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ドマイナー路線のドマイナー駅で神がかった店を発見(うず食堂/小村井/洋食?居酒屋?)

へいへーい、みんな亀戸線って知ってる~!?
亀戸と曳舟を結ぶ、都内でも有数のマイナー路線なんだぜ~!

と不穏な始まり方でなんだが、近頃我々夫婦は息子を連れて墨田区内の図書館巡りをしている。
女房が「区内の図書館ならどこに返却してもいいらしい」という情報を入手して来たので「だったら色々な図書館を荒らし回ろうぜ!」と、区内のあちこちを徘徊しているのだ。

で、今回目をつけた図書館が、亀戸線の東あずま駅と小村井駅のどちらからも微妙に歩くという中々の立地。
本当は本を借りたらとっとと家に帰って晩御飯を作ろうと思っていたのだが、予想以上にくたびれてしまい、どこかでご飯を食べて帰ろうという結論に。

嗚呼それなのに亀戸線……。
23区内だってのに平然と2両編成の電車が走る路線……。

これじゃあ亀戸駅か曳舟駅まで行かないとお店が無いのかなあなんて思っていたら大間違いだった。
なんか図書館から小村井駅に向かう道の途中に、超気になるお店が色々あるんだけど。別に商店街って感じでもないのに、明らかに美味しいであろう飲食店だけが点在してるの。なんだこの街!?

そして、その謎の小村井グルメの極めつけが多分この店。
小村井駅のすぐ隣にある、うず食堂さん。

最初は外観をパっと見ただけでダメだなと思って素通りしようと思ったのだが、店先に出ていたメニューの文字列がとても気になる物だった事と、店内にそれなりにお客さんがいた事から後ろ髪を引かれまくり。
おそるおそる女房の顔を見たら「ヨシ」と頷いてくれたので、入店を決意した次第でござる。

メニューはグランドメニューの他に、日替わりと思われるいわゆる黒板メニューも色々と用意されている。
ざっと見た感じお肉を推している店なのかなと思いきや、日替わりメニューには魚や野菜料理も紛れており、何を頼んだもんだか悩む。

ちなみにお酒の値段は、ウーロンハイやハイボールがお値打ちで330円、生ビールはちょっと強気で480円。ハウスワインは赤白380円なので、お肉に合わせるならこれがいいのかなあ。

まずは何が得意なのか見定めようという事で、刺身類を頼んでみた。
本来ならば「なかなか美味しい」と表現すべきだと思うのだが、諸事情あってここは辛めに採点する。この店では別に魚は頼まなくてもいいと思う。

なぜなら後述するそれ以外がヤバイ過ぎるからである。

はい、手始めにヤバかったヤツ1号『燻製ポテサラ ¥380』さん。
スモーキーな香りをつけたポテサラってのは他の店でも食べた事があったのだが、この店が変わってるのはポテサラに刺してあるスポイト。これの中身が何か当てろと言われても、正確に当てられるヤツは中々いないと思う。
なんとこれ、燻して香りをつけたタバスコが入っているのだ。

辛味も酸味もそれなりにあるのだが、それ以上にとにかくスモーキー。これ面白い。この食べ方は初めてかもしれない。

はいはい、そしてヤバかったヤツ2号『低温調理 牛タン刺し ¥680』
これウマかったぁ。1人1皿食べたかった。
牛タンは当然のように柔らかいのだが、ちゃんと噛み応えもある。そして牛の味が濃い。タマネギとレモンも良い仕事してた。

刺身類の時点では「まあそれなり?」くらいの評価だったものが、この2品でブレーキがぶっ壊れた。先に言っておくが今回またしても我々夫婦はヤラかした。

『パテドカンパーニュ ¥480』
写真だと伝わり難いかもしれないが、標高が酷い事になっていた。味よりも、このサイズ感と重みによる笑いが先に来た。
もし1人で来た時に下手に頼んだら、これとワインだけで話が終わってしまうんじゃないか?

名物と書かれていた『肉豆腐 ¥480』
墨田区~江東区界隈のモツ屋の煮込みに比較的よく見られる「もつ煮を作ったら何故か洋風味になってしまった」って感じの味付け。単に肉の風味が出まくってて洋風ダシを感じるのかもしれない。

そんなダシを真っ黒になるまで吸い込んだ豆腐が下に敷かれており、これもとてもお得感があった。


この辺りから夫婦揃って判断力がぶっ壊れ、いい加減に〆て帰れよという腹具合なのに、まだまだ1品料理を追加し続ける。

お次は『よだれ鶏 ¥380』をオーダー。多分ラー油をマジメに作ってるんだと思うんだよねえ。その道一筋という中華レストランと比べると分が悪いけど、充分に美味しい ”よだれ鶏味” だった。これが380円ならだいぶお得。

そしてだいぶお得といえば『鉄板ハンバーグ ¥680』
この店はキッチン形式で、客から調理場が丸見えなのだが、焼き場や揚げ場などハッキリと役割分担されている。
その焼き場に、予め軽く焼いてあるのだろうハンバーグが山積みになっていた。年寄りにしか分からない例えだろうが、まるでハクション大魔王の1シーンみたいに。(あのコロッケかのように山積みにされたハンバーグを魔王がひょいひょい食べるヤツ)

そんな子供の頃に夢見た光景を目の当たりにして、我慢ならず頼んだところ大正解。
これまたサイズがおかしいし、お肉ミッチリでかなりの食べ応え。


いい加減にもう止めとけよと脳内で天使のオレと悪魔のオレがバーリトゥードマッチを繰り広げる中、平然と頼んでみせた『ステーキ丼 ¥880』

この店のメニューの中ではちょっとお高めだが、ご飯の上に美味しい赤身のステーキが乗せられ、そこにガーリックチップと卵黄が加わる。
これにステーキソースをかけて、卵をグチャグチャっと混ぜると、”頭の悪いヤツが考えた最強のTKG” の完成である。

いやこれも美味しかった。細く切ってくれたからというのもあるけど、お肉が柔らかくて、生卵で滑りがよくなってしまって、文字通り飲み物として片付けさせて頂いた。

こちらは私と同レベルで頭の悪い女房が自分の胃の具合も考えずに頼んだ鶏白湯ラーメン『¥780』

これもこれでちょっと割高感はあるけれども、「だからこれの専門店やれよ」と言いたくなるほど濃厚でデロッデロなスープ。なのに塩気はそれほどではなく、とても優しい口当たり。
なんというか、旨味だけが口の中に広がる感じ。

また、このお店は子連れも歓迎してくれるようで、『お子様ランチ ¥480』 まで用意されていた。
息子にちょっと分けて貰ったところ、ちゃんと手抜かりなく作ってくれていて、これで480円はいいなあ。
理想を言えば、お子様ランチといえばオレの中ではウィンナーなんだよなあ。これにウィンナーが添えられてたら、オレの中で完璧なお子様ランチ認定してた。

これだけヤラかし、酒を呑み過ぎた事もあって、こんな価格帯なのにお会計は見事に1万円コース。女房は食べ過ぎで家に帰ってからうめき声をあげて寝込む。

何やってんだろうボクたち。


[店名] うず食堂
[住所] 東京都墨田区文花2-10-2
[TEL] ???
[営業時間] 17:00~02:00
[定休日] 火曜
公式サイト http://uzu-group.com/

なんでもこの店は、墨田区内に何店舗かグループ店があるようで、錦糸町・熟成肉とワイン、小村井・大衆ステーキビストロ、曳舟・ハンバーガーと、お肉料理が中心ではあるものの、お店ごとに業態が違う。
他の店も気になるけど、まあ近い内にまたうず食堂に行きたいなあ。うず食堂に飽きたら他の店も行ってみようかなという感じ。それくらい一発で惚れ込んでしまった。

問題が、同じ墨田区とはいえ、私の住む両国からはかなり遠い事である。
ただ、途中でマイナーな路線を挟むので、プチ旅行感が出て楽しいって面もあるんだけれど。


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