「マスコミの劣化の理由は無関心な国民にある」 ←それはどうだろう？
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”見出し詐欺” しかすがる手段がない紙やネット

間にいくつか記事を挟んでしまったが、前回#1では主にTVおよびTV報道の劣化について述べた。今回は「そうは言ってもネットだって紙だって大概だぞ？」 という話もさせていただきたい。
私はWEB媒体が出自のライターであるから、「下の下の話」についてはネット業界における事例の方が詳しいのだ。

さて、少し前にキュレーションサイトの質の悪さと、それが引き起こす問題の数々が取り沙汰されたが、その少し前にこんな問題点が指摘されていたのを覚えているだろうか。

「見出し詐欺」

そう、本文の内容と全然関係ない、もしくは意味が180度変わってしまうような ”扇情的な見出し” をつけ、とにかくPVを稼ぐ（＝広告料を稼ぐ）という手法だ。
よくあるのが「言ってもいない事を言ったかのように書かれる」といったデマ見出しの類だが、中にはPV欲しさ、人目惹きたさの「こじつけ」も多い。よくあるのが、そして私が過去に編集部と何度かケンカになったのが、「その事件・事故と全然関係ない著名人の名前を無理やりに見出しに組み込む」という無様な手法である。

どういうやり方をするのか、私が実際にヤラれたケースを元に説明する。

まず、どこかで何か事件が起きたとしよう。殺人事件でも、麻薬でも、婦女暴行でもなんでもいい。その犯人の名前が明らかになったら、犯人の地元（育った地域）を探り当て、通っていた学校を調べ、そこの卒業生などから卒業アルバムを買うなりし、同級生に著名人がいないかどうか探すのである。ちなみに、現場で聞き込みでもすれば、どの町にも口の軽い人間はいるので、意外と簡単に卒業校くらいは見付けられる。
そんな調子で近そうな人間からしらみ潰しにして行き、同級生にめぼしい人物がいなかったら、今度は先輩でも後輩でもいいから、とにかくその学校が誰か著名人を輩出していないか調べるのだ。
そして ”同じ学校” というだけの著名人を見付けたら、今度はノーコメント前提でその著名人の事務所にコメントを求める。当たり前だが、そんな遠い話をいきなり持ち掛けられても答えようがないので、まともなコメントなど返って来ない。するとそれを「同じ学校の卒業生だった〇山×男さんはノーコメントを貫いた」などと本文に組み込んでしまうのだ。そして見出しに『〇山×男、心痛！母校の後輩が凶悪殺人犯！』とでも書いてしまう。

これが仮にWEBニュースだった場合、見出しに騙されて飛んで来る人間が多くなればなるほど、『〇山×男』 で検索した際にGoogleなどにヒットする可能性が飛躍的に高まって行く。ネットのお約束である「PVがPVを呼ぶ」というヤツで、いつしかそのインチキ見出しというだけの記事が 『〇山×男』 の最もバズったホットトピックスとなってしまうのである。

私の場合、頑なに「それ本件と全く関係ねえだろ」と編集部相手にケンカ腰で拒絶し続けたところ、編集部の他のスタッフが勝手にヤラかしてくれ、上で説明したような騙し見出しを 「私の記名記事に」 使ってくださった。それをやられると、何か批判された際の的が私という事になってしまう。
そのクソ媒体と二度と仕事をしなかったのは言うまでもない。