『商店街とコンビニ』コンビニ24時間営業問題の源流を探る #1

[連載] 『商店街とコンビニ』コンビニ24時間営業問題の源流を探る
#1  https://note.mu/oharan/n/n8b35be59ca56
#2 https://note.mu/oharan/n/nb88d17723585

はじめに

現在、コンビニエンスストアという業態が根本から見直され始めている。
コンビニを支えていた一番の要素とも言うべき、「24時間営業で当たり前」という状況が、大きく変わる可能性が高まっているのだ。

まずは、これまでの経緯が分かるよう、情報ソースとして面白そうなページをいくつか貼り付けておく。

短縮営業に対するセブン加盟店からの告発文
https://www.cvs-union.net/
コンビニ業界に広がる「時短営業」問題、根本にある人手不足問題に、どんな対応をするのか?
https://www.zaikei.co.jp/article/20190415/506455.html(1~3まで)
コンビニが「24時間営業」にこだわる意外な理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60274

上記の記事をざっと読んで頂けると、いまコンビニで何が起きているのかが把握できると思う。

だが、これだけでは少々説明が足りない。より深く ”コンビニ” という業態およびシステムを理解するために、このnoteでは 『商店街とコンビニ』 という歴史の勉強をしてみたい。

ちなみに、今回の内容は下記の著書により詳しく書いてあるので、もしよろしければ、もしも競馬やパチンコで勝ってあぶく銭があるようでしたら、ご購入いただけると発行元のマイクロマガジンが私に新しいお仕事をくれるかもしれません。

◇ 著書の宣伝です
『魚屋がない商店街は危ない 東京23区の商店街と地域格差』
MM新書・マイクロマガジン社
定価994円(本体価格+税)
https://amzn.to/2S2gqbB
「商店街の衰退は街の格差を生む。繁盛している商店街は住民の教養が高い。では、商店街が廃れた地域の住民は…?」
板橋区の旧宿場町の商店街出身の私が、東京23区の主だった殆どすべての商店街と、商店街を中心とした生活動線を歩いて回り、その結果を1冊の本にまとめました。
滅びゆく存在となってしまっている商店街こそ、「誰もが豊かに」という日本の文化レベルの高さを底支えしている存在だったのです。


商店街ってなあに?

昭和の時代に元気だった商店街は、町のルーツを辿ると様々なパターンがある。まずは、軍事工場などで働く人々が通勤に便利な土地に集まり、彼らの生活需要が高まって商店が集まり、次第に商店街となって行ったというケース。次に、戦後に鉄道駅の前の広場や、神社仏閣を中心とした通りなど、人の往来の多い場所にヤミ市が立ち、そこから発展したというケース。この2パターンが非常に多い。
古くから宿場町や門前町として、また明治期以降は鉄道駅を中心に栄えていた土地もあるが、全体的に見ると商店街として栄えていた街は、決して歴史の古い土地ばかりではないのだ。

その商店街の隆盛期は高度経済成長期とだいたい被ると言われており、その説を元にすると1950年~60年代までがピークで、70年代には衰退が始まっていたと言えるだろう(詳しくは後述する)。
そう考えると、商店街という仕組みには、たかだが2~30年しか頂点の期間がなかったと言える。

さて、ここまでさも当たり前のように ”商店街” という単語を使ってみたが、皆さんはこの ”商店街” の定義をご存知だろうか。
実は、商店街には法令などでハッキリと定められた絶対的な基準が存在しない。中小企業庁がそう言っているので間違いない。
だが、それでは統計データを作る際などに困るので、「近接して店舗が30軒以上ある地域を商店街と看做しましょう」という事になっている。

ところが、これでも基準としてはイマイチで、例えば「昔は数十軒の店が集まっていたが、今は寂れて20軒しか店が残っていない」という商店街を、商店街と看做さないという話になってしまう。
よって、あくまで「便宜上そういう話にしておこうよ」という、非常にモヤモヤした区分でしかないのである。

また、「近接して30軒の店があれば」という事なので、実は駅ビルや複合商業施設なども、国の統計データなどでは商店街として扱われてしまう。
やはりこれもおかしな話になるので、「近接して30軒」というのは、あくまでも目安でしかないのだ。

ただ、このまま何の基準も定義もなく ”商店街” という単語を使い続けるのも気持ちが悪いので、このnoteでは 「昔ながらのお店が横にズラっと並んでいる通り」というイメージで使わせてもらう。

ここから先は

1,919字

¥ 200

皆様からの金銭サポートがあると、子育てに追われる哀れなオッサンの生活がいくらか楽になると思わせておいて、息子の玩具やお菓子や遊園地代で殆ど溶けます。