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中本の亀戸店が錦糸町に移転したので行ってみた(蒙古タンメン中本 錦糸町店/錦糸町/ラーメン)

板橋っ子のオレ様にとってのソウルフードである中本は、今や都内を中心にあっちこっちに店を出している。

大昔は仲宿にあった生家からチャリンコで大山を抜けて川越街道に出て、ひたすら北へ北へ爆走して上板橋の住宅街の中の先代の店に行ったものだが、20歳を過ぎたくらいの頃に地元仲間から「中本潰れたぞ!」という衝撃的なニュースが飛び込んで来た。
しかし、しばらくすると当代が先代の店の近くに店を出してくれ、食べてみたら味も近かったので一安心。また先代の時と同様に、禁断症状が出たらチャリンコ飛ばして上板橋へ行くという生活が続いたのである。

そういえば、中本の行列って当代が店を再開した時にすでに始まっていたように記憶しているので、やっぱ彼の営業力が凄かったんだろうなあ。

そんな思い出の中本も、池袋西口のキッチンABCの2階という狂おしい立地(どっちに入るか悩むだろやめろや!)で支店1号店を出し、新宿の小滝橋通りにも出し、気付けば仕事で出た先でも「あ、中本あんじゃん」と気軽に食べられる存在になった。

1杯にありつけた時の有り難みは減ったが、やっぱ利便性には勝てん。

前置きが長くなったのですでに大勢の方がブラウザを閉じた事と思われるが、以前亀戸にあった中本が、つい最近になって錦糸町に移転した。

亀戸店は、北側の東武亀戸線の線路に沿った通りを亀戸水神駅の方に少し歩いた場所にあり、駅前通りなので分かりやすい立地ではあるものの、行きやすいとは言い難い絶妙な遠さだった(行った事のある人間なら同意してくれるはず!)。

そこが錦糸町に移転と聞いて、さぞ駅から行きやすくなったのだろうと思いきや、場所を調べたら駅の北側の錦糸公園やオリナスの近く。
変わってねえ、駅からの微妙な遠さが変わってねえよ……。

ただ、店内は亀戸時代のゴチャっとした感じではなくなっており、だいぶシステマチックな造りになっていた。

どうでもいい話だが、私が移転後に初めて錦糸町店を訪れた際に、入り口近くで女性スタッフが女性客の赤ちゃんを抱いてあやしていた。
どうも子連れで食べに来たお母さんがいたようで、食べ終わるまでスタッフを1人潰すという大サービスをしていたようだ。

以前だったら「赤ん坊連れて中本なんか来てんじゃねえよ」と毒づいたかもしれないが、自分も子を持った今となっては、中本の禁断症状と子供への愛で板挟みになったお母さんの気持ちが分かるので、素直に感動してしまった。

ところで、中本を食べた後の母乳はどんな味がするのだろう。果たしてそんなもんを赤ん坊に飲ませていいのかどうか、そちらの方が気がかりである。

そんな事を考えていると、私の主食である冷やし味噌が到着。
私は基本的に中本では冷やし味噌か北極しか頼まないのだが、食べやすさからいつもいつも冷やし味噌にしてしまう。
味が一番好みなのは北極なのだが、辛いのはどうでもいいとして、熱くてどうしても食べ難く、ついつい食べやすい冷やし味噌をチョイスしてしまう。

で、冷やし味噌を頼む時は必ず麺を固めでオーダーするようにしている。すると冷水で〆られた麺の食感がよりパキっとして、ジャンク度が跳ね上がるのだ。

実は中本は店ごとに少しずつ味が違い、信者(あえてこう呼ぶ)がどの店の味を好むかが変わって来る。まるで二郎のように客ごとに「好きな店ランキング」があるのだ。
錦糸町店(旧亀戸店)の評価がどのようなものかというと、総じて「マイナス面が少なくて悪くない」といったところ……のはず。

他の店は「トウガラシが若いのか刺激だけ強い」「味が薄い」「提供温度がぬるい」など色々と不満点が挙げられる事が多いのだが、旧亀戸店は良くも悪くも際立って良い面も悪い面も少なく、超平均的な味に仕上げて来るのである。

今回の冷やし味噌も、いつも通り「あ~これこれ」という味であり、やはり飲食店は安心・安定が一番だなと思った次第。
亀戸にあった頃より、1駅分家に近付いてくれたので、個人的に大歓迎の移転劇でございました。お陰でまたチャリンコで中本に通える。

[店名] 蒙古タンメン中本 錦糸町店
[住所] 東京都墨田区錦糸3-14-5
[TEL] 03-5637-1230
[営業時間] 11:00~21:00
[定休日] 月曜(祝日の場合営業し火曜日休み)
http://www.moukotanmen-nakamoto.com/


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