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ダメ元で入ったらあまりにも独自路線過ぎて気に入ってしまったラーメン屋(末廣/墨田区横川/ラーメン)

以前、スカイツリーのすぐ近くに行きつけの銭湯があり、そこが東京でも一二を争うのではないかと思える名銭湯だという話をした。
大黒湯 http://www.daikokuyu.com/

両国在住の私にとって、スカイツリーは近くもあり遠くもありという微妙な距離感なのだが、この大黒湯があるために週に何度も自転車を飛ばしている。

今回ご紹介するラーメン屋は、その大黒湯から歩いて2分ほどの場所にある、外観からジンジンと入り難いオーラを発するお店『末廣』だ。

だが、入り難いオーラどころか、店に入ると若干ゴミ屋敷テイストで、入ったら入ったでやっちまったオーラに包まれるという実に難儀なお店。
※本当に汚い一角はあえて写しておりません

この内装に強い危機感を感じ、女房子供と3人だったため万が一地雷店だった時の事を考えながら注文せねばならなくなってしまった訳だが、メニューを見てみるとやたらと独自路線。危険信号が弱まり、代わりに「ちょっと試してみたい」という気持ちが湧く。

ラーメンは基本的にスープが4種類あり、それぞれラーメンかつけ麺が選べるようだ。それにトッピングの選択肢(ワンタン・辛口・こってり……など)が加わる。

・しょう油 説明書きから察するに、おそらくチャーシューの煮汁を使った東京ラーメン的な味だろう
・玄海 白湯スープの九州系の塩味だそう
・八丁みそ 八丁みそをベースに合わせた味噌スープ
・末廣 ゴマとオニオンスライスのマイルドしょう油……?

なんだか説明書きを読んでもピンと来ない物もあり、どれを頼むべきなのか迷う。これですっ外したら激痛だろうなあ。困ったなあ。

という訳で、まずは瓶ビールと餃子でご機嫌を伺ってみる。餡はミッチリと入っており、細かく刻まれていて柔らかい口当たり。皮はちょうどいい焼き具合で、非常にバランスが取れていた。
ほう、これなら味に関しては案外悪くないかもしれん。

という訳で、最も想像が付かなかった末廣をあえて頼んでみた。説明の通り、確かにオニオンスライスが一杯乗っていて、ゴマたっぷりだ。それ以上でも以下でもない。
メンマは細く切られており、食感を変えるアクセントとして良い仕事をしていた。チャーシューは予想以上に柔らかで美味しく、これにはキャリアを感じさせられた。

そして肝心のラーメン部分についてだが、まずスープはゴマやタマネギ以上に、ワカメのインパクトがとても強く、エースコックのワカメラーメンが好きな人は無我夢中でがっつきそう。
私も磯の香りは嫌いじゃないので「う、うめえ!?」と言いながらズルズルっと勢いが付いてしまった。

スープ自体は優しい味で、塩気もそれほど前には出て来ないのだが、何故か麺と一緒に食べると味がビタっとハマる。
かなり独特だけど、これは素直に 「美味しい」 と評価したい。

もう一つは最もオーソドックスであろうしょう油スープのつけ麺にしてみたのだが、これもこれで私の大好きな 「ざるラーメン」 的な味わいで好印象。

ちぢれの少ない麺と、よく言えばシンプル、悪く言えば芸の無い醤油スープの相性が良く、こちらもチャーシューの旨さとわかめの存在感が際立っていた。

これ狙ってやってるのかなあ、それともたまたまなのかなあ。結果的にワカメの謎の自己アピールが良い方向に影響している。このお陰で 「研ぎ澄まされたB級味」 って感じでまとまっている。

大黒湯で汗をかいた時の塩分補給に、またこの店に来ようと固く誓った荒井家であった。(次は玄海と八丁みそが気になる)

[店名] 末廣
[住所] 東京都墨田区横川2-15-11
[TEL] 03-3624-9938
[営業時間] 不明(今度聞いておきます)
[定休日] 不定休


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