[夏休み特別企画] アリの巣できるかな? ~お父ちゃん大失敗の巻~

男の子の夏休みといえば虫である(断言)
男児たるもの、真っ黒に日焼けして熱中症などお構いなしに虫を追いかけてナンボである。

という訳で、夏休みもあと僅かだし、息子にも虫に興味を持ってもらおうと「アリの巣観察キット」を買ってあげた。ゼリー状の巣の素を容器に入れて固めるタイプのヤツだ。

ところがコイツが地味に面倒くさく、材料がABCと3つあり、それぞれレンジでチンしてからよく混ぜてだの、混ぜ終わったら室温で数時間冷ませだの、「今すぐやりたい!」という4歳児には超ハードルが高い。なんせウチのアホ息子は 「待て」 が出来ない犬以下の存在である。

だがこればかりはどうにもならないのであの手この手で1日我慢させる事に成功。

そして翌日。
アリの巣キットを買ったはいいが、アリの生態など何も知らない私は「適当に近所の公園にでも行って土をほじくってアリを拉致ればいいんでしょう?」程度に考え、アリを捕獲する道具など何も持たずに息子を連れて公園へ。たまたま手にウチワを持っていたので、それですくって容器にぶち込めばいいじゃんという舐めたプレイ、いわゆる ”舐めプ” である。

この時はまだこの舐めプが悲劇を巻き起こすとは思いもよらなかった。

なんて引っ張るほどの話ではないのだが、もうとにかくアリが捕まらない捕まらない。
私が全てやってしまっては意味がないので、なるべく息子にやらせようとしたのだが、4歳児がウチワ1個でアリを捕まえられる訳もなく。
……っていうか、ウチワという道具がアリの捕獲に向かない。オレがやっても全然すくえないんだけどなんだこれ。その辺の木の枝の方がよっぽど捕れるぞおい。

それでも 「アリが歩いている土ごとウチワですくって容器にぶち込む」という強引な手法で、なんとかアリの拉致監禁に成功。
息子と2人でさんざん苦労したのに、捕まえられたのはたった7匹。しかも2カ所から捕まえて来たのでアリのサイズが全然違う。
この日は捕獲に思ったより時間がかかってしまったので、特に何をするでもなく就寝。

翌日はあまり大きな変化は無かったのだが、2晩越したところでだいぶ深く穴が掘られている事に気付いた(写真の左端)

これを掘っているのは、1匹のサイズこそ小さいものの、巣穴から出て来たところをごっそり(といっても5匹)さらってきた子達で、他の場所でも活発に穴掘り中。

なんせ女王アリがいないので、どこまで巣が大きくなるかは分からんが、せめて息子が楽しんでくれるくらい掘り進んでくれたらいいなあ……。

なんて思っている時に違和感に気付いた。

いま頑張って穴を掘っている子達とは別に、もう少し大きいアリも捕まえて来たはず。その子達は別の巣からさらって来たのだが、何故か姿が見えない。容器はフタを閉めていたので逃げられる訳もないし……と探してみたところ、まるで予想外の場所にいた。

何でか知らんけど、容器の側面や天井にへばりついてピクリとも動かないのだ。こっちの子達はさっきのアリ達より何倍か大きいのだが、残念ながら2匹しか捕まえられなかった。その2匹が常に肩を寄せ合って、アリの巣キットの隅っこでジ~~~っとしているのである。地面に降りて巣を掘るでもなく、何か食べるでもなく、ピタっと身体をくっ付けて身動き一つしない。

気になって調べてみたところ、アリというのは縄張り意識がとても強く、一回巣から出ると女王アリですら仲間と認めてもらえず追放される事さえあるという。
それに、自分達の巣を脅かす存在に対しては、総力戦で立ち向かうのだとか。よって、本来ならば個々の力では敵わないような強力な敵が相手でも、最終的には数の暴力で勝ってしまうそうだ。

こうした情報を総合すると、この子達は自分より遥かにサイズの小さい別の巣のアリに先に縄張りを作られてしまい、そこに入って行けなくて、かといって狭い容器の中では他に居場所もなくて、こうやってフリーズしているのではないだろうか。

アリはとても賢いそうなので、自分達より相手の方が数が多いのは分かっているのだろう。だからこそ下手に縄張りに入って総力戦を仕掛けられたらヤラれると判断しているのかもしれない。

元々住んでいた巣から離れれば、みんなで協力して新しい集団を作ってくれるんじゃないかと思っていたのだが、アリの社会はそんな甘いもんじゃなかった。
このままでは少数派の子達が何も出来ずに飢え死にしてしまうと思うので、近くどこかで逃がしてやるつもりでいる。ごめんなあ、ごめんなあ……。

とはいえ、同じ巣のアリ同士じゃないと仲良く出来ないという事は、どこぞに逃がしたところでこの2匹は常にこの2匹だけで肩寄せ合って生きて行かなきゃならんって事だよね……。ごめんなあ、ごめんなあ……。

息子のためにだ何だと言いながら、まさかこの歳になってアリの生態について学ぶ事になるとは思わなかった。


◇ CM
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※参考記事 過去にバズった記事(すべて無料記事です)
『息子が見ていたTV版ドラえもんのお話が的確かつ鋭利すぎて……』
https://note.mu/oharan/n/nb47a35de2bcf
『性的消費ってなあに?』
https://note.mu/oharan/n/n53608cd57574
『なぜ嫌悪感を抱く表現であっても守らねばならないのか』
https://note.mu/oharan/n/n42140c8b45fd

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