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フラれにフラれてダメ元で入った亀戸の餃子屋さんが予想外に良店だった件(青山餃子房/亀戸/中華)

GW最初の日曜日、我々家族はなぜか亀戸の街を彷徨い歩いていた。

日中に外出したのはいいものの、中途半端な時間だったため夕食を食べそびれ、「せっかく外に居るんだから何か食べて帰ろうよ」と言い合っている内に総武線は秋葉原を過ぎ、浅草橋を過ぎ、我が家のある両国に到着。
そのまま降りてしまっては代わり映えしない選択肢しかないため、折角だから錦糸町……いや錦糸町も自転車でしょっちゅう行くから、亀戸まで行って店を探そうという事で決着。

ところが!

亀戸ホルモンや亀戸餃子といった超人気店に行列が出来ていて入れないのはハナから分かっていたし、そもそも子連れで入ろうだなんてコレっぽっちも思わなかったのだが、その周辺の焼肉屋からモツ焼き屋から、目に付く店がどこもかしこも満席なのだ。

なんだよ亀戸、こんなに儲かってる街だったのかよ!?
この人間の群れはどっから湧いて出た!?!?

4歳児を連れてそんな行列に加わるのは不可能だし、入店しても待っていられないだろうから、どこか子連れでもご飯が食べられる店はないかと目抜き通りを歩いてみるもののパっとせず。

気付けば亀戸天神までもう少しなんてところまで来てしまい、仕方なく「戻るか……最悪錦糸町で何か……」と思った瞬間にその店が目に入った。

我々が通りかかった時にはガラガラだった青山餃子房さん。アタリかハズレか微妙なラインだったが、息子を連れ回すのが限界だったため、とにかく座って何か食わそうとダメ元で突撃。

青山焼き大餃子:5個 450円

お店の看板メニューらしく、一番上に載っていたので頼んでみただけだったのだが、これ超おいしい。しかも大餃子というだけあって食べ応え抜群。成人男性でも、これを2皿食べたらもういいやとなると思う。

餡にはとても細かく刻まれた野菜やひき肉がたっぷり入っており、柔らかさとアクセントと両方を兼ね備えている。餡の味付けも万人向けで、特に何かが強烈という事もない(ニンニクが!とかニラが!とか)。

皮は程よくパリっと焼かれていて、これが1個50円なら文句ナシ。素晴らしい。認める。キミはステキだ。

続いて、380~480円と焼き餃子以上にお値打ちな水餃子コーナーから、豚と海老とニラの水餃子(480円)を注文。

味の説明の前に、この店の水餃子は餡の内容を何パターンかから選べるため、食べる前からとても楽しい。これ飲食店としてとても大事。お客が楽しいってのホントに大事。

ちなみに、餡のラインナップは今回頼んだ「豚・海老・ニラ」の他に、「豚・シイタケ・玉ねぎ」「豚・白菜・ネギ」「海老・ニラ・卵」「豚・鶏ガラスープ」「豚・イカ・海老・カニ・ワカメ」といったところ。
「豚・海老・ニラ」と最後の海鮮以外は、すべて6個380円とお安いのも魅力である。

で、肝心の味の方も当然のごとく美味しく、焼き餃子よりも厚めの皮のプリっとモチっとした食感が気持ちいい。
思わず必要以上に食べてしまうが、これも餡がそれなりにミチっと入っているので、食べ過ぎると後から腹に来るので注意。

上:ヨダレ鶏
下:唐揚げ

この店はアルコール類も妙に安く、ウーロンハイやレモンサワーといった安酒の定番は290円均一。それだけではなく、晩酌セットなる「焼き餃子or水餃子+1品料理(普通に一人前)+酒」で1,000円ちょっとという夢のようなセットがあり、他にもお得な定食類がいろいろ。

という訳で、ここまでの写真はその晩酌セットで頼んだ物で、女房と私とでハイボールのジョッキを1杯ずつ呑み、それでお会計は2,000円を少し超える程度。上でサラっと書いたが、ヨダレ鶏と唐揚げは普通に1人前のサイズで、よくある中華料理屋の小鉢セットのような量ではない。

この店は「値段から量を想像すると事故るタイプ」である。

また餃子と同様にお味もよろしく、程よくジャンクで、程よく優しい、説妙な味付けだなと思った。特にヨダレ鶏は中華山椒のビリビリがハッキリ効いていて、かつ黒酢の酸味と甘みが立っている。
変な言い方かもしれないが、男味というよりは女味という印象。値段からもっと場末の食堂感全開の、乱暴な男らしい味付けなのかと思いきや、意外と繊細な味も作れるぞという感じ。

焼き餃子や水餃子と比べると少々割高感のある蒸し餃子(と言っても6個で500円台)。折角なのでと頼んでみたが、これがチュルっとしていて焼き・水と比較しても遜色ない完成度。

いやあ困った、この店の餃子はすべて「そうである理由」がハッキリしていて何が一番か選べない。ここに来る度に餃子ばかり頼むことになりそうだ。

気付いたら女房が勝手に追加しやがったキクラゲと卵の炒め物。680円と、この店にしてはお値段高めだったので嫌な予感がしたが、不安的中。超具沢山で山のように盛られて出てきやがった。

え、もうお腹が限界になっているのにバカなの?
ナニしてくれてるの?

これも味はよろしかったので、もっとお腹が減っている時に注文したかった……。

で、これだけ褒めちぎったのだから、悪い点もハッキリ言っておかねばならない。この店のラーメンは普通。餃子のクオリティと比べると、特筆すべき点がない。素ラーメンと台湾ラーメン(上写真)が480円とお安いのが唯一の好材料かなあ。
そして炒飯は、いわゆる日本の街中華の炒飯ではなく、中華レストランで出て来る ”あの” 炒飯。確かにお米はパラパラなんだが、正直オレはこのタイプの炒飯が苦手だ。

という訳で、餃子と1品料理までは素晴らしかったのに、ラーメンが普通、炒飯は微妙と、最後の最後でブレーキがかかってしまった。
だが、これで気の利いた街中華味のラーメンと炒飯が出て来たら、迷わず週1で通うところだった。危ない危ない。

が、そうは言っても、餃子自体が完全食である訳で、シメがイマイチならば餃子でお腹いっぱいにすればいいだけである。そういう使い方をする分には、味も素晴らしいし、安いし、文句ナシの優良店だ。

[店名] 青山餃子房 亀戸店
[住所] 東京都江東区亀戸2-37-8
[TEL] 03-5875-2989
[営業時間] 10:00~23:30(15:00~17:00は中休み)
[定休日] 無休
[備考] 青砥・亀有・金町・船橋などにも系列のお店アリ。しかもそれぞれメニューがちょっとずつ違うっぽい。
詳しくはこちら→ https://www.i-tatsu.co.jp/restaurant.html


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