土地柄なのか、南海史上最もドカ盛り仕様の店(キッチン南海両国店/両国/洋定食)

キッチン南海といえば、神保町の本店が有名だが、実はのれん分けによって、東京を中心としてあちこちに「南海」というお店が点在している。
私が今住んでいる墨田区両国にも南海があるのだが、その店は他の南海と比べてキャラが濃く、神保町の本店と比べてしまうと全然違う店に感じてしまうほど。

こちらがその両国南海さん。
この店は両国に引っ越して来て、だいぶ早い段階に訪れたのだが、最初はそのメニューの少なさにビックリした。実質上、カツカレーと生姜焼きの2択なのである。

なんだよメニューこれだけかよと思いつつ頼んだカツカレーを見て妙な違和感が。写真は上から見下ろして撮っているので何とも思わないかもしれないが、なんだろうこのプレッシャーは。

横から見てみてもまだ伝わらない気がするのだが、両国南海のカツカレーは、ぶっちゃけ「お相撲さんがオヤツに食べにくるサイズ」であり、一般庶民がこれをランチタイムに食べると、夕飯がお腹に入らなくなる可能性が高い。

一回ここで、本家・神保町南海のブラックカレーを見てみよう。
このお皿のサイズと、ご飯の盛り上がりとのバランスにご注目いただきたい。神保町の南海もそれなりの量なのだが、これと比較すると両国南海のカツカレーの写真は、ご飯が占める領土が広すぎるのである。

まず皿自体が大きいのだが、その3分の2くらいまで米が侵食してきている。お陰でルーが絶対的に少ない(乗らない)っていう罠。
さらにキャベツの盛りも良く、ライスと同量程度に感じられる千切りキャベツが、ギュウギュウと無理やり乗せられているのだ。

ぶっちゃけ、この料理の正式名称は ”カツカレー” ではなく、”カツライスとカレーライス” なんだと思う。ライスの量が普通の定食屋の倍はありそうなので、1人前のカレーライスと、1人前のカツライスを、1プレートにまとめた物なんだよきっと。
よって、まずライスを半分に分けて、片方をカツライスとして、片方をカレーライスとして食べると、バランスよく食べられるんじゃなかろうか。
最初からルーを多めにすくって食べていると、半分も行かない内にルーが足りなくなるので注意すべき。

で、肝心の味なのだが、これがまた独特で、神保町南海のカレーの味とはまるで違う。というか、神保町南海どころか、日本中のカレー屋さんと比較しても、中々この味のカレーはないなというオリジナリティを持っている。
一言で言うならば、この店のカレーは味の中心に苦味がある、ビターテイスト路線なのだ。
苦味ってのは好き嫌いが極端に分かれてしまうため、ネットで評判を調べるとクソ叩きにされていたりするのだが、いやコレはコレでハマったら抜け出せなくなる味だぞ。決して調理ミスとか手抜きとかで焦がしちゃってるんじゃなく、最初からこういう味を狙って作っているとしか思えない。なんせ、毎回大してブレずに同じ味なんだから。

個人的に「ウチのカレーは苦味を立てるスタイルで行く」と決めたオジちゃんの勇気を評価したい。苦味も美味しさのひとつです。
ちなみに、私はこの店のこのカレーの味に衝撃を受け、見事にハマってしまい、1週間の内に3回ほど通わせて頂いたのだが、その結果あっという間に体重が言いたくないほど増大してしまった。
現在、女房から「両国南海は週1に控えるように」との御触れが出されております。


[店名] キッチン南海 両国店
[住所] 東京都墨田区両国2-14-8
[TEL] 予約不可
[営業時間] 11:30~15:30
[定休日] 土日祝
[備考] この店は南海という名前ではあるものの、メニューは【ロースカツ、ヒレカツ、串カツ、カレー、生姜焼き】しかない。
カツ類はライスを付けて定食として食うか、カレーライスに乗せて食うかを選択するのだが、串カツカレーを食べている客など見たことはなく、大多数の客はカツカレーか生姜焼きライスを頼んでいるようだ。
値段は量を考えたらとても安く、素のカレーが530円、カツカレーと生姜焼きライスは700円で、本文に書いた通り夕飯が食えなくなるレベルの盛り。安易に大盛りコールなどしないように注意しよう。

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