ、カマイタチも言葉が見つからない。「思えばろくな人生じゃなかったぜ……おれ人間じゃ……ねーけど……」アライグマは冗談めかして言う。

アライグマは想起する。ニンジャソウル憑依……仲間を引き連れ研究所を脱走……。たちまち自分達を捕らえようとする人間たち。人間社会から離れた場所で暮らそうとした。愛玩動物として生まれた彼らにとって野生で生き残るのは非常に過酷であった。彼がニンジャであったため、それが可能であったのだ。そうでなくばあっさり野たれ死んでいただろう。

だが人間たちは棲みかを荒らした。だが彼は人間を恨まない。彼はサヴァイヴァー・ドージョーに拾われ、再び人間社会をみた。そして害獣として処分されてゆく仲間たちを。ヨロシサンで生まれ、ヨロシサンに排除されそうになっているバイオニンジャたちを。だが彼は人間も、ヨロシサンも恨まなかった。

サワタリは静かに敬礼のポーズをとり押し黙る。アライグマはもうなにも喋らない。彼らはしばらくそうしたのち、先へ進んだ。この施設で入手した物資、バイオインゴットがあれば部隊はもうしばらく生き長らえるだろう。これはアライグマの戦勲だ。

ネオサイタマ市街ではバイオアライグマを発見した市民がヨロシサンに通報し、その駆除部隊が出動しようとしていた。ヨロシサンでは新たに愛玩動物として、バイオウサギの研究が進められていた。

エピローグ

南米アマゾン川流域のジャングル、そこに築かれた砦のひとつ。サワタリ・カンパニー代表取締役CEO兼大将兼主任技術者のフォレスト・サワタリ。彼はしかめ面でテレビモニタを眺める。そこへ社員のモニカがコーヒーを持ってくる。

「ドーゾ。」「ドーモ。」サワタリは受け取りコーヒーを飲むと小さな声で「うむ。」と頷いた。モニカはそれを見てクスリと笑う。モニカはテレビモニタを見る。写っていたのはペットの紹介番組。バイオレッサーパンダが二本足で歩き、司会者やゲストが「カワイイ!」「オリコー!」などの声を投げ掛ける。

「意外ね。こういうの視るんだ。……うちにもペットいるしね。」直後、水面からマインドキルが顔を出し、「抗議」のホロ文字を投射した。モニカはクスリと笑う。「……昔を思い出してな。」

「ペット飼ってたことあるの?」「いや。」サワタリの口に笑みが浮かび「家族だ。」と答えた。テレビではバイオレッサーパンダの飼い主が「家族の一員です。」と話していた。K-2とK-3はもう寝ている。つけっぱなしのゲームはモニカが無慈悲にも消してしまった。記録保存がされていなかったので、明日の朝はやかましくなるだろう。

ペット・トゥ・サヴァイブ・イン・ザ・ワイルド 終り

二ンジャ名鑑

◆偽◆
二ンジャ名鑑12.8
【アライグマ】
愛玩動物としてヨロシサンに生み出されたバイオアライグマのうちの1匹がニンジャソウルに憑依され、仲間を連れ脱走。ネオサイタマ郊外森林地区で暮らすが、棲みかを奪われサヴァイヴァー・ドージョーに拾われた。小柄な体を生かし、斥候や工兵としての才能を発揮した。
◆殺◆
◆偽◆
二ンジャ名鑑44×28
【アニマルハンター】
フリーランスの傭兵ニンジャ。主にヨロシサンに雇われている。カリウド・ニンジャクラン憑依者でありニンジャ探知力、ニンジャ野伏力に非常に優れるが白兵戦はそこまで得意ではない。無数のトラップや仕込み武器でフーリンカザンを維持して戦うのが基本スタイルだ。
◆殺◆
◆偽◆
二ンジャ名鑑(^_^)
【ターンオーバー】
フリーランスの傭兵ニンジャ。主にヨロシサンに雇われている。衣類を逆に着用し、ゲン・ジツの力場を相手の意識外へ追いやる姑息な戦法をとる。カラテ戦闘力はさしたるものでなく、ナラク・ニンジャが彼を見れば、まず間違いなく侮蔑の言葉を投げかけるであろう。
◆殺◆
◆偽◆
二ンジャ名鑑ф
【テトラポッド】
フリーランスの傭兵ニンジャ。主にヨロシサンに雇われている。ペトラファイ・ジツで自らの肉体の一部あるいは全部を石化できる。スモトリ崩れの彼だが意外に聡明で物事を冷静に俯瞰できる。もし彼がいの一番に爆発四散していなければイクサの結果は変わっていたやもしれぬ。
◆殺◆

あとがき

 なぜアライグマなのかというと、サバジョの新メンバーとして夢に出てきたからです。フロッグマンとカマイタチもいたので時系列てきに3部初期あるいは開始前くらいで。(エピローグはコトブキと出会う前です)

当初、敵役はアニマルハンターだけだったのですが、突然ニンジャ装束を逆に着るニンジャを思いつき、急遽ターンオーバーを参戦させました。せっかくなのでテトラポッドも追加オーダーしました。

◇最後に読んでくださった方に精一杯の感謝を◇

ボツネタ、裏話について

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