エセ科学&医学・陰謀論…… ”子供のおまじない” レベルのデマにハマる理由

エセ医学・エセ科学とSNS

私が覚えている限り、エセ科学やエセ医学は、80年代頃からすでに問題視されていた。ただ、昔は情報を伝える手段が限られており、知り合いづてに口伝で広まるか(カルト宗教含む)、もしくは超アングラ誌の読者投稿欄程度しかキッカケはなかったように思う。
それが90年代に入る頃になると、パソコン通信などが普及し始め、段々と伝達手段が増え出すのだが、それでもまだ「隔離された空間」でしか伝わらない情報といった存在だった。
加えて、当時は 『ト学会』 がブームを起こしており、その出版物などで危うい情報は ”トンデモ系” ”電波系” として紹介され、笑いの対象にされていた。そのお陰で 「あ、これは笑うものなんだ」とブレーキが働く人間が多かったように思う。

ところが、こうしたバランスが崩れたのがmixiやTwitterなどが定着した2006~10年にかけてである。
このSNSの隆盛に合わせてネット利用者が爆発的に増え、それと同時にあまりに危機意識を持たない、もしくは危ない情報との距離の置き方を知らない人々が増え過ぎてしまった。
また、最初から ”その素養がある人間” が、いとも簡単に危険な情報に繋がってしまうようにもなった。
こうした背景があって、今ではどれだけ専門家が警鐘を鳴らそうと聞く耳を持たないエセ医学・エセ科学信奉者が大量増殖してしまったのである。

このSNSという道具は、デマやニセ科学・医学の類と非常に相性が良く(悪く?)、原則として ”素人発信” で成り立っている物だから、書き飛ばしが許されてしまう。
中には何事かデマがばら撒かれる度に、その情報を検証する人間が現われるが、とんでもない労力がかかる上に、仮に完璧なデマ検証をしてみせたところで、デマそのものの情報波及力には全く及ばない。

そう、デマという派手な情報に比べると、事実・真実という地味な情報は広まり難いのである。

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