はじめにお断りしておくが、今回ご紹介するお店はあまりにもカオス過ぎる。昔から私の自称グルメブログをお読みくださっている方は、クセの強さから「板橋の店か？」と感じるかもしれないが、北区東十条の商店街にあるお店である。

さ、まずはこの写真をよくご覧になって欲しいのだが、絶妙に情報が多い。店名が長崎だし、看板でちゃんぽんや皿うどんを推しているので長崎料理の店かと思わせておいて、ノボリではキムチや焼肉など韓国料理屋アピール。
情報量の割合で言えば、この店は焼肉屋ないしは韓国料理屋であると判断すべきであろう。

だがこのお店、そもそもはアド街でも紹介された事がある、和食のお店だったという。

ううむ、やはり情報が多すぎる……。

外からでは何一つ確かな事が分からんので、ダメ元で入店。

店内のメニューを見てみると、韓国料理枠と、それ以外の和食・居酒屋メニュー枠とが見事に混在。店内の壁には「うなぎ」という張り紙があり、唐揚げやトンカツなどの定食メニューも完備。
さらに、ちゃんぽん・皿うどん推しと思わせておいて、ラーメン・そうめん・ひやむぎと麺類の品揃えも充実している。

そうか、ここは何屋とかじゃなく、お酒も呑める ”なんでも食堂” なんだな。きっとそうに違いない。

店の床には大きな寸胴が置かれ、扇風機から直に風が送られていた。これはいわゆる ”ツッコミ待ち” であろうという判断から、店のお母ちゃんに尋ねてみたところ「牛すじの煮込みよ！」とのこと。

こんなもん見せられたら頼まない訳にはいかないじゃん！

で、食べてみたら洋食のシチューのようなタイプで、信じられないくらい美味しいの……。特に味のしみ込んだ大根の完成度と言ったら。

あれれ、この店カオスなだけじゃないんじゃないか？

とか何とか思っていると、続々とお客さんが入って来て、入店時には我々しかいなかったのに、気付けば満席に。しかも客の年齢層が高く、男女比は均等で、身なりも悪くない。
経験則から、この手のカオスなオーラを漂わす店は、大当たりかクソ地雷かの極端な2択だと思っているのだが、客層からしてどうやら大当たりの方を引いたっぽい。

そういう事ならと、キムチとお通しでビールを消費しつつ、メニューとにらめっこ。今回は子連れなので、何か子供が食べられそうな物をチョイスしてやらねばならない。
キムチと勢いで頼んだ牛筋（ピリ辛）と、今の段階で息子が食べられる物が何一つない。酷い親もいたもんだ。

女房の大好きなセンマイ刺し。
不思議だ、どうしても息子が苦手な食べ物ばかり選んでしまう。そして今のところ何を頼んでも味付けがステキ。

食べられる物が無くて息子がふてくされ出したところで、子供が大喜びしそうな見た目のサムギョプサルが到着。
案の定、楽しそうに肉を焼き始めてご機嫌回復。

1人前1,000円（写真は2人前）というこの店にしてはお高めの価格だけあり、セット内容は充実していて割高感はない。
これと定食セット（ごはん＋スープ）なんて頼み方でも満足できそう。

付け合わせのエゴマは醤油漬けになっており、クセが少なくて食べやすい。これだけで酒や米のアテに出来る逸品だった。

充分にやり過ぎた感はあったのだが、最後にどうしても ”長崎枠” から何か頼んでおきたかったので、ちゃんぽんをチョイス。
やはりコレも味付けが上手で、ちゃんぽん屋としても普通に繁盛しそう。

この店の大将は何を作らせても美味しく仕上げられる人なんだろう。だからこそ、こういうカオスなメニュー構成になってしまうんじゃなかろうか。

子連れで冒険というリスキーな状況ではあったけど、結果的に名店に出会えたのでヨシとする。

[店名]　長崎
[住所]　東京都北区東十条3-12-1
[TEL]　03-4291-7242
[営業時間]　11:00～24:00（14:00～17:00中休み）
[定休日]　月曜

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