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相変わらずクサくてウマい、やめられない味(百麺 中山道店/板橋区役所前/ラーメン)

今から約20年ほど前だったと記憶しているが、都営三田線の板橋区役所前駅付近の交差点で、毎日のように異臭騒ぎが起きるようになった。
それまで、この辺りでは嗅いだ事のない「何の臭いだこれ!?」という悪臭が、毎日毎日どこからか漂ってくるようになったのである。

その異臭騒ぎの元がこの 「百麺(ぱいめん)」である。

今でこそ獣臭さ全開のラーメンは東京でも珍しくなくなったが、この店がオープンした約20年前は、まだまだレアな存在だった。
当時、私は友人らと会社を立ち上げたのだが、その会社が入ってたビルが百麺のすぐ隣にあった。そのせいもあり、私はこの店のオープンとほぼ同時に常連客と化したのである。

当時と比べると、年々味がマイルドになって行っている気がするのだが、変わらないのはこの卓上の無料調味料の豊富さだ。
すりおろしたニンニクはよく見かけるが、揚げニンニクまで無料で入れ放題というのは中々ない。有料トッピングにしている店の方が多いと思う。

その他にも、ゴマやコショウやラーメンダレがあり、これらを駆使して自分好みの味を作るというシステムである。

今回頼んだのは、私が最も好きな細麺の素ラーメン(680円)。
チャーシューやラフティ(角煮)、ネギやほうれん草など、トッピングは色々とあるのだが、私が好きなのはバリカタの細麺の素ラーメン。これ一択。20年前からとにかくコレが好きで好きで好きで好きで。

おそらく豚骨醤油ラーメンというくくりになると思うのだが、思い出すのは約20年前の2ちゃんの板橋区のラーメンスレで巻き起こった 「百麺は家系か否か論争」 である。
「あんなもんは家系じゃねえ」「あんなくっせえラーメンは人間の食いもんじゃねえ!」という罵詈雑言に対し「納豆だってブルーチーズだってくせえだろ!おこちゃまは家に帰ってうどんでもすすってろクソが!」といった煽り合いに罵り合い。そんな論争を巻き起こすようなラーメンなのである。

その色々と問題のあるラーメンを、ゴマいっぱい、揚げニンニクいっぱいでお化粧し、超悪い味に仕上げたところでがっつくのが王道スタイル。
当然あっという間に飲み物かのように飲み干してしまうので、そうなったら100円玉をカウンターに置きつつ替え玉コールだ。

替え玉が来たら、さらに揚げニンニクなどを入れ、再びゴクゴクと飲み干すのである。
ちなみに、私は20代の頃に替え玉4回という意味の分からないお大臣食いをした事があり、その時は当時の店長が不憫に思ったのかスープをたっぷり注いでくれた。何もかもが懐かしい……。

で、何年かぶりに食べた百麺は、大昔と比べたらだいぶマイルドになったものの、それでも一時よりかは ”悪い味” が戻ったように感じた。
昔ほどの 「ガツン!」 という殴られたかのようなインパクトは無いが、それでも獣臭はしっかり感じられた。

やっぱねえ、時代に迎合しないこの姿勢あってこその百麺ですよ。
臭くて旨い、臭い物は旨い、そういう開き直りを今後も維持して頂きたい。


[店名] 百麺 中山道店
[住所] 東京都板橋区板橋2-61-14
[TEL] 03-5375-0141
[営業時間] 11:30~25:00
[定休日] 無休

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